表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/145

12話 休息

 はあ……気がついたらこのベッドの上に寝ていた。とても疲れたのは覚えているが…

 ベッドから起き上がり下の階に降りる。

「おお!お主、昨日はあの後すぐに寝てしまいおったからの、まあ今日は休日じゃまだ寝ておっても良いんじゃぞ。魔力の使い方に慣れん内は疲れがくるからのぉ」

「ああ、でも今日はあの助けた爺さんの顔でも見に行こうと思ってる」

「そうか、働き者じゃのぉ」


 朝の準備を済ませて、レームに聞いた木材屋に向かう、それなりに活気のある商業区にリックバーグ木材屋という看板を見つけ中に入って見る。

「いらっしゃいませ。あ!お爺ちゃんを助けてくれた人!」

 店番をしていた少年が店の奥に入って人を呼んでくる。

「おお!アルヴィさん!」

「元気そうだな、まだ痛むか?」

 奥から出てきたリックバーグは傷の手当てはされているが元気そうで安心した。

「ええ、まだ傷はありますが元気ですよ、まあ木を切りに行くのはまだできませんがね…」

「そうか…あの子は孫か?」

「ええ、店を手伝いをするって言ってくれてね、助かってますよ。ほらノリス、そんなところに隠れてないでこっちに来たらどうだ」

「お兄ちゃんはすごい魔術師なの?悪い奴らを一瞬で倒したって聞いたよ?」

「魔術っていうか、まあ…弓みたいなもんだな。ほら、この鉄の塊を飛ばす機械なんだ」

 弾丸を見せると手に取って、興味深かそうに眺めている。

「ほらノリス、ワシは準備がある。そうじゃなアルヴィさんに街を案内してあげなさい」

「うん、でも仕事は?」

「そんなこと気にせんでいい、アルヴィさん、どうですかな?」

「ああ、この街のことは知らないんだ。教えてくれるか?」

「うん。わかったよ」

 

 ノリスに手を引かれて、街を歩く。

「ここが、武器屋だよ!すごくかっこいい武器がたくさん置いてあるんだ!それとあっちの店が防具屋に、道具屋だよ、それでね!」

 ノリスは元気に走り回っている。

「あの店はなんだ?」

 店の角にある建物が気になった。あの看板の紋様はなんだろうか?

「あれはね、錬金術と占いをしてくれる店だよ。でも魔女がお店をやってるから危ないんだって!」

「魔女?」

「そう魔女!子供を捕まえて鍋に入れて煮込んじゃうんだよ!それで作る薬は若返りの薬になるんだって!僕も危ないから近づかないんだ」

「本当なら怖いな」

 なんだか眉唾な話だな…でも火のないところに煙は立たないか。

「あのね。お爺ちゃんを助けてくれてありがとね」

「ああ、どういたしまして」

 クソ…滅茶苦茶いい子だな。

「お爺ちゃんがお昼ご飯を食べようって言ってたからもう帰ろ!」


 商店の並ぶ道を歩きながら、店に戻る。道中、氷菓子を作る店があり、お母さんに中々買ってもらえないってことで、俺がその味を教えてやることにした。かなり喜んでいたようで、こっちも嬉しくなった。

「ノリス、失礼なことはしなかったか?」

「お兄ちゃんがね、屋台でお菓子を買ってくれたんだ!」

「ノリスが強請ったりしてなかったですか?」

「いや、いい子だったよ。な?」

「えへへ…」

「そうですか、よかった。それでだ、お昼ご飯を一緒にどうですか?」

「ああ、お言葉に甘えるよ」

 豪華な食事を貰い、世間話を聞く。

 最近の国の動きやら、この近辺の魔物の話、このブレードックという街で起こったことなんかを聞き、食事を終えてから夕方までノリスに別の地区の案内をしてもらい、店まで戻ってくる。

「アルヴィさん、またノリスと遊んでやってくださいね」

「ああ、ノリスまた色々教えてくれな?」

「うん!それじゃあね!」

 そう言って手を振ってくれる。


 

