第十一話
「竜の血を血液検査込みで手に入れると言う発想はすばらしい」
牙を剥くゼーマ。やはりゼーマは魔王なのだ。
「ありがとうございます」
「さっそく使者を出そう」
◆
しかし使者から来た返事は絶望的であった。
「我々が吸血族に血を拠出するということは隷属関係になるということ。そのような提案、受け入れられぬと」
「ふむ……」
ゼーマは翼を出した。吠えるような声を出して牙を剥く。
「もう一回戦争だな」
嬉しそうに喉を鳴らし……その後ゆっくりと開戦を宣言した。
「相手の国はボロボロ。ただし、王宮に直接攻めこむのだ。市街地の被害は最小限に食い止めよ。王宮でもう一回この提案をするのだ。もちろん竜族の独立は確保するとな」
「「はっ! すぐに志願兵の募集を掛けます」」
四天王は素早く動く。こうして吸魔の鎧に吸魔の剣を着た吸血鬼はドラグニアに侵攻する。
かつて強大なドラゴン達になすすべも無かった吸血族は竜の血を飲んだことで立場は逆転した。
しかし……。
「なんだあれは」
地上から対空砲を撃って来る!!
「散らばれ」
しかしなんと弾は誘導していくかのように吸血族を襲う!
「地上だ、地上に降りろ!!」
しかし、そこには強大なドラゴンが業火の炎を吐く。
そんな窮地に突然爆発魔法が竜をひるませ、竜の翼を切り竜の頭を砕いた!
「「勇者」」
「行くぜ、対空砲なら地上には無効だ」
吸血族はドラグニア城下町に突入した!