第四話
雨が上がった。いくら雨季と言えども三日に一度程度は晴れるのだ。食堂はまたしても海の幸の宝庫だった。
船長が挨拶する。
「しっかし海魔族の国に居たら太るなこれは」
竜族は驚きだ。
「このロブスターすげえ」
ユーリルはこれだよこれと言いながら食べる。
「あさりのパエリアがおいしいわ」
カラも虜になっていた。
「もう運動しないとダメだな、これは」
ユーリルは鍛錬せねばと思った。船上で鍛錬する。
こうして四日が過ぎた。
サルジニア島が見えた。雨季にも関わらず晴れていた時に見たのが幸いだった。
「ここが七つの海を支配する海魔族の都だよ」
カラが指さした先にはたくさんの船、巨大な建築物……。原色だらけの家々。
度胆を抜かれた。
(これほどの国があったなんて……)
◆
国書を持っているとのことで王宮に通された。サハギンで王のスレジア五世だ。
だが、返事は意外なものであった。
「我が国はまったく外敵にさらされていない。ゆえにそのようなものを必要としない」
国書もまるで無関心だ。
「ほかになにか質問は?」
「ございません」
ユーリルが意外そうに答える。
「それではご帰国ください」
(失敗だ…)
なんと一行は即で謁見が終わってしまった。




