第三話
じめじめした暑さの上に雨だ。嫌になる。雨合羽を着るユーリル達。吸血鬼ってこんな行動までしてたのか。血を吸うこと以外何もかも人間と生活が一緒である。夜行性どことか夜に寝るのだし。
ブルート王国の西側を旅する。
海魔族はあまり動きが無いので今まで西側に目を向けたことが無い。
三人とも空を飛んで移動するのであっというまに国境を越えた。翼も雨に濡れる。
さすがに竜の姿のままでは攻撃の意志ありとみられるのでリーは人間に近い姿に戻る。
海魔族の街コカルノに到着した。巨大な灯台が目印だ。
やっぱりここも海上に家を作って住んでいる。
陸上にある家もあるが。
宿を取った。
「「海産物がうまい!」」
そう、ここは漁港としても有名なのだ。
「ここからは船で行くよ」
サラがチケットを渡す。
「サルジニアは島にあるからな」
さすがのユーリル一行も空を飛ぶわけにはいかなかった。
次の日、リーとユーリルは砂浜に行き木刀で練習した。
木刀と言っても叩かれたら痛い。
吸血族のユーリルは何度も空中でくるりとかわす。
そして首筋に当てて勝負ありとなってしまうのだ。
「だめだ。俺はまだまだ」
「焦らないで。もっと剣の動きを見るんだ」
「二人とも~! 乗船の時間だよ~」
カラが呼ぶ。
いよいよこの大陸に別れを告げる時が来た。
ドラの音が鳴る。
サルジニア島に向かう船が動き出した。
三人が取った切符は二等船室。特に豪華でも無ければ変わった様子もないシンプルな個室だ。
「ここから四日は船だよ」
四日かあ。
「そっか、じゃあ船上で練習できるな」
船長も船員も海魔族。乗船客は海魔族や獣人族が中心で吸血族やましてや竜族など珍しかった。
人間族も造船技術があるが海魔族によく襲われたりする。彼らは海の中でも普通に生きられるのだ。場合によっては海賊行為を働く。怖い存在なのだ。海の上では三人は弱小である。