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21話 依頼

「アルヴィ殿は龍の使徒を倒されるのでしたな、進展は聞いていますぞ。雪山の蜘蛛を倒されたと」

「何か他の奴は聞いてないか?正直、情報が無くてな」

「いえ、この辺りでは聞いていませんな」

「そうか、自分で探すしかないか…」

「何か聞いたら知らせましょう。それとウロボロスの動向にも目を光らせておきますぞ」

「頼む」

残念ながら荷馬車は定員オーバーだそうで合流できるまで歩いて帰る羽目になった。


「はは、そうでしたか。アルヴィ殿も軍に」

「ああ、治安維持の任務をやってた事もある。まあ、俺が守ってたのは国民じゃなくて国のプライドだがな…」

「やはり… その、聞きづらい事を聞いてもよろしいか?」

「いいぞ」

「あなたの属していた軍と言うのも腐敗しておりましたか?」

「まあな、ただ飯と酒がもらえるから軍に居座ってる奴らもいた。補給品を勝手に使ってそれを見過ごす上官もたくさんいた、まあだから精鋭の部隊に入ろうと思ったんだ」

「そうでしたか…私たちの衛兵の中には盗賊から賄賂を渡され、わざと見逃すなんて真似をしている連中がおります、それに…いえ、言い出すとキリがないですな」

「上官も甘い蜜を吸ってるんだろ?それじゃもうダメだな」

「ええ、貴族が支配していた時代に比べると腐敗はましになった気がしますが、ですが…」

「こういうのは素面で語るもんじゃない、帰って飲みながら話そう」

「これは失礼した、もっと軽い会話にしましょう。そうだ、今はどの辺りにお住みになられているんだ?」

「東の商店街の魔女の店だ」

「未来視の魔女の店に!?」

「ああ、俺が死ぬかもしれないから面倒を見てやるって言われてな」

「そうでしたか、噂ほど悪い御仁でない事は聞き及んでおりましたが」

「今回の煙玉もあいつに使えるって言われて渡されたんだ。未来予知なんて怪しいなって思ってたが今は信じてる」

「そうでしたか、それは助けられましたぞ! その…本当に魔女なんですな?」

「多分な」


途中で馬車に拾われ街まで戻る、換金と報告を済ませ酒場に向かう。

「今日は私が奢りましょう。あなたのおかげで一日で事を済ませることができた」

「んじゃ、頼むな」


「ええ、リザードマンなどとの国交は案外あるんですよ、魚の養殖は素晴らしい技術ですからな」

「へぇ、養殖なんかもやってるんだな。それじゃ獣人ってのはどうなんだ?」

「そこが一番の問題なのです。少し前の時代、獣人と言うのは人間に比べて知性に欠けるとそれを貴族が面白がって奴隷にしていました、そのせいで今の獣人達との関係は冷え込んだものです。本来の彼らは種類ごとの群れを形成していたので統一された言語や教養を持っていなかった、ですが今の彼らは人間と同等の知性を持っている」

