第十一話
「ふわふわする~」
「これで飛んでみろ……死ぬぞ」
「爆弾落としませんように!」
竜が次々飛び立っていく。
そして獣人族の首都上空にまでやってきた。
「いくぞ!!」
「やっと爆弾降ろせる」
こうして爆弾を投下した。
迎撃砲が飛んでくるがかわせる。
しかし、この作戦の弱点は命中率があまりに低い事であった。
こうして何日も何日も空襲を行った。
ついに迎撃砲そのものを潰した。
「次だ。吸血族を乗せて首都攻略するのだ」
フールイは号令をかける。
ゼーマ王はこの案に驚く。
(これ、うちに攻撃された時にやられたらどうなっていたことか)
「いい。いいぞ。竜の背に乗って行くぞ!!」
「「おお~!」」
こうして吸血族は浮遊魔法を帯びたままの竜に乗って獣人族の首都を目指す。
平衡感覚を失った竜は吐しゃ物を吐く。
「大丈夫か!!」
「これしき、俺たちの母国の危機に比べたら!!」
中には墜落する竜も居る。
空から見ると血のしみとなったものが見受けられる。
「友軍が……」
「それでもおまえらを届けるぞ」
こうして決死の思いで首都にたどり着いた。
「行くぞ!!」
吸血族が次々首都になだれ込む。
カラたちは倒れた竜に回復魔法を唱える。
竜を守ならねばならない。竜はもう動けない!!
行く先々で強力な魔法が炸裂する。
が……。
「広域爆雷呪!!!」
強大な魔法がさく裂した!
「「勇者」」
「行け!!」
吸血軍は勇者の号令と共に王城ナハルニヤに突入し女王を捕えた。
「サニア、まずは穀物をすべて売れ」
ユーリルは獲物を見る目でサニアを見下した。
「ふっ」
「それと竜族にも言ったが俺たちは隷属を求める者でも占領を求める者でもない。ただし、借金はちゃらにしてもらうぞ」
「それと献血お願いね」
カラが何気なく重要な事を言った。養分は確保……が俺たちのモットーなんでね。
「これを見ろ……」
自国軍の軍隊が見つけたもの。後ろにあった金庫には莫大な金貨があった……。
国民はあまり豊かには見えない。
「それと公的保険も導入して公平な負担もしてもらうわ」
そうだ。累進課税に等しいものな。
「逆に俺たちの国に来て保険の営業をかけてもいい。それは素晴らしいアイデアだ。アイデアはもらうぞ」
「へっ?」
ユーリルの言葉に唖然とする。
「この国はこれからも『金融立国』になってもらう。だが経済テロは許さねえ」
その言葉を女王が重く受け止めた。
「そう……私も潮時ね」
そういうと狐人のサニアは白旗を持って城下町を出る。
獣族は自分が負けたことに悔しがった。
戦争はこうして終わった。
<第三章 終>