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第九話
今度は同盟国のドラグリア軍を頼らず吸血族だけで進軍する。
ただし勇者と共にするリーだけはともに行動することとなった。
山脈を越える。
吸血族は信じられない物を見た。雨が上がったその瞬間の出来事だった。
突然洞窟から現れては上級魔法「爆雷呪」を唱える獣族軍である。
次々友軍が死んでいく。ぬかるみで思うように逃げることすら出来ない。次々魔法の餌食になる。
洞窟に入ってもまるで迷路のようだ。追うのは危険すぎる。
「空だ、空を飛べ!」
将軍の命令により空を飛ぶようにする。
だがここで対空砲を食らう。
神出鬼没の兵に疲弊する吸血軍。
一旦兵を引き上げた。
勇者はこの時初めて負け戦を経験した。
獣人族は勝利の雄たけびを上げる。
これに対し吸血族の王ゼーマ王はうなった。
「ゲリラ戦か。どうすればいい」
「対空砲が届かないほど高い空を飛べればいいのですが」
副官が提案するのは確かに確実な方法だ。だが……。
「無理だ。竜族でもそれは出来んぞ」
「いったい、どうすれば……」
一方の獣族の首都ナハルニヤは戦勝でお祭り騒ぎとなった。




