第八話
空襲や戦争で亡くなった人を埋葬する。
嘆き悲しむのは人間だろうと吸血鬼だろうと竜だろうと変わらない。
だから敵国の人間も竜も……。まあ血は抜き取るけど埋葬するのだ。
製薬工場は見事までに破壊されていた。
人間の血液を検査するという約束が守れるのか非常に心配になって来た。
また人間を吸血したことで少なからず吸血族として生きる者も増えた。
中には吸血鬼になった自分を受け入れられず死のうする元人間がいる。
勇者はそういう元人間を見つけては励まし、時には平手打ちした。彼らは吸血族としてここで再教育することになる。
ブルート国は漢方薬工場を手に入れた関係でどうにかお金は確保できそうだが短期的資金が必要になった。竜族の国に深追いするのは今は辞めておく方が賢明だ。
「せっかく得た人間族との信頼。裏切ることが無いよう血液検査ラインだけでも早急に復旧するのだ。しゃくだが獣人族からお金を借りようぞ」
従者を呼ぶ国王。
「ユーリル、獣人族の王に会ってはくれぬか?」
「はっ」
「ブルート国の国書だ」
(これが、国書。ちゃんと蝋で封印するのか)
「三パーセント以上の年利をふっかけられたら戻って来るのだ」
「はっ」
◆◆◆◆
一方の竜族…。
漢方工場は失い、竜族の五分の一が死んだ。
吸血族を甘く見ていたのだった。
奇襲で空襲をかければうまく行くはず……。
しかし吸血族は竜族の血を飲むと強力になるという事実を侮っていたのだった。
「バカ者!!お前なんか追放じゃ!」
「父上!!」
「多数の同族が死んだ事実、重く受け止めい!」
「フールイ!」
「はっ!」
「我が国は多数の命と財産を失った」
「はい」
「しかも敵国の種族は身体的にも強力となった」
「このまま攻められたらこの国は降伏するしかない」
「王!!」
「じゃが案ずるな。爆撃弾を応用して迎え撃つのだ。迎撃砲に改造するのじゃ。防御に徹するのだ」
「王、しかし、お金が……」
「そこでだ、獣人族からお金を借りるのだ」
「フールイ、獣人族の国サラチアに行ってくれぬか」
「はっ」
「三パーセント以上の年利をふっかけられたら戻って来るのだ」
「はっ」




