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33話 違和感

「でもよく壁の内側にある穴に気がつきましたね」

学者の一人がレームに問いかける。多分レームが見つけたと思っているんだろう。

「わしじゃなくて、こやつの持っとる空の目じゃぞ」

「空の目?」

レームが少し自慢げに自分のことを指差す。

「ただの機械だけどな」

「あの空に浮いてたやつですか?」

「ああ。あれで構造物の内部を透かして見えるようになるんだ」

「それは私たちが喉から手がでるくらい欲しい物ですよ!」

「もともとは地下トンネルを探るための道具だから、見えて地下六階分ぐらいだ」

「いやいや。それがあればここの探索が一瞬で終わっちまうぜ!」

「でも、見て回るのは大事ですよ?」

忙しない少年は不服そうな顔だ。聞いたところによると数日前にはしゃいで怒られたそうで、久々に遺跡に入ったそうだ。

「確かにそうだな。目で見ないと分からないことの方が多そうだ」

「そうですよね!わかってるなぁ〜。そうだ!自己紹介がまだでしたね。僕はアンドレアスです。そしてメガネで勤勉なテリーさん、鍛えるのが趣味のバステさん、記録担当のルーカスさん、元炭鉱夫でピッケル捌きは達人のジールさん、罠と金品に詳しいクリフさんです」

テリーは本を身につけていてよく見ると指は炭に塗れている、バステはこれは戦士といった肉体にシャベルとピッケルを背負った男、ルーカスは気弱そうだが綺麗な身なりをしていて学者らしい姿で、バステと仲良く話すジールはこの中では一番年上だろうか?クリフは少々胡散臭さい見た目だが面倒見がいいのかアンドレアスも慕っているようだ。

「俺はアルヴィ、彼女はルル。レームのことは知ってるよな?」

「ええ。知ってますよ!かの英雄の一人、まさに生ける伝説ですから!」

「そこまで言われると照れるのぉ」

この爺さん絶対言われ慣れてるだろうに…

「それで具体的にはどんな研究をしてるんだ?」

「えーと。大衆が使う言葉とか、昔の貴族の生活とか、でも石碑はあんまり見つかってないから魔術の発展に貢献できてないんですよね。そのせいで予算も回ってこないとかで…」

「余計なことは言わなくていいいんだよ!」

クリフが頭を小突く。どうやら懐事情は良くないようだ。かといって魔物がうろつくせいで観光地にするわけにも行かないしな…

「ハハッ…俺らの仕事は遺跡の補修作業と怪物退治ですよ」

バステが肩を落とす。ギルドからの派遣もほとんど無いらしく自衛が必要みたいだ。

「あーー。そういえば一度も魔物に会わなかったんだが、こういう日もあるのか?」

「いや、無いな。今日は特別だ」

その言葉に皆が頷く。

「昨日何か変なことはあったかのぉ?」

レームは違和感を覚えたようで、立ち止まってなにやら魔術を使い始めた。

「それは気になるな」

「昨日?いつも通りだったが」

「いや…」

ジールはそう言ったが、ルーカスは何か考えた様子だ。

「歯切れが悪いのぉ」

「昨日ですよね…?何かあったような…でも、思い出せないんです」

「そうか。ならばお主は魔術を使えるか?」

「はい。一応は」

「ジール。お主はどうじゃ?」

「いや。使えないな」

「そうか。そうか…」

そう言いながら作業に戻っていった。しかし、どういうことだ?… その質問の意味がわからない。魔術が使えることに意味があるのか?

「お主らは先に行ってよいぞ」

「…ああ。わかった」

だが全員が何をやってるんだ?といった表情で顔を見合わせる、だがそれを気にせず集中してるレームを仕方なく置いて目的地に向かう。


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