第六話
ユーリルはいつも通り病院でリハビリを受ける。
「だいぶよくなってきましたねー。剣も握れますよ~」
「先生、素振りできるようになるにはあとどれくらいかな?」
「そうだね~。一週間ぐらいかな? そしたら完治ね」
「ありがとうございます」
その時、城下町に爆発音が響いた。
「何事!?」
「先生、大変です!! 空襲を受けてます。空には巨大なドラゴンが!!」
看護師が院内で慌てふためく。
「まずい!! 救急患者の受け入れを!」
「「はいっ」」
ユーリルは病院を出た。
空襲のターゲットはまず工場のようだ。次に王城。
吸血族が魔法で応戦している。
しかし、届かない。
剣を握るとにぶい痛みが走る。
(くそっ!!こんな時に!!)
「街から逃げるんだ!!」
(何も出来ない!!俺はなんて無力なんだ!!)
◆◆◆◆
王城で四天王が魔法で応戦していた。
何匹か目つぶしに成功して竜が城下町に落ちてくる。
四天王の一人が脳天を砕き、絶命させる。
「おい、元人間の勇者」
空から声が降って来た。
「はい」
「お前、体を壊していたよな?」
「はい」
「竜の血を飲め。一発で治るぞ」
「ありがとうございます。サーミラ様」
「お前たちもだ。竜の血を飲むんだ。戦えるやつは応戦しろ。男も女も関係ない!!奴らの弱点は眼だ。竜の血を飲めば強固な体になる。ちょっとやそっとの傷は受けない。まるで竜の鱗に守られたかのような強いからだとなる。この国を守るために力を貸してくれい!」
「「おお~!!」」
住民は竜の血を飲んだ。もちろんユーリルもである。
(体がどんどん漲る)
そしてユーリルは翼を出した。
「サーミラ様、私も戦います」
「頼んだ」