「そうかそうか。感謝されるのはなかなかいいもんじゃろ?」

 レームは酒を飲みながらからかって来る。

「ああ、礼を言われるなんて軍にいた時はなかったからな」

「まあほれ、座って飲まんか。子供の相手は疲れるじゃろ?」

 赤ら顔で酒を勧めてくる。

「でも、この街のことがよくわかった。魔女の店があることもな」

「ああ、あれはただの噂話じゃ。それにあそこの占いは悪運を見ることに関してはハズレなしらしいぞ!」「未来予知でもできるんじゃ無いか?」

「じゃから魔女と呼ばれとるんじゃろうな」

「まあ、不気味がられてるんだろうな」



「そうじゃお主、あの蜘蛛の牙、あれはやはり符呪が施されとったそうじゃぞ」

「符呪?」

「そうじゃ、あれはあの蜘蛛が元々持っとらんものじゃ。何者かがその牙を与えたと見る方がいいじゃろう。」

「ウロボロスか?」

「いや、それは無いじゃろう。あの大蛇が動けばすぐに分かるぞ」

「じゃあ別の使徒がやってるんじゃないか?」

「そう考えるべきじゃな、それも動き回ってもわからないぐらいの大きさで…」

「まあ、このあたりには出とるとは聞いとらん、別のところに移動したかもしれんのぉ」

「自分で探そうにも手がかりが何も無いな…」

「うーむ… まあ、お主は依頼でもこなしておれ、情報が舞い込んで来るかもしれんからのぉ」

「ああ、そうだな明日のためにもう休むよ」


 翌日、準備を済ませてギルドに行く。

 前と同じ席で酒臭い男と別の仲間2人が駄弁っているのを見ながら、掲示板を眺める。

「おい!!お前!」

 突然後ろから話しかけられ振り向くと。その主は金属の鎧に身を包み、腰に派手な装飾の剣を差した少年と隣には白いローブを着て、十字の杖を持った少女、奥には黒い革の服に身を包み、ナイフを何本も体に身につけた、この少年少女よりも年上の女性がいた。

「何か用か?」

「おい!俺と一緒に来い!お前、たくさんの戦士を殺したフロストスパイダーをレーム様と一緒に倒したって聞いたぞ、でもお前は銅等級、俺よりも下だ!そんなお前がなんでそんな奴を倒せるんだ?不正したに違いない!そんな変な格好の奴は悪いことするに決まってる!だから騎士である俺がお前の不正を暴いてやる!」

 偉そうな口調で捲し立てるように俺に言い放つ。


「何だ?」

「だから、お前に戦わせて俺がお前の本当の力を見てやるって言ってるんだ!」

「そうか。遠慮しとくよ」

「なんだ。怖気付いたのか?不正を暴かれるのが怖いんだな!」

 はあ…めんどくさいガキだな…

「あ、あの、今から盗賊がいる古い砦に行くんです。でもクロエさんが仲間がいた方がいいっていうから、その…」

「ライラ!無駄なことを言うな!」

「ご、ごめんなさい…おにいちゃん…」

「兄弟なのか?」

「ああ!こいつはグズで無能な妹、ライラ。そして俺は騎士の家に生まれた生まれながらの騎士、ユリウス!で、この無口な盗賊がクロエ、こいつも多分悪いやつだから俺が見張ってるんだ。それとお前の名前に興味なんかないぞ!俺はただ、お前がクズの無能だって証明したいだけだ!俺はこの街で一番の勇者だからな!」

「ああ、いいぞ。その代わりお前らの等級も教えてくれ」

「俺は青銅!でもこの街でゴミみたいな仕事しか出来なかったせいだ!俺は騎士の生まれ、戦闘の素質も桁違いの強さなんだ!」

「あ、あ、あの…私も同じ青銅です…」

「私は鉄等級」

「そうか、なら俺が一番後輩みたいだな、よろしくな先輩」

「お前のその気取った態度が気にくわないな、それは嘘つきの奴の特徴だ!」

「ああ、俺は嘘つきのクズなんだ。だから、よろしくな勇者の騎士様?俺にその英雄的な戦闘を見せてくれよ」

「ああ、お前みたいなクズには一生できない、戦いを見せてやる。今回、初めて最低のクズの盗賊を倒しに行くが、臆病者のクズ達に俺は負けるわけもない。全員殺して、俺が騎士だってところを見せてやる!」

 はあ……

「ねえ。あなた職業は?私は盗賊とアサシン」

「俺か?レンジャーとスカウトだ」

「ふん。臆病者の証明みたいな職業だな、俺はナイトだぞ!臆病者のお前らと違って正々堂々と戦う戦士だ!」 

 盗賊相手にそれが通用するとは思えないな…気に食わない勘違い野郎だが放ってくと殺されそうだ…

「よし、お前ら3人は俺の命令に従えよ!特に盗賊女、前も勝手なことしやがって。それと嘘つき男!お前も命令に背くなよ!」


 なんだ?…一瞬見えたが、あのライラという少女の首に傷が…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