あとがき
この作品は二〇一九年に『吸血の勇者ユーリル』として「なろう」に発表したもののエタってしまい、第三部で強制終了したものを二〇二二年に再執筆し、真の意味で完成させたものである。さらに二〇二三年に季節描写や年月の移り変りなどを加筆し十万字を突破させた。
エタった作品って再出発できるんだね。しかも冒険世界は近隣諸国はおろか隣の星にまで広げる形となりました。登場する魔族も随分と増えております。
また、『暗黒竜の渇望』にて(執筆期間二〇〇八年~二〇二四年)原子力災害の悲惨さを書いたが、今度は『吸血の勇者ユーリル』にて原子力災害復旧をもテーマとしたファンタジー作品として表現することにまで成功しました。自分でも福島第一原発事故の復興がここまで進むとは正直思っても居ませんでした。だからもうこういう表現は二〇二二年当時ではもう許されるだろうと決断しました。
もちろん完全に復興などしておりません。二〇二四年において帰宅困難地域は依然としてまだあります。それでも十三年でここまで復旧したのならいいだろうと。福島の復興はまた道半ばですけど。
また二〇一九年版『吸血の勇者ユーリル』とは大きく異なる部分があり、二倍三点リーダー、二倍ダッシュ線、会話文の最後に句読点をつけないように気をを付ける、アラビア数字は極力避ける、場面転換記号を新たに付与しています。つまりやっと文芸の出発点に自分は到達したといううれしいのか悲しいのか分かりませんがご報告いたします。
二〇一九年版と違う事はまだあります。それは学園パートとお茶会シーンと料理シーンです。これは悪役令嬢ブームを鑑て追加したものです。二〇一九年版はそこまで悪役令嬢・聖女ブームは無かったのでたった三年でここまで作風を変えないといけないのだなと改めて実感しております。
この作品にはあと二つのメッセージがあります。それは「人間という存在は吸血鬼そのもの」というメッセージです。生物学的にも、経済学的にもです。血液由来の製薬を使っている時点で現代版吸血鬼です。現代人は吸血鬼を罵ることなど出来ないのです。だから吸血鬼の正体は「元人間」としたのはそういう事です。そして経済学的にも人間というのは吸血鬼に等しい存在だと。そんな悍ましい存在である吸血鬼=人間が世で共存するにはどうすればよいのかということも。さらに結婚というものは一種の「死」を意味するものであることも。そして新しい生を受けるという意味でもあるということもメッセージに追加した。中高生向きの作品として大人からのメッセージって大事だと私は思うので。
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ここからはカクヨムだけの読者様への特典。カクヨム様ってまだそこまで異世界恋愛ブームが来てませんね。一昔前のなろうのようです。つまり「俺ツエー・チート・ハーレム・異世界転生・美少女」で埋まってます。でもどうでしょう、カクヨムって実は純文学もそれなりに強いんですよね。そして童話も。この作品、実は童話とライトノベルの中間地点で中学一年生が青い鳥文庫を手に取るような感覚で書き上げました。なので高校二年以上が読むにはちょっと堪えられないかなということをあとがきで述べておきます。一応説明文には掲載してありますけど。なのでこの作品、本当はカクヨム様向けなのかもしれませんね。
この一度エタった作品を復活させただけでも本当にいろんなものを学びました。
本当に読者の皆様には感謝の念でいっぱいです。
それでは次の作品でお会いしましょう!




