第一話 冬
ぷろろーぐ
告白、それは挑戦、愛、大事な人へ送る言葉。そんなことを聞いた僕は好きな人に告り振られた男だ。
それは高校受験に追われてた冬のことだった。
僕の名前は皐月真冬由、受験を控えた普通の中学生だ。
僕は昔から少し引っ込み思案だったため友達はそこまで多いわけでもなかった。もちろん好きな人なんてできたことがなかった。
しかし最近クラスの女子に初めて目を向け、気づいたことがある。
なぜかあの人だけ目を向けると心臓が強く高鳴る。
そう、僕は恋をしたのだ。
第一章 泉永碧緑
人に好きになってまず最初にやることは何だろう。連絡先を交換か?、それとも…
駄目だ恋愛初心者過ぎてなんもわからん。
とりあえずNINEで昔から仲の良かった真木淳に相談してみることにした。
「真木、教えてほしいことがあるんだけど。」
とりあえず、送信して返信を待つ。気長に待とうと思い六法全書を取り出そうとするとすぐに返信が来た。
「はいはい?」
「碧緑さんのNINE持ってる?」
「あるけど、なんでさん付け?」
「いや、ちょっと…」
「あ、好きなのね」
…え? バレるの早くない? なぜか彼はすぐに的中させた。
「なんでわかるの?」
「そりゃあ、お前が女のNINEほしいなんて言うことほとんどないやろ。」
確かに、と納得してしまう。僕は昔から女との交流をできるだけ避けていたので、僕とずっと前から仲良かった真木にはすぐにわかってしまうようなものだったのかもしれない。
「でも碧緑のNINEは渡さないよ?」
「ええ」
「自分で頼んでもらえよ、自分でなにかやらなきゃ始まんないだろ。何かしてこその恋愛だろ?」
何かしてこその恋愛、そんなことを僕みたいな社会性の欠けてしまっている僕にできるのだろうか。
そんなことを思いつつ何とかしてもらう方法を考える。
そう、考えていた。
「はい、碧緑のNINEね。」
クラスのあんまり話したことないというか話したことがないやつから碧緑のNINEをもらったのだ。
まるで闇の取引を行った後かのような罪悪感と自己嫌悪が僕を襲った。
(とりあえずもらったことだし、挨拶してみるか)
「どうも」
「だれあんた?」
えっと?