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43話 謁見?

「こちらです」

門を修理する人々が見える。そこに人は皆、元気が無く暗い表情で、石を積んでいる。

「今日も襲撃があったようですね。今日は北門ですか…」

毎日違う方角から来ると言っていた。門の修復や破壊された城壁を毎日補修する作業に追われていて、反撃に出る暇がないとも。

「ボロボロじゃないか…」

ルルは壁の状態を見て、苦い表情を浮かべる。その壁はまるで砲撃を食らった跡のように陥没している。

そのあとは壁を登ろうとしたのか上へと直線でつながっている。

「破城槌が叩きつけられたかのようです。考えられないほど大きさだ」

壁の高さはだいたい10mほど。それであの高さに傷がついてるってことは…全長の予想は6から8mほどの大きさか。もし登られて内側に入られでもしたら恐ろしいな。

「使徒ってのは大きくなるものなんだな…」

蜘蛛は拳ぐらいの大きさから、蝙蝠も羽を広げても人間の肩幅ほどの大きさだった。何かが作用してその不死身を手に入れるそうだが、そうなった奴らは共通して巨大化している。きっとここを襲ってる蠍も元はただの小さい蠍と考えていいだろう。にしても巨大化し過ぎだな、どうやって倒せばいいものか…

ただとどめの一撃を加えられる武器があるだけだ。しかもこの鱗は弱った相手以外にはビビってるのか武器の形になろうともしない。何としてでも弱らせないとだめだ。

「何か策を考えないと」

「ええ。学者達も集めましょう。ですが一度王への謁見をお願いします」

「了解した」

「おお、とても名誉なことです」

「そうか…」


王宮のすぐ側に佇む迎賓館に到着する。

「こちらでお待ちください」

グラントに豪華な部屋に通される。赤い絨毯に、気品を感じる家具が取り揃えられている。廊下も豪華だったが、室内はもっと豪華だな。

「凄いな」

「流石です。とても上質な品が取り揃えられている」

ボルドと俺は部屋を見回すが、ルルは入り口で突っ立っている。

「ルル?どうした落ち着かないか?」

「私は王の前に出るべきではないだろう。ここで待っている」

「どういうことだ?」

「私兵という立場を気になされているんでしょう」

「そうなのか?でも俺とお前は対等の立場だ。気にしなくていい」

「わかっている。アル殿はそういうことを気にしないことは。でも種族間の優劣などもある。ダークエルフを連れている時点で上の立場の者達には偏見の目で見られてしまうかもしれない」

どうやらルルは自分の立場について気にしているようだ。確かにエルフと違いダークエルフは森で過ごすことを重視する、それで種族間の繋がりが薄いせいもあってか、気味悪がられる節がどうやらあるようだ。

ありもしない噂話を信じてる人も多い。そのせいでよりダークエルフは懐疑的になってしまってる。

ただ俺にとっては無二の戦友だ。そんなこと言われたら俺が文句言ってやればいい。

「そんなこと言ってる奴が王なら鼻で笑ってやればいい。まあ、緊張するから行きたくないってなら別に構わないけどな?」

「なんだもう!冗談を!真剣な話しなのに!」

「そんな気になさらず。堂々としてればいいんです。かくいう私も騎士としての誓いを立てる際、国王の前で緊張のあまり誓いの言葉を間違えていしまいましたが。ハハッ!」

「俺も上官が神妙な顔で『司令が呼んでる。すぐに来い』なんて言われた日には身が凍りついたが。今回は文句も言われなさそうだしな」

「だから、緊張してる訳じゃない!いや、確かに緊張はするだろうが。そういう訳じゃないんだ!」

「まあ、気にするなよ。前に出るべきじゃないなら俺もそうだ。墓場で生まれましたって言うわけにはいかないしな」

「もう…分かった。あなたの意思に従おう。二人ともいつもこの調子だ。ただ私を気にしてくれて、その…嬉しい」

「!!」

「!?」

ボルドと顔を見合わせる。その表情は驚きと嬉しさが混じった表情だ。きっとボルドと同じ顔を俺もしてるんだろう。

「ああもう!」

恥ずかしがり屋なルルは顔を真っ赤にしてソファーに座る。

すると扉をノックする音が聞こえ、扉が開き老齢のメイドがカートを引いて部屋に入る。

「失礼しますねぇ。船旅お疲れでしょう。少し待っていてくださいね」

慣れた手つきで紅茶をカップに注いで、机に並べてくれる。自分も座り、注がれたカップに口をつける。

温度も飲むのにはちょうどいい温かさで飲みやすい。結構砂糖が入ってるのか、かなり甘い。この地域の飲み方なのかな?

