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おまけスキルはマスタースキルによって使い勝手が良くなりました  作者: すみ 小桜


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第36話 リナの心配事

 星明りしかない夜空を黒い物体が駆け抜けていく。


 ”絶対におかしいわ。あのへなちょこがここまで逞しくなるなんて!”


 リナが抱き着いている相手――エストキラを見つめ思う。

 別に背丈が伸びたとか体ががっしりとしたとかではない。どちらかというとオドオドしていて言われて動くタイプだったのが、この数週間で自分で行動し凄い事をいとも簡単にやってのけたのだ。


 ”騙されて何をさせられていたのかしら……”


 リナは、エストキラがガントに魔法陣を教え込まれたと思っていた。そして、一芝居打って今向かっているビーントヌ街に向かわせたのだと。


 ”あの男は、今度はキラに何をさせるつもりかしら。そうじゃなきゃ、こんなに色々買えないわ”


 本当にちゃんと仕事をして稼いだとは露程も思っていなかった。戻った時にお金を渡されたに違いない。そう確信する。


 ”このままだと、あの男に濡れ衣を着せられる可能性もあるわ”


 「見て。あっちに見える光、街の光じゃない?」


 そんな事を考えていたらエストキラが前方に見える光を見て言った。


 「待って。着くの凄く早くない?」

 「でも、村とは明らかに違うよ」


 外灯の明かりの道がその光へと向かっている。


 『だいぶショートカットしたからな。距離にしたら5時間程の短縮になっているだろう』

 「アルの言う通り飛んで正解だったって事だね」

 『うむ。なんでも聞くがいい』

 「うん」

 「………」


 ”もしかしてアルは、ペットして買われていて逃げ出して来たって事ないよね? 貴族の間では魔道具で管理するペットがいるって聞いたし。キラだけに聞こえるのは、その声が聞こえる魔道具をどこかに忍ばせているのかもしれないわ!”


 「リナ、もしかして疲れた?」

 「え? 大丈夫よ。あと、少しでしょう?」


 初めのうちは、抱きしめ合うのを二人して照れてはいたが、間にアルが挟まっているので全身密着でないせいか、時間が経つにつれ慣れてしまった。


 「でも、休憩しよう」


 エストキラがそう言って、ボードは降下していく。


 「「解除」」


 ボードから降りたとたん、リナがふら付いた。


 「あ……」

 「危ない」


 ガシ。


 「ありがとう」


 エストキラが、リナの腕を慌ててつかまえる。


 「座って休憩しようか。立ちっぱなしだったもんね」


 二人は、その場に座り込んだ。

 エストキラは、かばんからコンパスを取り出す。発動させると、マップが表示された。


 「ねえ、MP大丈夫?」

 「も、問題ないよ。それよりやっぱりあの光は、ビーントヌ街で間違いないみたい」


 エストキラが、リナにマップを見せる。

 進む方向にビーントヌ街と表示されていた。


 ”絶対今、何かを誤魔化したわね”


 「ねえ、この街じゃないとダメなの?」

 「え? なんで?」

 「だってそこに行けって言われたんでしょう?」

 「言われたと言うか、教えてくれた?」


 ”やっぱり。誘導されているじゃないの!”


 誤魔化したのは、消費MPを1しか消費しないって事だ。隠す事ではないがアルの件があり、なんとなく信じてもらえないような気がした。


 「違う街にしましょう」

 「それは無理。というか、寄らないと無理だよ。食料がない」

 「どこかの村で……」

 「村はダメ!」


 村は管理されていると、シィが言っていたのだから寄ればリナだとがバレる可能性があった。


 「何でよ」

 「村は管理されているんでしょう?」

 「そんなの街だって同じよ」

 「でも、いる人数が違うじゃないか。それに村にはほとんど村人しかいない。よそ者が行ったら目立つよ。それと大量に買いだめできないよね?」

 「そうだけど……」


 村人は基本自給自足。店があっても神殿の者の為。二人が住んでいた村に至っては、宿屋さえなかった。


 「じゃ休憩区は?」

 「休憩区?」


 ”やっぱりそれは教えられていないのね”


 「キラが言ったように村に寄っても寝泊りもできないでしょう。けど街まで遠い場合、休憩区という場所が作られているの。そこでは宿屋はもちろん、店もあるわ。ないのは神殿よ」

 「え! 神殿がないところもあるの?」

 「そこは、街を行き来する人の為の休憩所だからね」

 「そんなところがあったのかぁ」

 「だからそこにしましょう!」

 「そこまで言うならいいけど、どこにあるの?」


 そう言われリナは口ごもる。街と街の間にあるとしか知らないのだ。道に沿って飛んでいたわけではないので、リリド街とビーントヌ街の間にあったのかさえわからない。


 「知らないんだね」

 「きっと間にあるわよ」

 「でもマップを見る限り、ビーントヌ街の方が近いのは確かだよ」


 そうマップには、休憩区を示す言葉はない。村は載っているので、休憩区も表示されるだろうと思われるので、近くにはないのだろう。


 「大丈夫だよ。僕達は、冒険者になりに行く事になってるから」

 「冒険者!?」

 「うん……」

 「ちょっと待って聞いてないわ」

 「あ、そうなんだ……」

 「そうなんだって……」


 ”キラはきっと冒険者がどういう者か知らないのね。討伐隊と一緒なのに……”


 「わかってるよ。冒険者がどういう者か。でも生きていく為にはそうするしかないから」

 「……でも」

 「薬草集めとかお使いとかあるって聞いた。それで暮らそう」

 「……そうね」


 ”両親を置いて私を助けてくれたんですものね”


 二人は暗闇の中、明るく夜空を照らす街の明かりを見つめるのだった。

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