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11話 魔術の才能

 レームに連れられ魔術学習院に来る。

「よし、生物研究をやっとる奴にこの蜘蛛の牙を見てもらおう。それから学長にあうぞ!」


 長い廊下を歩き、動物の鳴き声がする部屋に入る。

「おーい!マルシア!面白い物を見つけたぞ!」

 その部屋は見たこともない獣や鳥、昆虫の標本が並べられ、たくさんの鳥と動物が飼育されていた。それとすごく獣臭い。

「どうしたんだいレーム?」

 部屋の奥から出て来たのは人間より一回り小さく、白い髪に髭を生やした爺さんだ、たしかドワーフという種族だな。

「ああ、君は!鱗の持ち主の!僕はマルシアだ、君のことは聞いてるよ!魔王に転生させられたアルヴィ君だよね!」

「おお、そこまで知ってるのか」

「レームはおしゃべりだからね。で?面白い物ってなんだい?」

「これじゃ!わしらは今日あのフロストスパイダーを倒しに行ったんじゃ!それで…」

「あの使徒を?それじゃアルヴィ君!鱗に秘められた力を使ったのかい!?」

「ああ、もう鱗に戻ったがデカい拳銃になったぞ」

「君のところの武器の形なったんだね!そうか、そんなことも出来るのか… そうだ!で、何が見つかったんだい?」

 

 レームが牙をゆっくりと机に置く。

「うむ。この牙じゃ、おっと触るのは気をつけろよ…」「貸してくれ!これは… うぐっ…」

 飛びつくように牙に触れたマルシアがガタガタと震えて、慌てて手を離す。

「おい、大丈夫か?」

「話は最後まで聞かんか!それを触ると痺れると言おうとしておったのに」

「これはすごいね!こんなので武器を作ったりしたら面白いかもね!」

 ケロッとしてる。頑丈な種族と言っていたが本当のようだ。

「それでじゃ、それがどんな力を持っとるか調べて欲しいんじゃ」

「そうか、気になるね… 呪いがかかっているかもしれないな…うーん…」

 机の周りを回りながら、牙をぎょろぎょろと観察している。


「よし、お主もう行くぞ。ああなるともう話が聞こえとらんからのぉ、じゃが奴は天才じゃすぐに答えを教えてくれる」

「馬鹿と天才は紙一重って奴だな…」

「全くその通りじゃ…」

「さて、学長のとこに行くぞ!」


 学長の部屋は少々危険な部屋らしいが…何があるんだ…

「お主。武器を抜いたりするでないぞ、威嚇したりすると襲われるからの」

 レームが扉を開けるとその前には異形の化け物が現れる。

 ライオンにワシ、サメの三つの頭に尻尾から蛇が生え、形の違う2枚の羽が生えた生物が恐ろしい形相でこちらを睨んでいる。


「なんだ、こいつは?」

「此奴はキマイラ、召喚術で生み出された生物じゃ。大人しくしとれば襲われたりせんぞ」

「やあレーム先生、それとアルヴィ君!」

 綺麗な装飾のローブを着たエルフの若い男が駆け寄ってきてそ握手を求めてくる。


「あなたが、学長?」

「そう、私がこの学院の学長、マーリン・クルゴンだ。君のことは昨日聞いてね、会って見たいと思ってたんだ!」

「本当に不思議な格好だ、見たことのない武器を腰に差してる、それに変な仮面、本当に転生者なんだなぁ。勇者も最初は見慣れない格好をしていたそうだ。で、君は魔王に遣わされたそうだね?」

「まあ、突然な」

「ああ、それも聞いてる。盗賊に捕らえられた老人を救ったってこともね、そういえばあの老人は無事らしい、また顔でも見に行ってあげたらどうだい?」


「ああ、時間が出来たら行ってみるよ」

「うん、それがいい。でだ!君の魔術の才能を見てみたいんだった!」

 机に勢いよく手を付く。隣にいたキマイラは驚いたのか、ぐるぐると喉を鳴らす。それを学長は宥めている。

「わしも気になっておったんじゃ、あの勇者はとんでもない力を持ってたからの」

「魔術の才能?俺はそんなもん無いと思うがな…」

「まあまあそう言わずに、この杖はねエレメントを見てくれるんだ」

 そういいながら俺の腕を掴んで青い宝石が埋め込まれた杖を握らせて来る。


「能力を見る水晶みたいなやつか?」

「そう!これは魔術を見る宝石だ。さて君の魔力がこの杖に流れているね…あれ?そうか…、うん…」

「なんじゃ?…おお…」

「なんだ?」

 二人して渋い顔だ。

「君は風属性のエレメントみたいだ。それ以外は、まあ平均以下だね…でも風の力はすごく高い!」

「期待はずれってことか?それで、風の魔術が使えるってことか?」

「ああ…そうだね!戦士とか盗賊なら便利な魔術が揃ってる、君にも使いこなせるはずだよ」

「そうじゃぞ、あの浮遊の魔術は楽しいぞ!」

 なんか気を使われてる気がする…


「教えてくれるか?」

「うん、いいね!そう、それを伝えたかったんだ。ここは自由な場所だ、誰もが魔術を学べる。それは君もだ、そこでね君!私たちに協力して欲しいんだ、そして私たちは君に知識を教える、どうだろう?」

