第四話
「これが次の塔か」
同じような形をしている。またしても塔の中は敵どころか誰も居ない。鳥のさえずりが聞こえて来るだけだ。そして六階にそいつは居た。
「お前がユーリルか? 俺の名はアルマロス。これからこの付近の魔法を全無効にする」
――破っ!
するとなんと結界の効力が切れただけでなく……魔壁呪が唱えられない!!
「男同士、拳と剣で勝負しようや!」
すると瞬時にユーリルの脇腹に拳が入る。
「ぐはっ!」
「お前は実はこうやって妖魔族を攻略したんだろ?」
「ぐぶっ!」
(なんて力だ)
ユーリルは壁に叩きつけられる。
「アルマロスって名前は『魔法無効』って意味だ」
(反魔素鎧に、ヒビが!)
「ほお、ヒビ入ってるぜ?ここが汚染地帯だったらお前、死んでるな?」
剣を抜いてくる。大剣だ!
「叩き潰す!」
なんと壁を割るほどの力だ。懐にある緊急用の血液ボトルを飲み、捨てた。
(逃げよう)
なんという醜態!ユーリルは六階から階段を降りることにした。幸い向こうには翼が無い。が、瞬時に高速移動できる力は持っている。時間稼ぎにしかならない!!
塔からだいぶ離れた。
(ん!?)
(結界が解けたまま!!)
「そのまま王城に入ってしまえ!」
なんとユーリルは方向転換し王城に入った。
そして……。
「ここなら魔法が唱えられるんだよな?」
「超炎獄術!」
まるで地獄の業火のような炎がアルマロスを包む。
「こしゃくなあ!」
「頭上に注意しな」
なんと塔の一部からレンガが飛んでくる。
「隕石術!」
その術はまるで隕石ような効果を持つことから名づけられた。
アルマロスがきりもみのように落下する。
「隙あり!!」
俊足でそのまま剣を突き刺した。
肺が破れ、血を吐くアルマロス。
そして介錯とばかりに首を刎ねた。
(やばい、俺の鎧にヒビが。帰れない。それにこの展開前にもあったよな?)
そう、ゼーマ王討伐の時の自分。最終的に自分は命を落とし、そして吸血鬼となったのだった。
(このままでは、負ける!!)




