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吸血の勇者ユーリル  作者: らんた
第三章 獣人族との戦い
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第十話

<吸血族と竜族が敗北の味をかみしめているその頃……> 


 首都ドラグニアから西……ドラグニアと人間の国境に近い山の麓。雨が激しく打ち付ける。


 ここに隠居生活を送るものが居た。


 魔力を使って樹を切り倒し、魔石を使って快適な電化生活を送っていた。


 浄水器もあって水もきれいだ。


 そんな中、ここに訪ねて来る者が居た。転移魔法で魔法陣に現れたのだ。転移魔法から現れたのは黒い影だった。


 「お前か……ということは……お前には迷惑かけるの」


 影がこの生活を提供したのだ。こっそりと。この転移魔法は影しか起動できない。


 「いいえ。だって御隠居様は無一文で城を出るから。餓死しますよ」


 「本当に死ぬつもりじゃったよ」


 影はその言葉を聞いて悲しんだ。影は頭巾を取る。


 「ところでご報告ですが……吸血族が獣人族のゲリラ戦によって負けました。このままですと両国とも占領されてしまいます」


 「わしのせいじゃのお。じゃが秘策はあるぞ。浮遊魔法を竜に利かせて空をより高く飛ぶのじゃ。さらに高く飛べば対空砲は届きにくい。そして、一気に首都に爆弾を落とすのじゃ。そう……万が一敵に対空砲奪われた時の事まで考えていたよ」


 「ご隠居様…」


 「フールイはよ戻れ。お前は臨時竜王じゃろう。わしの真の影になれ」


 「はっ!」


 転移魔法によってフールイが消えると翁は泣いた。しかしその悲しみは雨音でかき消された。


◆◆◆◆


 フールイはさっそくこの案をシドンに提案した。


「空爆か! それはいい。さっそく実行するぞ」


「借金で買った武器の残りを処分するという意味もあります」

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