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94話 店内の調査

「店のほうは今どうなっている?」

「調べはまだ進んでいませんが、衛兵が見張っています」

 道の角を曲がる。今日訪れていた店だ。建物と建物の間にある、裏道にある薄暗い店。その店内に灯りがついていて、外にいるはずの衛兵もいない。

「見張るように言った兵士達がいない。まさか、店を物色をしているんではあるまいな」

 店の扉を開けると、中にはレームとマルシアが店内を眺めていて、その姿を見張るように衛兵たちが取り囲んでいる。ボルドの存在に気がついた衛兵の一人が状況を報告する。

 どうやら、事を察したレーム達が、先回りして調べ始めたみたいだ。

「お主、やっときたか。これを見よ。酷い殺され方じゃのぅ」

 床の血くっきりと残っている。大量に血を流したようだ。

「ここで切られたのか、ずいぶん大胆になったな」

「死に至った原因は溺死です。あそこにある桶、そこに顔を入れて殺したのではと思っているんですが」

「でも今回は二人だぞ。気がつくんじゃないか?」

 俺が店のテーブルでレナルドと話していた時、店の奥でアーサは俺の服を洗濯してくれていた。でもその話をアーサはしっかり聞いていたから、ここで殺人が起きたのなら、たとえ店の奥にいようと気がつくはずだ。

「商店の中なら気付いて、すぐに助けを呼べたはず」

「死因は溺死とか言っておったのぉ。桶はそこに置いてあったのだろ?」

「ええ。溺れたのにもがいた跡がないとのことでしたが」

「死体はよく調べたのか?解剖をせねば分からぬこともあるぞ」

「彼らの親族にも彼らの死はまだ伝わっていないのです。その前に調べることはできません」

「融通が効かぬな…」

 レームの言いたいことはわかる。だが、引き取り人に許可をもらわない以上勝手に調べることができない。

「アルヴィよ。そなたはどうじゃ?」

「こんな残酷な真似をしたんだ、跡は大量に残ってる」

 返り血の跡、血を踏んだ靴の跡などは至る所で見つかる。少し大きめの靴だ。それは堂々と正面から入って、同じように出口に向かっていて、靴の血は玄関の敷物で拭き取られている。

「足を拭いて、ここから出て行った。大胆だな。でも店から出てきた人にしか見えない。殺すためにここにきてる」

「ゴミ捨て場の屋根から捨てるようなことをしていた奴が、急に堂々と犯行しましたね」

「そうだな。最初に殺された貴族はまだ、どうやって殺されたかはわからないんだろ?」

「ええ。親族に何度も話していますが、全く返答をしてくれないんです」

 レナルドが交渉してくれるという話だったが、それもだめになってしまった。もう無理やり調べられる権限があるやつに頼むしかない。

「勅書がもうじき届くはずです。それまではまだ…」

「そうか」

 下を向いていたのに疲れて、天井を見上げる。

「あれは?」

「また天井ですか?」

「小さい穴が空いてないか?」

 天井に小さな穴が空いている。

 椅子を台にして、近くで見る。確かに空いている。この穴はなんのために開けたんだ?…木屑が、床に落ちていることから、最近つけられた物だと思う。穴の削れ方を見るに下から上に開けられてる。よく見るとその穴の周りには血がついている。

「上の階を見よう。何かあるぞ」


 古びた階段を登る。何か気配のようなものを感じて身構える。

「誰もいないよな?」

「衛兵は誰もいないって言ってたけど…」

 いくつか扉がある。それぞれが一つの部屋として別れている、よく見る作りの部屋。下の階との位置関係的には、一番奥の部屋が、正面の入り口の上に当たる。

 扉を開ける。新調したと言っていた寝台か。蚊帳までついた豪華な寝台だ。

「お主、鋭いのぉ…」

 レームの持つ杖がカタカタと振動している。

「どうした?」

「お主が言うから、魔力探知をかけたが、何かが術を使ったのぉ。それも今じゃ」

「誰かいるのか?」

「いや小さい。このくらいの大きさの」

 レームが手で大きさを表す、指先ほどの大きさか?何?ネズミでもいるのか?

「お主、はようお目目を光らせるのじゃ」

 暗視カメラでベッドの下を覗く。何も見えてこない。サーマルに切り替える。

「こいつか…」

 指で糸のような生き物を取る。透明の透き通った、針金みたいな見た目だ。その体を指で押すと、透明が解けて体色を表す。

「虫の腹を水につけたら出てくるやつみたいだ」

「うん。そう見えるね…ニョロニョロ動いてる、かわいいなぁ」

 これが可愛いか?…いや、マルシアは動物全てが可愛く見えるやつだったな…

「此奴が魔術を使って姿を隠そうとしたのか。小さいくせに頭がいいのぉ」

「しかし、なんでこんなところにいたんだ?」

「うーん?…」

「なんでじゃ?」

「わからないね」

 他の三人とも見当がつかないようだ。こういうのは家に住んでる生き物じゃないと思う、どこかから持ち込まれてる。

「本当にこの穴を開けたのはこいつか?」

 もう一度ベッドの下を覗くが、何もない。なら、よくこの小さい体で穴を開けたもんだ。寄生虫にしか見えないが、透明になるし、穴を開けるし。こいつは何かすごい力が秘めているのか?

「この子については、僕が調べておくよ。先に犯人の足取りを追おうよ!」

「だな。そいつのことは今はわからないし、確かな情報を掴もう」

 外に続く足取りを追おう。この辺一体は事件発覚後、封鎖されている。足跡を追うことができるかもしれない。


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