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22話 穴倉

「ここだ」

馬車で約一日かけて到着した場所は暗い洞窟、村はずれの洞窟に生き残りが暮らしているそうだ。

「首長、連れて参りました」

「遥々良く来てくださった。私がカモフ村の首長、ケル・ロディエルです、あなたの事は聞き及んでおります」

「ああ、アルヴィ・アーセナルだ、よろしく頼む」

「こんな場所でもてなしの一つもできませんが。奥で話をいたしましょう。他の長も集まっておりますので」

その洞窟の中では、けが人に完全に精気を奪われ放心状態の者が多く見られた。かなりの被害みたいだ


その奥には、ざわざわと俺の姿を眺め、訝しんだ目で見る老人のダークエルフ達。その中でかなり年老いた男が口を開く

「こんな怪しげな人間を連れてくるだと!ケル、貴様ふざけておるのか!」

「そうだぞ、もしこの人間が奴隷商人の手先だったらどうするのだ」

それからも暴言を吐かれる。もう帰りたくなって来た…

「静粛に!このお方は本当に祖龍(エンシェントドラゴン)の鱗を持っていた、力は確かに持っております。それに悪条件も飲んでこの村を救うと仰った人だ、無礼はやめるべきだ」

「だまれ、若造が!我々は人間にされた事を忘れるつもりはない!」

「そうして恨んでいたせいでこの村は発展しないのです、ご老公。少しは未来の事を考えるべきだ!」

「だまらんか、貴様が先代の首長の息子じゃなければその席はわしが座っとったんだぞ!それに…」

そしてそのジジイは人間にされた事を全部俺が悪いみたいな言い方で毒を吐いてくる。

「なあ、俺にその怨念をぶつけるならもう帰らせてもらう。勝手に滅びてろよ。俺には関係ないことだ」

「なに!貴様、本性を表したな!やはり人間は二枚舌なんだぞ、救うなぞと言って我々を支配する腹積もりなんだろ!」

「お前ら、被害妄想も大概にしろよ?もういい、俺は降りる」

「待ってください、どうか!」

「最初から条件が悪いくせに注文は多かったからな。俺は聖人じゃないんでね。嫌な事はやらない」

「ならば鱗を置いていけ!貴様なぞ必要ないんだ、我々だけでなんとかしてみせようじゃないか!」

「何を言ってるんです!もう戦える者は少ないのです、このお方の力がなければ倒すなんて到底無理だ アルヴィ殿どうかお考え直しください。今までの無礼はこの村の代表として謝罪させてもらいます」


その洞穴から立ち去り、外に出る。

あの老人が若い頃に人間やエルフに支配され差別されていたそうだ、だから人間の俺も同じに見えたんだろう。

はあ…なぜここまで言われて救わなきゃいけない。軍の時の上層部の無茶な命令は俺たちへの信頼があった、でもここの奴らは人間を恨んでる、言い返さない俺になら何言ってもいいと思ってやがる。そんな奴らを助けてやる必要が…

「はあ……」

でも爺さんみたいな英雄になるには必要な事なんだろう。やるしかないのか…


考えてる内に夜になり、ここに居ろと押し込められたのは暗いジメジメした洞穴。食事もでないのでレーションで済ませ、硬い地面に光学迷彩のマントを敷き、カバンを枕にして寝転がる。

「アルヴィ殿、よろしいか?食事を持って参りました、遅くなってしまい申し訳ない」

ケルとルルは気を使ってくれてるみたいだ、人間に食事を分けるなんてあの老人達は許さないんだろう。

「もう済ませた」

「そうでしたか… その…アルヴィ殿、誠に申し訳ない。この無礼は首長である私の不徳の致すところだ」

「本当にすまなかった。私はこうなる事がとわかっていた…」

「やるよ」

「え?」

「やるって言ったんだよ」

「本当によろしいのか?…」

「ああ、でもイラつかせたのは許さない。あんたらじゃなくてあの老人共が謝るまではな」

「そうか、よかった…」

「あの老人達は人間を恨んでいるが、私たちの世代はそうではありません。元気な若い者達はあなたの事を噂している、よかったら使ってやってください」

「そうだな、こき使ってやる」

このまともな首長に免じて仕事はしてやろう。でも気に食わないのは事実だが…


「首長!村の方角にまた現れました!」

「出ている者を隠れさせなさい!」

「見にいっていいか?」

「危険ですよ!」

「村はどこだ?遠くから見物するだけだ」

「私が案内しよう」

「頼む」

ルルの案内で村に向かう。その側から何人かの若いダークエルフが逃げてきてすれ違う。


「アルヴィ殿、私はあなたの事をなんと呼べばいいだろうか」

「アルでいい」

「そうか、アル殿。あの蝙蝠はきっと吸血鬼の主が倒されて逃げ出した眷属だ」

「嫌な思い出があるな…」

「そうなのか?散らばった眷属は各所で悪さをしているようだな」

「誰かに龍の使徒に変えられたんだろう、ウロボロス、いや、大きい(ドラゴン)を見たか?」

「いえ、そんなことは…」

ウロボロスはとても大きな怪物らしい、やはり小さい奴が手先として動いてるんだろうか…


「あれです…」

「キィイイイイイイイ!」

その空に巨大な蝙蝠が羽ばたき、高音を鳴らす衝撃波を飛ばし、村の建物を破壊していた。

「すごい音だな…」

「まるで破壊を楽しんでるみたいでしょう?私の故郷をよくも…」

「凶暴性が増すと聞いたが、あの蜘蛛はあそこまでじゃなかった」

「もう戻らないか?見つかると大変だ」

「いや待て」

吸血鬼がサーマルカメラに映らなかった理由が分かった、体温を下げて闇に溶け込んでたんだ。あの大きさだと意味がないみたいだが…

あの大きいのにはSAMでも撃ち込んでやろう、熱誘導は無理そうだがレーザー照準ならいけるだろう…


「よし、戻ろう」

「わかった、早く帰らないと…見つかると精気を吸い取られてしまう」

その後、あの穴倉に戻り情報をもらう、長弓で地面に落として一度殺したが蘇りまた暴れ出したそうだ。もう間違いないだろう、あいつは使徒だ。明日、色々やってみよう。



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