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35話 不気味な柱

あれから少し時間が経った。救出された奴らの応急手当が始まり、使いを出して助けの馬が来るのを待っている状況だ。

未だあの巨木は動く気配がなく、奴が吐き出した腐液に地面や草が焼かれて煙が立っている。ただこちらから刺激するわけにもいかず、ただ座り込んで奴の観察をすることしかできない。

「それであれはなんなんだ?」

「ふむ。わしでは見たままのことしか言えんのぉ。でも、そうじゃな…でもあれは不気味じゃ。お主の探しとる使徒に通ずる不気味さがある」

だがあれは使徒でないことは確実だ。今回は鱗が何も反応していない。ということは別の何かで、なぜかここに現れて学者達を食い始めたってことだ。

「ルルはどう思う?」

「うーん、何なんだろうな。見たことない生き物?だから、ただ恐ろしいかな」

「ああ、あの見た目。気味が悪い…」

時たま、鼓動するように触手をよじる。ただの痙攣なのか、はたまた獲物を狙う機会を狙っているのか。生き物かすら分からないそれからは意思を読み取ることも出来ない。

「奴は何を考えてる?…」

ため息のように言葉が出るが、だれも答えは持っていない。

「まだ来んのかのぉ…わしはもう疲れたわい」

気の抜けたようにへたれ込むレーム、それにつられて自分もへたれ込んでしまう。

「動き出したらもう一仕事になるな…」

「アル殿も疲れているな。慣れないことをしたんだ、無理もない」

そんなことを話していると、学者と思わしき格好をしたフードを目深に被ったボロボロの男が話しかけてくる。

「ああ…」

「どうした?」

ふらりと近づいて来た、その瞬間両手を上げて襲いかかる。

「おい!」

顔と首を掴まれるが、とっさに体押しのけて拳銃を抜く。

相手は腰から刃物を抜きこちらに向けて、刺そうとして突撃して来る。

「どういうつもりか!」

ルルが弓で背中を殴り、倒れこんだ男の顔はゾンビのような形相をしている。

「彼女に近づくな…彼女に近づくな…」

その口は動きもせず、よだれを垂らし、同じ言葉を繰り返し始める。

そして押さえた男の体が発光し始め、血が木に向けて飛んでいく。

「何が起きてる!?」

「なんじゃ…?」

その血を吸収した大木は力を取り戻したように触手を振り回す。

「危ない!」

倒れた男をまるでかばうかの様に周りに立っていた俺たちを弾き飛ばす。回避が遅れたルルが触手に捕まえられる。

「くっ、離せ!!」

腰に携えた矢を抜いて、炎を宿しそして深く突き刺す。

「レーム頼む」

「任せろ!」

緩んだ触手をレームが焼き切り、ルルが逃げ出す。

「怪我は?」

「大丈夫」

「ルル、お主もなかなか豪毅よな!じゃが、わしらはもう長く持たんぞ」

「大丈夫、みんな事に気付いて逃げ始めてる、それに」

別の腕が襲いかかるが、ルルの肩を持って回避する。

回避のスキルも使い慣れてきた、前ほど消耗しなくなったのを感じる。

「旦那!待たせたな!!来たぜ!」

ケビンがなぜかレイレイを連れて来ている、そしてレイレイは心配そうな顔でこちらに駆け寄る。

「二人とも大丈夫?ほら薬を飲んで」

「どうしてここに?」

「ただ嫌な予感がしてたの。女の勘を甘く見ちゃダメよ?」

「ギルドの周りをウロウロしてたから拾って来た。しかし旦那、いつも危ない目にあうな。悪病神でもついてるんじゃないか?まあいいや、さあもう逃げようぜ!」

ああ、あの恐ろしい顔の悪魔が頭に浮かぶ、あいつが因縁をつけられてて俺が被ってる可能性は全然ありそうだ。

「はぁ…」

「フフッ、暗い顔しないの!大丈夫よ。私があれはどうにかしてあげるから。さあ、魔女の力を魅せてあげるわ!」

「姉さんも戦えんの?」

「あら、戦えないなんて一度も言ってないわよ?」

「なあ旦那…知ってたか?」

「ああ。身を守るぐらいできると言ってたが…」

レイレイが杖に跨り宙に浮き、指先を大木に向ける。

『燃えよ。尽きよ。燃えよ、源を持つ生よ。その泉は枯れ、その生は終わりに向かう。万死を告げる雷鳴と共に』

「こりゃ見者じゃ」

レームが光の障壁を立てる。

「おやすみなさい」

その言葉と共に、天から落雷が落ち、柱は内側から裂ける様に炎が飛び出す。触手は内側から膨らまされた様に弾け中から熱された液が溢れる。

「ね?すごいでしょ?」

レイレイは自慢げに振り向き笑う。

「そうだな…」

「とんでもねぇ…」

「凄い…」

「お見事じゃ」

「ウフッ、あなたより私が弱いって証拠だけれどね。あなたは加減できないものね」

「そうなるのぉ。でもお主はわしらを巻き込まず、奴を倒した。完璧な仕事。見事、見事じゃ」

「じゃあ帰りましょ?後始末はギルドに押し付けておくから」

「ああ、そうしよう」

あんなたやすく倒してしまうなんて…戦略兵器見たいな攻撃を持ってる奴が強い魔術師ということなのか…

「うーむ…」

レームは難しい顔をしているが正体を調べられなくて不機嫌になっているんだろうか?

まあいい、もう疲れた…新しい術は、体に悪い…


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