第四話
筋肉痛だった。
ユーリルは吸血鬼になってからまだ間もない。
翼に関係する筋肉を酷使した結果、筋肉痛に襲われた。いつも使っていない筋肉を酷使したのだ。当然の結果だった。
ユーリルはどうにか歩けるが歩くたびに激痛が走る。翼をしまう事も出来ない。
しかし、竜族の巨大な武器庫という証拠を掴んだ収穫はデカかった。
二人は謁見室に呼ばれた。もうカーペットは変えられていた。ユーリルとの戦いの痕跡は消えていた。
ユーリルはゆっくり跪いた。
「このたびはユーリルとカラよ、よくやった。竜族の王に使者を出す。質問状もだ。我々を攻めるにせよ、人間族を攻めるにせよどちらにしてもそれは吸血族への攻撃とみなす」
「「はっ」」
「ユーリルは医者に診てもらえ。総合病院は城下町にある。医療費は全額我々が出そう」
「はっ」
この国はなんと健康保険証が全国民に配られる。ゆえに三割負担で治療できるのだ。ユーリルが持っている保険証は『公務員共済健康保険証』だ。残り三割も後払いとはいえ王が負担すると言う。しかも健康診断はタダだ。
「これより謁見を終える」
この声を聴くと二人は謁見室を出た。
城内の廊下でカラが心配した。
「ちゃんと治療してね。このままだと剣も握れないからね」
「わかってるよカラ」
ユーリルは通院生活に逆戻りとなった。




