第十八話
サーランブルク城にやってきた。
ベルナルド王に謁見を願う。
もちろん新薬の提供もだ。
謁見の許可はすんなり下りた。
王に血液検査の重要性を説く。
もちろん使用済みの注射針の使用厳禁など基本的な事も伝えた。
また健康保険制度に関する提案もした。
なんと王は承諾してくれた。
「わしも痛風や糖尿だったら困るからのお」
「「ありがとうございます」」
ユーリルを除いた一行はユーリルのいる宿屋に戻ろうとした。
「さ、帰るよ」
「ちょっと待ってカラ、治療薬買う」
うれしさのあまりセータは薬局に寄ってみた。
すると…。
なんと店内に漢方薬が置かれている。
サングイス製胃腸薬の横に漢方の胃腸薬も堂々置かれていた…。
『食べる前に飲む!!』のポップ付だ。
製薬会社名を見る。クラス製薬とある。『貴方と共に暮らす、クラス製薬株式会社』とある。本社は竜族の占領地に置かれている。
店主に聞くと……。
「竜族の占領下にいる営業マンから売り込みがあってね。副作用が少ない漢方の方がいいですよとプッシュされたんだよ」
ここは吸血族が営業する店ではない。という事は……。
「だってオタクの医薬品たしかに効き目いいけど少なからず副作用あるでしょ。あと慢性疾患に弱い」
営業マンは血相を変えた。一行は営業所に向かった。
王への提案がうまく行ったことと、薬局に謎の『漢方薬』が大量に置かれていることに付いて問い合わせた。
「あれは竜族の占領下に置かれている営業マンが猛烈な売り込みをかけて来たんです。おかげで売り上げが約五割減ったんです」
「「五割!?」」
「このままですと検査代で減収分はカバーできますが、医薬品事業は大幅縮小です」
「竜族め……」
シータは相当怒っていた。
◆◆◆◆
一方の竜族の王城リンドブルム城では……。
「サングイス製薬の売り上げを大幅に減らしました」
「でかしたぞリー。さすが我が息子」
「サングイスはどっからどう見ても怪しいです。高確率で吸血鬼がバックに居るか吸血鬼そのものが運営している可能性大です」
くくくと言いながらじっと王を見つめる。
「経済的に困窮したら彼らは吸血行為も行えず自滅するでしょう」
そう、根元から絶つ。
「その時、竜族総出で吸血族を滅ぼしましょうぞ。幸い吸血族は人間族の勇者の襲撃で瀕死です。戦の準備を」
「さすが我が息子。戦の準備を水面下で行うぞ」
「しかも今度は『クラス製薬』の売り上げで軍備を増強できるのですからな」
そう、勝機は我らにあり!
「さらに竜族の畑から取れるもので医薬品になる。つまり竜族の経済力も向上する。さすがは竜族に伝わる医学、漢方よ」
竜族はおかげで経済成長していた。
「人間を滅ぼすのはその後よ……。人間の血肉を喰い尽くそうぞ」