「協力?」

「私たちは(ドラゴン)の力を知りたいんだ、君が戦う相手に気付いたりしたことを教えて欲しい、今生きてる(ドラゴン)達は何も教えてくれないからね…」

「ああ、別にいいぞ。今回の牙も調べたいだけ調べればいい」

「ありがとう。というよりももう協力してくれていたのか!」


「よし、今から君に二つの魔術を教えよう、まあスキルなんだけど… 矢避けの風と軽戦士の回避、これならすぐに教えられるしとても便利だよ。矢避けの風は自分に使うと飛び道具から体を守ってくれる、軽戦士の回避は近接戦闘の時に使えば、敵の攻撃を回避できる」

「スキルと魔術は違うのか?」

「うん。魔術はスペルを詠唱して唱える、まあ昔からある魔法の産物だ。でもスキルは違う、偶然生まれたというと分かりにくいかな?」

「教科書にのってるのが魔術で即興の魔術がスキルってことでいいか?」

「うん、そんな感じだ。理解がはやくていいね、だから君はこれから、このスクロールを読んで、それを生み出した人と同じ状況に陥ってもらうよ、そうすれば真似ができるからね」

「え?」

「うむ、こっちじゃ!」


 スクロールを保管してる部屋に行きそのスキルの書を読む。

 それにはどうやって考えてどうやって動いたかが事細かに記されていた。

「うむ、読んだね?それではうちの生徒に実演してもらうとしよう。」

 学校の校庭に行きそこに立つ、もう観客が何人かいる。

「さて、この少年はこの学校でもかなり強い魔法剣士のロイゼ君、そしてこの可憐なエルフの少女はエリン君。で君には今から二人と同時に戦ってもらう。君が飛んで来る矢を弾き、ロイゼ君の攻撃から回避すれば成功だ、ああ、それと君。君の武器は危ないから使わないでね?狙うだけで殺す武器なんて使っちゃダメだよ?」

「わかった、これは預かっててくれ」

 マーリンにベルトごと渡す。

 さっき読んだことはまだ覚えてる、攻撃避けて飛んで来るものはじき飛ばせばいいだけ、このボディプレートなら弓矢ぐらい何とも無いしな。

 よし、やるぞ。


「それじゃあ、参ります」

 そう言った瞬間、エリンは空に向けて矢を放つ。その矢は空中で光に変わり、俺の真上から降り注ぐ。

 さっき読んだことを思い出し、イメージを掴む。だが発動せずにその矢を食らってしまう。

「ぐっ…」

 そこにロイゼが剣で切り込んでくる。回避のやり方を思い出し、使用する。


 迫る剣の攻撃から後ろに大きくステップして避ける。

「できてますよ!」

 ロイゼがそういいながら、もう一度、剣を振りかぶり攻撃して来るが、左にステップして回避する。

 だがロイゼが距離を取ったタイミングで矢が飛んで来る。

 もう一度思い出し、使用してみる。

 すると飛んできた矢は胴体の目の前で横風に吹かれたように向きを変え、地面に刺さる。

「よーし!いいよ!もう一度!」

 エリンがもう一度矢を空に放ち、矢が辺りに降り注ぐ。

『マジックアロー!』

 ロイゼはそう言いながら剣から青い矢を飛ばしてくる。

 さっきの感覚を思い出し、もう一度使用する。すると飛来していた、矢が体を逸れて地面に刺さる。

 ロイゼがもう一度、剣で攻撃しに来るがそれも回避する。

「いいね!完璧!よし、もう一度行くわよ!」

 その後何度か繰り返すが全て避けることができた。だが急に体が疲れてきたな…


「大丈夫ですか?」

 息が上がりへたれこむ俺をロイゼが支えてくれる。

「ああ、でもどっと疲れた…」

「スキルはすごく集中力を使いますからね、魔力も結構消費するし。よかったらこれを!」

 青い液体が入った瓶を渡される。

「これは?」

「魔力回復のポーションです、これを飲むと少し元気がでますよ!」

「ありがとう」

 瓶を開けて中身を飲む、あまり味は美味しく無いが体の中が喜んでる感じがする。

「よし!これで習得できたね、うん。なかなか筋がいい!」

「うむ、感心じゃ。これなら魔術も簡単に覚えるやもしれんのぉ」


「はあ…疲れた…」

「初めて魔力を使ったんじゃ。今日はもう休むのが良いぞ、もう帰るとしよう」

「ああ…そうだな……」

 薬が効いてきたのか?全く体が動かなくなる。ここまで疲れたのは久々だ……



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