良く似た事案を知ってるな…今は改善の途中なんだろう。

「奴隷売買の被害はまだ終わっていない、それにまだ獣人を見下す者も多い。王はそれをやめさせようと努力されているが…」

「獣人の王様でもできないと変われないだろうな」

「それはいい案かもしれませんな…プライドの高い上の者がそれを許すわけないでしょうが」

そこから酒が進み、たくさんの政治の話を聞く、興味深い話が多かった。


「アルヴィ殿のぉような、外からの目も入れるべきだと私は思うのです…」

「頼まれれば俺はやってやるぞ!!クソッタレの政治屋共なんか大嫌いだがな!!いつもいつも危ない所に送り込みやがって、勲章程度じゃもの足りねえんだよ!」

「その問題はですな…もっと…良い方法があるはずで…」

「いつも偉そうに命令しやがって、しくじったら俺達に責任をなすりつけやがる!ふざけるなってことだよ!!聞いてるか?このハゲジジイが!」

「おい、あんたらもう家に帰んな、酔っ払いすぎだぜ」

「もう帰ろうぜ。ボルドさんよぉ!」

「ええ…そうですね…妻にまた怒られてしまう…」

「んな、ガツンと言ってやればいいんだよ!ならグチの一つでも聞けってな!!」

「そんな事を言ったら…」

「言わねえと分かんねえ事もあるんだよ!」




「ねえ、起きなさいな」

「ああ」

「あなた、昨日玄関で寝ていたのよ?もしかして悪い友人でもできたのかしら?」

「かもな…頭が痛い…」

「もう、ほらこの薬を飲みなさい。とっても苦いわよ?」

「そうだな…」

完全に二日酔いだ…

「ねえ!今日はここに居るのよね?」

「そうしようかな…」

ここにきてから疲れてたしな、今日はいいかもな…

「ウフフッ、それじゃあおやすみなさいね」

その日は夕方まで寝ていた。起きてレイレイと買い物に行き、その日を終える。


「さて、行くかな」

「今日はこれを持って行ってね」

あれから何日、ボルドやクロエと共に依頼をこなしてまわった。でかいエビのキルクローやらモンゴリアンデスワームみたいな昆虫種はジャイアントラットの死体を食い破って出てきたな。それに気味の悪いでかいトンボには苦戦したりとまあ、たくさんの依頼をこなしたってことだ。

そして今日俺に名指しの依頼が届いたと聞いて、ギルドの応接室に通された。


「あなたが…」

その部屋にいた人物は弓を背負ったダークエルフの女性でこちらを鋭い目つきで睨んでいる。

「どんな依頼なんだ?」

「龍の鱗を見せてください」

「え?」

鱗を取り出して見せる

「本当なのね…行商人の話は嘘じゃなかった…」

「えー、用事は?」

「あなたの事を行商人の人に聞いた、龍の使徒にとどめを刺したと。本当なのか?」

「ああ、そうだな」

「頼む。私たちの村を助けてくれないか?」

「龍の使徒が出たのか?」

「そうだ、あいつのせいで…」

「なあ、少し落ち着いて話をしないか?」

「すまない、冷静に… 私はルル・ツァスタ、カモフ村を代表してここに参った。あなたの事を行商人に聞き、依頼を頼みに参りました」

「ああ、俺はアルヴィだ、それで依頼の内容は?」

「その…龍の使徒が現れたのだ。で、村が壊されてだな…」

「いや、どんな奴が出たのかが聞きたいんだが」

「ああ、それはだな…大きな蝙蝠だ。音波と衝撃波で村を破壊し、人や家畜達の精気を吸い取るんだ」

「龍の使徒だって確信はあるのか?」

「もちろんあるぞ。村の勇士が討伐に向かい、命からがら逃げ帰ってきた者の話を聞くに伝承の通りだと思う」

「それじゃあ、受けてもいいぞ」

「そ、そうか…」

「なんだ?」

「いやっ、なんでもないんだ…なんでも…」

何か隠してるのか?まさか騙されてる?…

「いや、正直に言おう。あなたに依頼料を払えないんだ、それに依頼を終えたとしても私たちはあなたへの報酬を約束もできない。失礼な事をしている自覚はある。でも、どうか!頼む」

頭を地面につけて頼み込まれる。まあ、俺は使徒を倒すのが使命なんだが…

「なあ、ギルドから討伐報酬は出るのかな?」

「脅威の報告はしたから、報酬は出ると思う。でも倒せない者を送り込まれてもダメなんだ。それに本当の龍殺しに頼む事もできないから…」

「足元見てるのか?」

「いや!すまない…でもこれは私の本意ではない。村の者は名も無いあなたなら多少の無理も許すだろうと言ってだな…」

「はあ… 嫌だって言ったらどうするんだ?」

「その時はもう村は終わりだ。その結末を受け入れるしかない」

なんでこんな感じで依頼されるんだよ、断りづらいな

「前金はいい、でも成功報酬は貰う」

「受けてくださるのか?」

「まあな。でもその村の為に命を張るんだ、その分の報酬は貰う。そうじゃなきゃ俺はこれから先ずっとタダ働きさせられるだろうしな」

「約束はできない…」

「いや、ここでしろ」

「う… わかった、尽力しよう」

なにやらいい条件じゃないが、これをこなせばもっといい条件の仕事も来るだろう。はあ…先の事を考えるべきだ…

「仲間は連れていいか?」

「やめてほしい、私達、村の者もできるだけ手伝うから。その…」

「全員分払うのは無理か…」

「その、すまない」

はあ…条件が悪いな…仕方ないよな

その依頼を受けると言う事を窓口に伝え、一度レイレイに報告に戻る。大事な物と言って薬やら、使えるいい道具を貰い、出発の準備を済ませる。

かなり遠い村だそうだ、馬車は借りて向かうことなる。まあ、一応初の個人依頼だ頑張るとしよう。

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