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16話 魔女

「フフッ… ようこそ、私のお店に」

「別に普通だな…」

「あら、期待外れかしら?」

「聞いた話じゃ子供を煮込んでるとか…」

「フフフ、それは嘘よ。人間の子供は煮込んだりしないわ」

「人間以外は煮込むのか…」

「フフッ、いい錬金に犠牲は付き物よ?」

「あ、ああ…」


「そうだ、あなたに依頼をしたくって」

「どんな依頼だ?」

「私が定期的に仕入れてる商人の子がね襲われたそうなの。だからその積荷を持ってきてほしいの」

「盗賊に襲われたのか?」

「いいえ、違うと思うわ。馬を襲って人間は見逃した、それは多分魔物の仕業よ」

「どんな?」

「森に出る下級吸血鬼だと思うわ。少し前、上級吸血鬼が磔になって殺されたの。主人を失って森まで降りてきたのよ」

「そうなのか、じゃあ荷物も残ってそうだな」

「ええ。それに下級吸血鬼のも持って帰ってきてね?いい素材になるから」

「明日でいいか?」

「そうね、もう夕方だもの」

「報酬のお話もしておかないと。ねえ、今はレーム君の所に住んでいるのでしょう?」

「そうだな、世話になってる」

「なら、私が世話してあげるっていうのはどう?」

「え?」

「あなたのことは占いで見たもの、でも今のままじゃ良くない結末を迎えるわ、それは何度もね。でも運命は変えれるのよ、だから私が助言をあげる。あなたの送り主よりよっぽどいいと思うわよ?」

良くない結末?…そんな不吉なことを言われても前までの俺なら信じなかったが、多分この人は本物だよな…

「この店の上の階も私の物なの。でも空き部屋ばかりでね?あなたの好きにしていいわよ?それに、家賃もタダでいいわよ?その代わり私に素材を売るってことで」

「差額が出そ…「そんなことは無いわよ?」

「ね?お店のポーションもあげるわよ?」

断らせないつもりだ…何でそこまで…

「俺に何を期待してるんだ?」

「あなたは面白そうだもの、それだけよ?」

「わかった…」

「ウフフフッ、いいってことね?いや、答えはいいわ。もうわかったって言ったもの」

「…」


レームの家に戻り、今日のことを話す。

「ほーぅ。お主、来てすぐだと云うのに、もう女を口説いたのかぇ?」

「いや…違う。口を挟む間も無く決まったんだ…」

「そうか、そうか。じゃがわしの様に尻にしかれんように気をつけるんじゃぞ?」

「だから、違うんだ」

「まあ、真面目に話すと警戒はしておれよ?その鱗を盗られたりなどはダメじゃからな」

「そうか、そうだよな」

「まあ、良いのではないか?あの魔女は本物じゃ、それにこの辺りでも有名ではないが最高級の錬金術師じゃぞ、利用しない手はないじゃろ?」

「最高級の錬金術師…」

「そうじゃぞ!学院の生徒が作ったのがこの街でいちばん出回っとるが、あの魔女は最高の出来のポーション作れるんじゃ」

うん、まだわからないことばかりだが、人の厚意は受け取っておいた方がいいか…。


朝早く起き、住まわせてもらっていた部屋を掃除し二人に礼を言う。

「何だか寂しくなるわね。まあ、何かあったらいらっしゃいな。スクロールもまけてあげるから!」

「ああ、ありがとう」

魔女の店まで依頼書を受け取りに向かうとしよう。


「今日はクロエは行けないらしい、ライラの事があるそうでな」

「フフッ、それじゃあこの依頼書とこれを持って行きなさいな」

「これがポーションってやつか?」

「いいえ、それは魔除けの聖水。吸血鬼はそれを嫌うから、危なくなったら振りまきなさい」

「ああ、そうする」


ギルドに行き、渡された依頼書を提出する

「えーと、依頼書ですね。それじゃあ、討伐報酬を確認してきます」

「はい、確認できました。ギルドから依頼も出てますね。危険な種族なのでお気をつけて」


裏に周りいつもの馬車を探す

「ケビン、行こうか」

「よし、行こうぜ相棒!」

馬車に乗り、指示された森に向かう。


「おい見ろよ!あそこだぜ」

前には倒れた馬二匹と荷車が放置されていた。

「よし、あれを載せて戻ってくれ」

「あいよ!」


「よし、俺は森の中に行く。あとは頼むぞ」

荷物を載せて、先に戻らせる

さて、この暗い森のどこかに下級吸血鬼とやらがいるらしい。でも痕跡も残ってないしどう探せばいいのか、そういえば大きな音を鳴らすと驚いて降りてくると本で見たな…


サーマルカメラで木の上を見ながら歩くが、一向に見つからない

「もうここにいないんじゃないのか?…」

そんな事を考えていると、ガサガサと自分の後ろで葉が揺れる音がして振り向く。

すると爪をこちらに向け、大きなコウモリが攻撃しようと迫っていた。

「キィイイイ!!」

「ウグッ!」

クソ、サーマルじゃ映らないのか…奇襲されて、腕を切り裂かれる。

別の一匹が引き裂いた腕に取り付き、振り払うが姿勢が崩れて倒れてしまう。そこを狙って飛びかかってくる。

『軽戦士の回避』を使い距離を取り、応急薬を腕に注射しながら状況を確認する。

4匹の大きなコウモリがこちらの周りを飛び回り、何度も攻撃を繰り返してくる。

「クソッ…マズイな…」

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