第一話
実は地図を手に入れていた。そう、ラジエルの蔵書の中にマーズランドのことが詳細に書かれていたのだ。魔素計が鳴る。やっぱりここも汚染されてるのだ。転移された場所を把握する。
近くに町ごと廃墟となってる場所を見つけた。どうもここはマーズランドの中央部のようだ。
マーズランド……火星とは言えものすごく小さい。ただし、星にしてはという但し書きが加わるが。
砂漠、砂漠、廃墟、廃墟……。見渡す限りの廃墟だ。
「これが、俺たちの故郷」
(吸血鬼にとっての、故郷)
「見て、この地図を見ると王宮が二つある。近い方から攻めるぞ」
◆◆◆◆
「じゃーな、クゥーラ。せいぜいここで頑張れよ」
「そんな!タミエル様」
「あいつら、ここに来るらしい。その隙を突いてマザーランドに攻める」
――まあ
「せいぜい、食い止めるんだな。なんだったらここに居る人間を喰って増強していいんだぞ」
そういうとテラスから空へ飛ぶ。
テラスに残されたのは魔法望遠鏡だ。
「こうなったら意地でも生き残ってやる!!」
もはやトゥーラに妖精族の面影はない。皮膚は暗黒の色。角を抱く。
牢に閉じ込められた人間に業火の魔法を浴びせ、死んだことを確認してから牢を開け、人間を食する。
食事を終えると武器庫に行き武装する。まるでトゥーラは暗黒魔導士のような姿だ。
そんな中、殺気を感じる。
(来る!!)
トゥーラは急いで王宮の謁見室に戻った。椅子に座ると爆発音が聞こえる。おそらく扉を無理やり開けたのであろう。




