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おまけスキルはマスタースキルによって使い勝手が良くなりました  作者: すみ 小桜


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第50話 偽善者ではなく復讐者

 冒険者協会では、冒険者を指名して討伐隊を編成し月に一度討伐を行っていた。あまり狩りが行われていない場所への派遣で、食料から全て自分自身で用意しなくてはならない。帰って来るまでの約一週間程度分をだ。

 基準は公開されていないが、規則を破った者は必ず行かされる。

 だが、無事戻ってくれば、金貨一枚の報酬が待っていた。この報酬からは、支払いの一割が引かれない。毎月参加すれば生活に困る事もないだろうが、自ら名乗り出る者はいない。

 なぜなら回復ポーションが、金貨1枚だからだ。怪我なく帰って来るのは難しい。用意できない者は、死ぬ確率が上がる。


 今回は、15名ほどでのゴブリンの討伐だ。

 森の中を移動するので、着くまでも危険が伴う。

 ボーンラビットなどは食料の糧とし、出来るだけ死体を残さないようにして進む事になる。だが見張りがいるわけでもなく、チームワークがあるわけでもない。しかし、掃滅する事が目的の為、討伐場所までは誰も欠ける事無く着く事が望ましい。

 なので、ジャーデンとローワンの二人を出来るだけ離して歩かせていた。


 「っち」

 「ローワン、争うなら掃滅が終わってからにしてくれよな」

 「お前に指示される覚えはない」

 「指示じゃなく、お願いだ」

 「ふん。倒せばいいんだろ」


 その会話は聞こえないが、ジャーデンも同じような事を言われていた。


 「そのつもりです」

 「だが出来ればこういうやり方はしないほうがいい。彼女達が知ったら悲しむだろう」

 「……大丈夫です。俺の事を憎んでいるので、喜ぶだけ――」

 「まだ幼いからだ! ちゃんとわかったら今度はあの子たちが、君と同じ思いをするかもしれないんだぞ。だから……」

 「もう決めた事なので!」

 「……ジャーデン」


 彼を知っている大人の冒険者が諭すも彼は考え直す気はないようだ。

 そして、討伐隊はゴブリンが大発生している場所へ着いた。


 ゴブリン――人間と同じく二本足で歩き、独自の社会を築いているモンスターだ。単独でいるより団体でいる事が多く、冒険者を悩ませるモンスター。

 今回も討伐隊の2倍以上の数で生活しており、武器も手にしていた。

 攻撃スキルなどを持たない冒険者達ならチームワークで倒さなければ、逆に殺される。普段は、自分が倒せるモンスターしか相手にしていないのだから。


 「おらぁ!」


 大体が、二人から三人で協力して一体のゴブリンを倒していたが、驚く事にローワンは一人で立ち向かっていく。死にに行くようなものだと思ったが、振り上げた斧を一直線に振り下ろすと、いとも簡単にゴブリンは裂けた。

 その風景にみな、胃酸が込みあげる。

 ローワンのスキルの一つは直線だ。何も意味がないと思われていたが、レベルが上がると、直線に切り裂くなども出来るようになっていた。


 「なんだよ、おめえら。口ほどでもねぇな」

 「お前、そんなに強かったのか!」

 「弱いなんて誰が言ったんだ?」


 ローワンは、ニヤリとする。

 その恐ろしい笑みにみな、恐怖を覚えた。


 「切り裂け! 俺はな、Cランクになんてなるつもりはない! 切り裂け! 別に貴族も羨ましくない! 切り裂け! 一般人に戻りたいとも思わない! 切り裂け! 何が階級だ。自分は安全な場所にいて金だけ出して、ギルドだってずっと安全な仕事だ」


 次々とゴブリンを切り裂き叫ぶ。


 「俺はな。自分のやりたいようにやる。その為に冒険者になった。縛られてる? いやいや自由だろう。こんだけ強ければ、怖いものなしだろう? おら来いよ」


 ローワンは、ジャーデンに向かって言った。


 「俺はな、お前の様な偽善者が大っ嫌いだ!」

 「偽善者って……」


 ジャーデンは、俯いて震えている。


 「ジャーデン、やめておけ」


 絶対に敵わない。誰もがそう思った。


 「なんだ震えて、怖いのか?」

 「お前は、自分が良ければそれでいいのかよ!」

 「ふん。俺は討伐しただけだ」

 「ワザと大量に死体を集めて、ウルフが寄って来るように、誘導する為に死体をウルフがいる所までばらまいただろうが!」

 「だからなんだ? 別にどう放置しようといいだろう?」

 「認めるんだな? その後回収ギルドの人達が大変な目に遭うとは思わなかったのかよ!」

 「何お前、他人の心配してるのか? その前に自身の心配をしたらどうだよ! 切り裂け」

 「ぎゃー」


 斧を振り上げ降ろす瞬間に、ジャーデンはなんとかかわすも後ろにいた冒険者が切り裂かれ、吹き飛ばされた。


 「あ……」

 「おい、しっかりしろ!」


 慌てて他の冒険者が倒れた冒険者に近づく。


 「なあ、5体も倒したんだ。そいつを放っておいて、後はおめえらが倒せよ」

 「貴様!」


 ジャーデンは、怒りでさらに震えあがった。


 「何を怒っている? お前が避けたからだろう?」

 「そうだな」


 ジャーデンは、リュックを倒れている冒険者に向けて放り投げる。


 「ポーションで回復してやってくれ」

 「……わかった」

 「っは。なけなしの金で買ったんだろう? いいのかよ」

 「いいんだよ。もう必要なくなるから」

 「なるほど。俺に殺されるからか?」


 ローワンがニヤリとすると、ジャーデンもニヤリとして返す。


 「いや、死ぬのはお前だよ。お金は、ギルドからもらったからな。困ってない。あと俺は偽善者なくて復讐者だ! お前を見つける為に冒険者になったんだ!」


 ジャーデンは叫び、ローワンを睨みつけるのだった。

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