【漫才】右子(みぎこ)
ツッコミ → ツ
ボケ → ボ
合コンから数日後の男たち
ボケ 俺ってさ、「私、潔癖症なの!」って言いながら、爪が長い女が嫌いじゃん?
ツッコミ 知らねーな! 初耳だよ! でもそれって、この前の吉田も一緒に行った3対3の合コンで右側に座っていた女の子の事だろ?
ボ よくわかったな。
ツ あの子、感じ悪かったから覚えているんだよ。ずっと、変な目で睨んできてたし。
ボ でさ。お前もこんな人嫌いだなぁとか、今すぐに……したい人っている?
ツ 最後のは何だよ!? 嫌いな奴か……俺は嘘をつく人と隠し事をする人が嫌いだな。人としてどうかと思う。
ボ すみませんでした!
ツ なんだよ急に! もしかして、俺に嘘ついたり隠し事したりしているのか?
ボ はい。嘘をついてしまいました。
ツ まじかー。ちょっと怖いけど、聞かせてもらってもいいか?
ボ じゃあさ、怒らないって約束して。
ツ 大丈夫だって。俺は寛大だから、ちょっとやそっとでは怒らないよ。
ボ じゃあ言うね。あの合コンの後、「今回はお互いに収穫無しだなー」って言ってたけど、俺は左のユイちゃん、吉田は真ん中のミサキちゃんと付き合うことになりました。
ツ ハァ!? ふざけんなよ!お前ら2人でコソコソときたねーぞ!
ボ 約束、約束!
ツ い、今のは怒ってないし。ダチどうしのノリみたいなもんだろ。それにしても、いつの間に仲良くなっていたんだよ?
ボ お前、会社から電話がかかってきて10分くらい席外したじゃん。あの時に盛り上がっていたんだよ。
ツ くっそー! 電話がなかったら俺にチャンスがあったってことか。部長恨むわー。
ボ 嘘をついたらいけないから正直に言うけど、それはないと思うよ。
ツ 何でそんなことが言えるんだよ?
ボ ユイちゃんとミサキちゃんはお前の事が嫌いだったみたいだから。
ツ 何でそんなことわかるんだよ!?
ボ だって、お前がいない間、お前の悪口で盛り上がってたからな。ユイちゃんとミサキちゃん、すごく楽しそうだったんだ。
ツ なんだよそれ!? ふざけんなよ!
ボ 嘘ついていないから怒らないでよ。
ツ 嘘に怒っているんじゃねー、悪口の方だ!
ボ でも、さっき寛大って言っていたよね? あれって嘘なの?
ツ う、嘘じゃない。つい興奮してしまって。くっそー。人の悪口で盛り上がる女たちの合コンに、お金を払ったのは悔しいな。
ボ でも、右子だけはお前の事ずっとかばっていたな。ノリが悪くてホント最悪な女だったよ。
ツ 右子って、1人だけ名前覚えてないのかよ。っていうか俺もだけどさ。
ボ 右子はホント最悪で、「人の悪口はダメ」とか「うるさくしたらお店に迷惑がかかるから静かに」とか言って、一番お前がうるせーよって感じだったな。
ツ 最悪なのはお前たちだ。ここまで腐っているとは思わなかったよ。それにしても、右子はとてもいい子だったんだな。お前らに、右子の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいわ!
ボ 爪長い人の爪垢はちょっと……
ツ うるせー! 右子は潔癖症だからきれいなんじゃい! 寛大な俺でももう限界だ。お前とは絶交させてもらう。
ボ じゃあ、俺が両手の人差し指の先同士をくっつけるから、お前は切ってな。
ツ 小学生か! バカはどうでもいいとして、無性に右子に会いたくなったじゃねーかよ。
ボ 良いことを教えてあげる。右子が感じ悪く見えたのは、コンタクトを落としてしまって見えにくかったからみたいだよ。
ツ クソッ! 右子、悪いとこ視力だけじゃねーか! 今になってかわいかったんじゃねーかと思い始めてきたぞ。
ボ そういえば、この先のコンビニでバイトしているって言っていたな。
ツ ナイス情報だ親友! こうしちゃいられない。今から会いに行くぞ。
待っていろ、右子ーーーーー!