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66話 祝いの席

夜が明け、城内で盛大な祝賀会が開かれた。

早朝に届いた品は、他の地から祝いの品も含まれていて、大変豪華になっていた。でも一番はそこにいる人たち全員がそれを喜んでいることだろう。

俺たちは主賓として招かれ、一番いい席に座らせてもらった。

でも堅苦しい祝いではなく、皆で喜び合い、歌い、喧嘩も始まるような明るい祭りだ。これは死者を送る儀式でもあるそうで、とりあえず今日は楽しむというのを目的としている。


かくいう俺も、カードに負けて、一番いい酒の一杯目を譲ることになってしまって、残念な気分になったり。でもサイコロの賭けに勝って、シルクのハンカチを貰ったりと楽しんでいる。

ルルは弓比べで遊んでいて、相当な腕前を見せているし、ボルドの力比べは、最初は腕相撲だったが、酒樽を持ち上げ、石畳を持ち上げと、己の力を競っての、かなりの白熱っぷりだ。



グラントが色々な賭けに付き合ってくれている。どうやら賭けごとが好きらしい。

そして今は馬の街路レースで賭けをやっている。このレースで勝った馬と、二着の馬は、死んだ人々の名前が書かれた石版を棺に入れて、それを海中にある墳墓に運ぶという慰霊の儀式に選ばれるらしい。


「悩んでいますな。私は栗毛が勝つと思いますぞ」

出馬する八頭のうち、俺の見立てでは栗毛のマハーと白馬のヒューイが早そうだ、青毛の奴は体格は一番いいが、ああいうのは長く走れても、早くは走れないように思う。他のも似たような感じで、特別感を感じない。

「あっちの茶色い方が体は大きい。でも白い方が足が長いし、毛並みもいい」

「でもあの栗毛は軍馬の一頭です。しかも元騎兵が騎乗する。よく走るはずです」

白馬の方は若い騎手だ、どっちが慣れてるのかは見てわかる。

「よし乗った。俺も茶色にする」

「ええ、きっと勝ちますよ」

馬と騎手が位置に着く、賭けが締め切られると、場は盛り上がりを見せる。

レースが始まった。

様々な声が街道を飛び交う中を、馬と騎手が駆け抜ける。

ゴールに近づくほどに人々の声も大きくなり、自分も応援する声が出る。


結果としては勝ち、グラントの見立ては正しかった。

「ふふっ。白馬もなかなかでした。ですが最後は的中しましたね」

「ああ。なかなかの競り具合で、ハラハラした」

白馬の方も悪くはなかったが最後の粘りが足りなかった。でもいい馬であることに間違いはない。

「あの二頭の馬は、儀式に選ばれるでしょう。さて、次は拳闘が始まります。場所は押さえてありますぞ」

「よし、見に行こうか」

拳闘は死んでいった兵士の慰霊の為の大事な儀式だ。どちらかが倒れるか、血を流すまで続くそうだ。そして勝者は、慰霊の際の海に潜り石版を遺跡に届けるという重要な任務を与えられる。これは大変な名誉で、その名は未来永劫語り継がれると聞いた。


会場となる競技場、そこはかなりの盛況で、他所からきた商人も多くいる。

「商人は情報が早いんだな」

「ははっ。みんな財布の中身を使う機会もありませんでしたから、今日は儲けどき、これを逃さない商人は良い商人といえましょう」

「だな。俺も見てみるよ」

「気を付けてくださいね。彼らの押し売りには強い意志が必要になります」


グラントとともに、商人のテントを見て回る。物珍しい毛皮だか、ヒスイだの水晶だのという財宝を売っているテントの前には若い女が多く、他所で作られた武器やら、防具を売っている場所には兵士と思わしき男がたむろしていた。

その中で、一つ気になる店があった。


「いらっしゃい。見ていってくれよ」

近くで見るとやはり、銃剣付きのボルトアクションライフル。

「これはどこで手に入れたんだ?」

「ああ、これですか?どこでしたかね…確か骨董品店で売れ残っていた、異国の槍だそうで。もともとの買い手が亡くなってから、売りに出されたと聞きましたが」

「触ってもいいか?」

「ええ、手にとって見て見てください」

6.5mmの口径の刻印に折りたたみ式の銃剣。これは騎兵用のカルカノライフルだ。こんなものどこで拾ってきたんだ…

「凄いな。爺さんの代よりも古い銃だ。俺の拳銃と同じぐらいの時期の武器だぞ…」

「それは、アルヴィ様が使われる武器と同じなのですか?」

「ああ。かなり古いが、本で見た覚えがある銃の一つだ」

ボルト周りもしっかり整備されているようで、弾丸さえあれば撃つこともできそうだ。

「これに付属してた弾はないか?」

「いえ。これだけですね」

弾は自分でなんとかするしかないか…

「いくらで売ってる?」

「銀貨5枚です。買手がなかなかつかず売れ残っているので、こんなものです」

質素な作りの槍と同じぐらいか、まあぼったくりってわけでもない。でも価値のわかるやつにとっては掘り出し物だぞ。

「買うよ」

「おお!毎度ありがとうございます」

銀貨を渡し、ライフルを受け取る。


「即決でしたな。もう少しゴネればいいものを」

「いや!あいつらこれをただの変な形をした槍だと思ってたが。俺の所ではもっと値がつくぞ」

ドワーフの鍛冶屋に弾の設計図を渡せば、似たような物は作ってもらえるはずだ。火薬は魔王からもらった能力で量産すればいい。

「まあ、いい買い物ができたのなら何よりです」

ライフルをスリングに掛ける。いい重さが肩にかかる。思わぬ収穫で気分が良くなっている。

「足取り軽くというやつですかな。さあ行きましょう」



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