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第十九話
人間の王国から南に位置する獣人族の国グリモス。
山脈でさえぎられているように見えるがいつでも獣人の足ならば超えられる。
偵察は動物の姿に化けて行う。中には狐人のように短期的に人間そのものに化けることも可能な獣族もいる。
本来は人間界の王国に攻める事なぞ容易だったが吸血族に阻まれたのだ。
このタキ村の薬局から狐人は薬を買って獣人族へ薬を提供していたのだ。
獣族の王城ナハルニヤで獣族の王、狐人のサニアが言う。
「この漢方薬は……」
箱を見る。
「はい、竜族のものかと」
「彼らは金に困ってるのかな?」
「まだ何も分かりません」
「気に食わないね。竜族の経済力が増してしまう」
「しかも竜族は人間族の領土を唯一今でも占領している種族」
「我々も人間相手に商売始めようか?」
「王、恐れながら我が国は売る物がほぼございません」
「あるではないか……」
「それは一体……?」
「金そのものよ」
「奴らが弱った時に金を貸し付けるのだ」
<第一章 終>




