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69話 姉妹

「終わりです。手を止めてください」

魔術師が審判に掴みかかる。

「待て!やり直しを求める!」

「そうだ!奴にあまりに有利すぎる」

「いえ、もはや明らかです。あなた達は実力が伴っていない」

「これは陰謀だ!」

「乱暴はよしてください。衆目の前ですよ」


「なんだって?事から逃げ回り、ただ調子が悪かったと言った挙句、このざまとは。おまえら誰に、いくら賄賂を払ってその地位を買った?」

 王が兵士を連れて言いよる。

「王よ!決してそのような!」

「兵よ、奴らを捕らえろ!王を欺いた罪は重い。後で全て答えてもらう」

王に、許しを懇願する二人の魔術師は、兵士に捕らえられて運び出される。


「すまなかったアルヴィ。あなたを利用するのは本意ではなかったんだ」

「何が起きてるんだ?」

「まあ、内輪の問題だよ。奴らは人を欺く才能はあっても、魔術の才能はなかったということだ」

「逮捕するほどのことなのか?」

「元々、黒い噂が多かった二人だ。賄賂でのし上がり、あの者らは他の者にも賄賂を要求していたという噂があってね。一度綺麗に洗っておこうと思ってね」

「そうなのか」


「皆!すまない。こんな場でこんな見苦しい様を見せてしまって。だがもう安心して楽しんでくれ!!」

王は民衆に大声で話しかける。

「さあ、あなたも存分に楽しんでくれ。麗しいお嬢さんもお待ちのようだからね」

シャーディアが迎えにきてくれていた。

「いきましょ?」

「ああ、シャーディアだよな?」

「うふふっ。えーい」

 突然抱きつかれる。薄い服から体が覗く。だが少し縮んだか?

「ちょっと!ナディア!」

 ん?似た顔の子がもう一人?

「ごめんなさい。この子は双子の妹のナディア」

「でもお姉ちゃんが先に抜け駆けしたんだもん!」

「この子はほっておいていきましょう」

シャーディアがナディアを押しのけ、腕を掴む。

「ちょっと!」

ナディアがもう片方の腕を引っ張る。両手に花というが力加減をもう少し優しくしてほしい…


「しかし、なんで会いにきたんだ?」

「私はあなたのおかげで助けられました。お母さんを助けてくれましたよね?」

「あー、いつのことだろう?」

「カネーリ丘にある盗賊の巣窟。そこにお母さんが捕らえられていたの。覚えてませんか?」

「思い出した。貴族の妾が捕まって、身代金を要求されたやつか。まさか、二人がその子供か?」

 遺跡で巨大植物を倒して、すぐの頃。

 相当狼狽した貴族がギルドに駆け込んできて、騒ぎ立てていたやつだ。その時は、俺とルルとで乗り込んで助け出した。あまり数がいなかったし、野ざらしの陣営だったので狙撃で数人撃つと、散り散りに逃げた烏合の衆だったのを覚えている。

「はい!お母さんが、神のような雷の魔術で遥か彼方から賊に天罰を与えたって言っていました。とても親切な人で、かかとを切られていて歩けなかった母を、背負って治療士に見せてくれたとも聞きました」

相変わらず、ここの人々は銃声を雷の音と思っている。だが善行はやっておくものだな。

「それで、今は元気か?」

「はい!足も治って、今朝も鳥たちの世話をしていました」

「なら良かった」

 まあ、逃げないように足の腱が切られていたが、それ以外に乱暴された様子はなかった。乱暴すれば報復で潰されることを知っていたから迅速に金だけもらって逃げようとしていたんだろうな。

「それで二人はなぜ?」

「本当はお父さんが会えって言ってたんだけど、多分皇女殿下が、そう命じたのかなって思います」

「私はあなたに会いたかったんですよ?」

 妹の方がグイグイくるな…

 胸の柔らかさを感じれるのはいいんだが、結構強い力で腕に組み付いてくる。

「それは私も同じです。でもまずはお父さんが会いたいって言ってるので」

「なんの用が?」

「それはわかりません…」

「もしかしたらお姉ちゃんと私を預けるみたいな話かも!」

「は!?」

「お父さんは、あなたはこれから大成する英雄だって言ってたもの」

「待ってくれ」

「いいから、いこ?それとも拳闘が見たいの?」

「仲間の方々にも、別でおもてなしの用意があるそうですから。心配なさらず」

 半ば無理やり、待っていた馬車に押し込められる。


「私はここにっ…」

ナディアに正面を向き合うように膝に座られ、手を掴まれて細い腰に回す。

「外しちゃおっ!お姉ちゃんも!」

「おいおい」

ヘルメットを外される。

「まあ!北から来たのよね?綺麗な目の色ね」

「翡翠の瞳。風の精霊の加護が強い人に目です。隠すなんてもったいないですよ!なんで仮面をつけてるんですか?お顔の傷を隠しているの?」

おでこの傷を撫でられる。まあまあ目立つ傷だが、隠すほどでもない。

「これを被って見たらわかる」

シャーディアがヘルメットをかぶる。

「なんだか色々見えます?これは、手の跡?」

「色々便利だからつけてるんだ」

「ふふっ。なんだかいい匂いがします」

「男が一日つけたら臭くなるからな。消臭ってやつだよ」

「むっ!私も!」

「ちょっと!引っ張らないでって!」

 姉妹がヘルメットを取り合う喧嘩を始めてしまう。

 しかし、どうしてここまで好かれているのかが全くわからん。行商人の妻は俺に直接助けられて、昔見た騎士の本みたいだとかで、恋をしているだの、あなたの子供が欲しいだのを、夫がいる前で言ってくるので、相当困らされたが、理由ははっきりした。だがこの子たちとは接点らしい接点がないので、好かれた理由がよく分からない。両親がよほど褒めてるとかなのか?

 それを知るのにもいい機会かもしれない…でもルルやボルドにはどう言い訳したものか…とりあえず、間違いは起こさないようにしないと。貴族の子には手を出すなとレームも言っていたしな。



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