第二話
ゼーマが若き竜を謁見室で見つめていた。
「ドラグニアが破産寸前とな」
「はい」
「で、自分で買った武器を海魔族に売ると」
「はい」
「ちょうどよい。リーよ、勇者ユーリルとカラと一緒に海魔族の首都サルジニアまで行くがよい」
「ははっ」
「改めてよろしく」
ユーリルが改めてあいさつする。
「私からもよろしく」
カラも挨拶する。
「国書は持って来た」
ゼーマにうやうやしく渡すリー。
「万が一戦争になったら……」
「案ずるなリーよ、ちゃんと策は打ってある」
「かしこまりました」
国書を再び受け取るリー。
「では行こうか」
リーはかつての敵であるユーリルとの旅が始まった。
◆◆◆◆
道中……やっぱりユーリルは言わねばならないことがあった。
「リー、君が漢方薬ビジネスを考えたんだね」
「そのアイデア、すごいわ」
カラも感心する。ただただ感心せざるを得ない。
「でも失敗しただろ、勇者」
「でも、そのアイデアで農民は豊かになったんだ。凄いよ」
「今や破産寸前だけどな」
「……」
「ところで勇者、おれに稽古つけてくれ」
「いいのか俺で」
「ああ。勝者から学ぶものは大きいと思う」
「そっか。俺でいいのなら」
「ありがとう」
「それと俺が本性現すときは分かってると思うけど強い光を出す。別に衣服が破れたりしないから元に戻っても大丈夫だぞ」
「OK!」
「いざというときはとことん本性現すから」
「頼もしいぜ!」
そう、ユーリルにとって竜族という戦力は頼もしかった。




