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31話 遺跡へ

「あら、こんな遅い帰り。ルルちゃんは拗ねて寝ちゃったわよ?」

「拗ねる?」

「ウフフッ。嘘」

「タチが悪い」

「嬉しくないの?」

いやいやと手を振って水を飲む。

「冷たいのね。せっかく起きて待ってたのに」

「なんだ。一緒に寝るのか?」

「あら。本当?」

「嘘だ」

「仕返し?もう…子供ね」

「ああ」

玄関先から居間でたわいも無い話をし、着替えてベットに入る。長時間本を読んだおかげか寝転がった瞬間に眠気が襲う。


ルルとレイレイがドタドタと朝食の準備している音が聞こえて目がさめる。

「おはよう」

「ああ。おはよう」

「アル殿、今日はどうするんだ?」

「今日は遺跡に行ってみようと思う」

「遺跡?」

「ああ。試して見たいこともあるしな」

「そうか、私も同行する」

「助かる。それをくれないか?」

ルルが持っていた籠のパンを指差す。

「ああ、どうぞ。しかしどうして遺跡に行くんだ?この辺りの遺跡は新しさは無いと思うが?」

「ありがとう。特に深い理由はないんだ。半分観光みたいな気分だ」

「あと半分は?」

「もしかしたら別の道が見つかるかもなって」

「フフッ。あなたも物好きよね」

レイレイが席に着く

「おはよう。レイ」

「ええ。おはよう」

「アル殿。遺跡に魔物が出ることはわかっているな?」

「もちろん。奥に行けば行くだけ強いのが出るんだろ?」

「ウフフッ。牛頭の子は本当に恐ろしいのよ?私も出口までずっと追いかけられて本当に怖かったもの」

「ミノタウロスか。うまく仕留めたらブルズアイだな」

「全く…そんなことを言っていたらいつか命がなくなるぞ」

「アルヴィちゃんのいつもの冗談よ。気にしちゃダメよ?」

「すまない…本気で言ってると思った」

「ね?口を開くたびに最初の印象が崩れて行くのよね」

「…」

ルルは無言でそうだ。という顔をしている。

「別にこういう時には冗談を言うぞ?」

「ならもう少し、その…笑いながら言ってくれ。表情が変わらないから本気なのかと思った」

「表情が硬いか…」

「お酒が入ると可愛い顔するのだけど。ね?」

「大人になった証拠だよ。」

「あら。それじゃあ私たちの前だから冗談を言ったってこと?」

「そう言うことかもな」

そう言うと二人が顔を合わせて笑顔になる。

「アル殿。レイレイ殿。私ももっと笑いあえるように頑張ろうと思う」

「そう言うのは言わなくてもいいの。ね?」

「そうだな。俺も次からは笑顔を頑張るよ」

二人との朝食は独特の優しい雰囲気に包まれている。こっちに来てこんな友人。いや、家族か?…小恥ずかしいがそんな様に思えてくる。その場に居ることができることに感謝しよう。


「じゃあ行ってくる」

「気を付けてね」

ルルと家を出る。昨日レームと話したら案内してくれるそうで待ち合わせの場所に向かう。


「おお!わしの方が遅かったのぉ。待たせたなお二人さん」

「馬車も付けといた。行こうか」

「それじゃ出発だぜ。御三方」

レームが馬車に乗り込み馬車が進み始める。


「しかしよぉ。今更遺跡なんて相当な物好きしか行かないぜ?」

「まあな」

「アルヴィの道具を使えば、道を開拓できるかもしれんと言う話になってのぉ。試してみようってことになったんじゃ。それにこやつの初魔術を見届けてやらんとな」

「アル殿。緊張しているのか?」

「まあな」

「さっきからまあなばかりじゃないか」

「そう気張らんでも良い。一字一句覚えておけと言うわけでもないんじゃぞ?」

「イメージトレーニングだよ。分からんことばかりなんだ」

「魔術ねぇ。文字が読めるだけ恵まれてるってもんよ。俺は仕事に関係ある文字以外読めねえからなぁ… いつも代筆ってのに頼ってるが、俺もできるようになるといいよなぁ」

「恋文も書けんからのぉ」

「だよなぁ… 思いを綴るって、いい男って感じするなぁ…」

「代筆があるんだろ?」

「旦那。わかってないなぁ」

「その通りじゃ。自分で書くってのが大事なんじゃ」

「そうか… ルルはどう思う?」

「な!私に聞くな!貰ったことなどないから分からない、だが… 嬉しいだろうな」

顔を赤くして俯いてそう言う。

レームとケビンは話を続けるが、ルルはこういう話は苦手みたいで外を見ている。俺も語ることもないし、銃の整備でもして、心を落ち着けよう。

魔術。俺の知らない技術だ、俺が使えるイメージが湧かない。それに、あの飛び飛びの本を読むのは頭を悩ませたが… でも使えるなら使ってみたい。

「なあルル。魔術ってどんな気構え?で使ってるんだ?」

「うーん。難しい質問するんだな。大丈夫、本の内容を思い出してスペルを唱えれば発動する。最初は弱くても使い慣れれば威力は出るから」

ルルが肩に手を置いて優しく言葉をかけてくれる。

「そうか。まあ考えても仕方ないな」

「ああ。もうじき着くから。ほら野営地が見えて来た。あっちだ」

ルルが指差す先は古い石造りの建造物とその周りに多くのテントが立ち並んでいた。

「見えて来たな」


少しして馬車が遺跡に到着する。レームは先に降りてテントの方に向かっていった。

「旦那。遺跡に入るのは自由だが、邪魔はするなよ、ここの奴らは相当おっかねえからな」

「ああ。今驚いてるところだ」

そう。俺の思っていた研究者とは違う。いかにも屈強な肉体の男達が遺跡を出たり入ったりして何かを運び出している。中には石の塊を一人で担いでいる奴までいる。

「鉱山みたいだ…」

「私もびっくりだ。こんなところとは…」

ルルも驚いた顔をしている。ケビンは少しビビってる感じだ。

「おーい!こっちじゃ!」

レームの隣には老齢の筋肉質で厳しい顔つきの男が腕を組んで立っている。

ルルが少し強張った顔でこちらを見る。

「アル殿、呼ばれているな…」

「ああ…」


「よし。こやつがここの責任者、ゲオルグじゃ」

無言で見つめられて、少し戸惑ってしまうが挨拶を返す。

「アルヴィ・アーセナル、よろしく頼む」

「私はルル・ツァスタ」

そう言って頭をさげる。

「邪魔はするな」

そう言い残してテントに戻っていった。レームも困った顔をして、奴は気難しい奴だからと言った。

「気を取り直して。さあ、ゆくぞ!」

一応魔物も出るらしい、気をつけていかないと…

お久しぶりです。これからもたまに投稿します。

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