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吸血の勇者ユーリル  作者: らんた
第九章 最後の戦い
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第四話

 「これが次の塔か」


 同じような形をしている。またしても塔の中は敵どころか誰も居ない。鳥のさえずりが聞こえて来るだけだ。そして六階にそいつは居た。


「お前がユーリルか? 俺の名はアルマロス。これからこの付近の魔法を全無効にする」


――破っ!  


するとなんと結界の効力が切れただけでなく……魔壁呪が唱えられない!!


「男同士、拳と剣で勝負しようや!」


すると瞬時にユーリルの脇腹に拳が入る。


「ぐはっ!」


「お前は実はこうやって妖魔族を攻略したんだろ?」


「ぐぶっ!」


(なんて力だ)


ユーリルは壁に叩きつけられる。


「アルマロスって名前は『魔法無効』って意味だ」


(反魔素鎧に、ヒビが!)


「ほお、ヒビ入ってるぜ?ここが汚染地帯だったらお前、死んでるな?」


剣を抜いてくる。大剣だ!


「叩き潰す!」


なんと壁を割るほどの力だ。懐にある緊急用の血液ボトルを飲み、捨てた。


(逃げよう)


なんという醜態!ユーリルは六階から階段を降りることにした。幸い向こうには翼が無い。が、瞬時に高速移動できる力は持っている。時間稼ぎにしかならない!!


塔からだいぶ離れた。


(ん!?)


(結界が解けたまま!!)


「そのまま王城に入ってしまえ!」


なんとユーリルは方向転換し王城に入った。


そして……。


「ここなら魔法が唱えられるんだよな?」


「超炎獄術!」


まるで地獄の業火のような炎がアルマロスを包む。


「こしゃくなあ!」


「頭上に注意しな」


なんと塔の一部からレンガが飛んでくる。


「隕石術!」


その術はまるで隕石ような効果を持つことから名づけられた。


アルマロスがきりもみのように落下する。


「隙あり!!」


俊足でそのまま剣を突き刺した。


肺が破れ、血を吐くアルマロス。


そして介錯とばかりに首を刎ねた。


(やばい、俺の鎧にヒビが。帰れない。それにこの展開前にもあったよな?)


そう、ゼーマ王討伐の時の自分。最終的に自分は命を落とし、そして吸血鬼となったのだった。


(このままでは、負ける!!)

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