第七話
城下町の吸血族は一気に立ち上がる。
竜の翼を切り裂き、目を潰し、落下させる。
ユーリルは自室に戻り吸魔の剣と吸魔の鎧を身に着け戦う。
そしてユーリルは信じられない物を見た。
――人間が竜の鱗の鎧を着てこっちに攻めてくる!!
「しかたない。天命じゃ」
そういうと雷撃魔法を次々人間に撃った。
「爆雷呪!!」
強烈な爆発魔法をさく裂させる。人間の肉片が次々吹っ飛ぶ。
人間の部隊がヴリトラ村に向かって逃げて行く。
しかし、勇者らは容赦なかった。
次々雷撃魔法や爆発魔法を空から唱え撃破していく。
吸血族は生き残った人間の首に牙を打ち立てる。人間の阿鼻叫喚が草原に響き渡る。
「こひゅうぅぅぅぅ」
ユーリルはこの時初めて生の人間の血の味を堪能した。なんという美味なのだ。ユーリルは思わず飲み干した後に歓声を上げてしまった。ユーリルが吸血した人間の兵士は大地にどうと倒れる。ユーリルは会心の笑みを浮かべながら毒が廻り泡を吹きながら痙攣を引き起こす人間を見降ろしていた。やがて人間は息を引きとった。
「くふぅぅぅぅぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
この人間は吸血鬼にならなかったことを確認すると勇者は牙をむき勝利の声をあげた。己はやっと真の意味で吸血鬼になれたのだ。ユーリルは再び空へと飛び立つ。血を拭うのも忘れていた。友軍に顔が血だらけだと指摘されて初めて気が付いた。
こうして吸血族はヴリトラ村を占領した。
人間から吸血族になった者を収容する。吸血族になった者は瞳が金色となるためすぐに判別できる。しばらくの間意識を失うので吸血族が二の腕で掬いあげ、吸血族の国に戻る。新しい国民がこうして誕生した。
残った竜や人間はドラグリアに逃げて行く。しかし人間だけは逃さなかった。すべて吸血族の餌食となった。女、子供であっても乳児であっても容赦しなかった。
「「勝ったぞ~!!」」
勝鬨が草原にこだました。
漢方薬の工場を手に入れた一方、自国の製薬工場がやられたのは痛かった。莫大な費用が必要だった。