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~序~
サノル村に居た勇者を連れて戻ってきた。サングイス製薬株式会社サンター営業所で吸魔の剣と吸魔の鎧を再び身に着ける。
だが顔は冴えない。
とりあえず人間の血は検査と言う名目で確保された。人間の血はいかに貴重品なのかユーリルは思い知らされた。
しかし、他の魔族に製薬の売り上げを取られたのだ。
(何のために?)
(単にお金に困っているから?)
(商売に乗り出したいから?)
(それとも?)
そんなユーリルの疑問に対しブルート国王ゼーマは結論を出した。ユーリルは謁見室に呼び出された。
「勇者らよ。今度は竜族が占領しているヴリトラに行ってくれないか? 今度は二人でだ。営業するわけじゃないからな。竜国の本土に潜入する必要があるならば許可を出そう」
「はっ!」
謁見室の扉が閉まる。こうしてユーリルの新しい旅が始まったのだった