「お菓子も出せなくてごめんなさいね。それに少し古い茶葉を使っていまして、お茶の味も良く無いでしょう?」

分からなかった…

「物流が滞ってるのか?」

「そうなんです。いつも取引している商人の方が最近訪れなくなっていまして、良いお茶が手に入らなくなくって。それじゃあ失礼しました。」

日常的なことにも影響が出てるんだな。

「ちょっと待って、あのここにはギルドは無いのか?」

「ええそうです。ハーディ陛下はギルドを作ることに反対派で、民の安全を民に任せるのは良く無いとの考えをお持ちのようでして」

当然守りを考えていればいい国はそういう選択を取るだろう。ただ一応ブレードックを管轄してるユートシアっていう国は隣国と関係が悪いようで、近いうちに戦争が起きてもおかしく無い状況らしい。だからイザベラの父親はゴーレム製造を急いでると言ってたな。

だから戦争とかで兵士を遣わせるのがが難しくなった時、独立して魔物とかの問題解決に動けるギルドっていう組織があると暮らす人々は安心できる。ただ統制がとれてないと盗賊や山賊みたいに成り下がる奴も出てくるわけだが。

「そうか。引き止めて悪かったな」

「いえいえ。それでは失礼致します」

「おお。失礼」

入れ替わりでグラントが部屋に入る。その後ろからライオンみたいに髪の毛を逆立たせた、金髪碧眼の美しい顔立ちの若い少年が続いて入ってくる。その姿を見るとボルドの表情が変わり椅子から立ち上がる。

「いや、座っててくれ!疲れてるよな?色々あったって聞いたぞ。それじゃあ、一応、我がイライ・ハーディ・スィラージュ。この国の王だ。それとあのヒゲブタは本当に帰ってこなかったんだな。どこに行ったんだ?」

「エイブラハム卿ですが、命の危険を感じられたそうで定期船で帰られるようです」

「どうせ遊んで帰って来やがるからな」

そう悪態を付きながら、椅子に足を投げ出してドカッっと座る。

「彼らがアルヴィ様とルル様です。話は聞いていましたよね」

「ああ。お気に入りの商人から聞いたぜ。三人共、わざわざ遠くから来てもらったな、感謝する。ああ、形式張った挨拶は別にいいから、早速本題から話していこう」

とてつもなく自由な人だ。俺が飲んでいた紅茶を飲み始めた。

「もっと砂糖入れたほうがいいぜ、これ!俺は甘いのが好きなんだ。まあいいや。そんでだな事情は知ってるよな。牛みたいに膨れあがった蠍の怪物が現れたんだよ、いや牛じゃないな、なんだ?」

「大きさについては彼らも知っています」

「あーっと、そう。サンドワーム!まあそんなに長いわけじゃないが、とりあえずでっかい。それが現れてからというもの毎朝、毎朝、城壁を殴りつけてくるわけよ、それで一回倒したんだ。それをみんなで喜んでたら、あら不思議、姿がないわけ。それからというもの、その殴りつけるのが本気で破壊して乗り越えようとするようになった。壁は穴だらけだし毎日十人は死んでいく。困り果てた時に思い出したわけよ、商人が言ってた(ドラゴン)の使徒の話を。その話の中に出て来たのが、アルヴィってわけだ。そんでさっさと助けに呼んだほうがいいって言ったのに、やれ噂話だとか、足元見られるだとかごちゃごちゃ言われたわけだが、みんないい人っぽいな。乗り合わせた奴らを身を呈して守った話はさっき聞いた。そうなんだろ?」

「一緒に戦ったというのが…「だろ?それじゃあ本当に倒せるんだよな?信じてないわけじゃない。でも不死身の怪物を殺してくれるのは本当助かるんだ。どうなんだ?」

「二回とどめを刺して倒したのを確認してる。今回も同じなら倒せるはずです」

「だよな!なら安心だ。それじゃあ、報酬についてだよな。前払いとして父さんの持ってた装飾品をやるから…」

「よいのですか?前王の遺産ですが」

「いいんだよ!どうせ使いもしないんだから。持って来させるからちょっと待ってろよ」

王様は小走りで部屋を出て行く。

「驚かれましたか?」

「ああ。あんな若いとはな」

十二歳ぐらいに見えた。まだ子供と言っていい年齢だろう、それで王様とは大変だろうな。

「前王が病で亡くられて、一人息子であるイライ様が王に選ばれたんです。ですが堅苦しい事柄がお好きではないようで…」

「友達と話してるみたいだった」

「そうですね。それに今日はいつも以上に前のめりです。興味を持たれているのかも」

そして、部屋に戻ってきた王様にひとしきり俺の装備や道具について聞かれて、砂漠でも暑さを気にせず活動できるファンアタッチメントを欲しがられたり、銃を撃ってみたいと言われたりとかなり興味を持たれているのを実感した。


「お!きたきた。入れ」

「失礼いたします。ご指定の品をお持ちしました」

「そうそう。これだ」

装飾のない銀色の指輪、そこには文字が刻まれていて赤く光っている。

「この指輪には拘束の意味があって罠を張る術を唱えられる。これはアルヴィが使いこなせそうだ」

「ありがたい」

「そしてボルド!お前は盾の使い手、だからこれだ」

左手に装備するガントレットというやつだろう。そこには青い結晶の棘がびっしりと生えている。

「これをつけて盾を持てば、重くなる代わりにトゲトゲで反撃できる。引っ込めることもできるらしいけど、そこは使って慣れてくれ」

「おお!感謝します」

「それでこの石の鏃のアミュレットはルルだ。射った矢の数が倍になるっていう効果がある」

石の鏃に二枚の羽がくくりつけられたお守りだ。

「ありがとう」

「うん。不良品だったら言ってくれ。それじゃあやることが残ってるから戻るよ。あ、他に必要なことがあったら爺やに伝えてくれ」

「成功報酬についての話を忘れられていますね、後で話しておきます。それでは、学者方のところに案内しましょう」

さて、本格的に作戦を練る段階に入りそうだ。


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