梅雨の肌
べたついた肌は
六月のカタツムリ
空気中に
水分が多く含まれている
袖振り合う距離では無く
二の腕が張り付きそうになる距離
見えない世界には興味が無い
画面に映るDVDの映画
不意に声をかけられた
喉が渇いたという重心移動
張り付いた肌と肌
二の腕と二の腕
表面には
水分と油が混ざった物
剥がれる時の感触が
ジリジリと鳴る
人によっては気持ち悪くて
人によっては許せる以上の物
変な感覚は
心情のカリグラフィー
小さな折り畳み式のテーブル
500ミリのペットボトル二本
一時停止の画面と
先に飲んだ音
身体より前の床に
テーブルを置いて
そのテーブルの上に
ペットボトルを置く
古代人もびっくりの
この部屋の世界観
画面を見ることを
同じタイミングにしたがる
どちらかが待てるから
白線を引くことが出来るのだ
かけ声で始まる続きは
同じ中に居ることで
違うということを
掻き消しているのである
そればかりの世界になったら
未来には続かない
トイレに行こうとすると
聞いてくるから
止めなくて良いと言った
後で話してくれれば良い
一人になった時の役割もある
違う個体が二人で居て
違うことを認識しながら
感じたことを信用したい
続けようとする意思は
きっと
そういう形なのだ