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10話 使徒討伐

「よし!準備は良いな?」

「いつでも行けるぞ」

「うむ。出発じゃ」

ギルドで依頼を受注して、フロストスパイダーがいる雪山に向かう。今回は338の弾が撃てるレミントンMSRを使うことにした。レームの爺さんは炎の魔術は大得意らしいし、あとはこの鱗の力がどんなものかを確かめるだけだ。


「よし、ここからは歩くぞ!」

「大丈夫か?」

「わしは浮遊の魔術が使えるから歩かんでも良いんじゃぞ」

『フローティング!』

そう言って宙に浮いて移動する。

「ならいいんだが」

便利な魔術だな、俺も使ってみたい… ん?なんだ?ポケットが熱いな…

ポケットに入れていた鱗を取り出すとそれは暖かく、そして光を放っていた。

「おお、お主!鱗が光っとるぞ!」

「近くにいるとこうなるのかもな」

「そうか!さすが祖龍(エンシェントドラゴン)の鱗じゃな!!」

そして、その洞窟に近づくほど光は強くなって行き、洞窟の近くで振動し始める。

「この洞窟か?」

「そうじゃぞ、この中におる。さてどうするかの?」

「一度地形をスキャンしてみる」

『hello』に接続して、飛行ドローンを取り出す。

「なんじゃ?それは?」

「これを空に飛ばしてスキャンすれば、地形と中の生き物をハイライトしてくれるんだ」

「ほお?」

空に飛ばし、スキャンしてみる。

「大きい入り口以外にもう一つ入り口があるな、それと中には大きいのが一匹いる、あとは動物か?何かが宙に何個も浮いてるな」

「それでどこに入り口があるんじゃ?」

「この真裏だな」


「雪に埋もれてるな…」

「わしが溶かしてやろう」

『フレイム!』

手から炎を放射して、雪を溶かす。かなりの高温なのか岩まで溶け始めてる。

「これで通れるぞ!」

「よし、中に入ろう」

その洞窟は人が四つん這いで通れるくらいの穴だったが、奇襲するにはちょうどいいかもな


「ちと狭いのぉ。腰が痛くなって来たぞ」

「あと少しで出れる、うまく奇襲できればいいが…」

その穴を出て、岩が台になった場所に立つ。下には蜘蛛の巣が見え、その先には人間よりはるかに大きい蜘蛛が口をせっせと動かしている。それに天井から何かが糸に包まれてぶら下がってる。中身はきっと…

「どうじゃ?」

「ここの奥にいる。なにか食ってるな。降りると糸で足を取られそうだ」

「わしならあの程度、焼き切れるぞ。お主の武器ならここから攻撃できるじゃろ?」

「ああ、そうしよう」

「わかったぞ!」

『ファイアウィンド!」』

炎の風が地面を這い、辺り一面を焼き払う。

こちらを振り向いた蜘蛛の頭部にねらいを付け銃弾を撃ち込む。動きを止めて苦しんでる様子だ。

「ゆくぞ!」

宙に浮き上がり、手のひらを前に突き出し魔法陣を浮かべる。

『ソーラーエクスプロージョン!!』

大火球が爆発を起こし、フロストスパイダーの体を飲み込み燃やす。

「シューッ!」

炎に焼かれながら、宙に浮くレームに向かって糸を飛ばす。

「避けろ!」

糸に捕らえられ地面に落ちたレームに向かって鋭い牙で嚙みつこうとする。

迫るその体に向けて、引き金を引く。

「いい援護じゃ!」

『ファイアーマント!』

撃たれて動きを止めたその隙をみて、体に纏わり付いた炎を焼き払い、再度宙に浮く

「仕切り直しじゃな」

こちらも弾倉に入ってる弾全てを撃ち込み、レームも再度爆破の魔術を放つ。

さすがに効いたのか、フロストスパイダーの動きが鈍り始める。

「よし、弱って来たな」

鱗を握り締める、するとその鱗はまばゆい光を発し、禍々しい見た目の大型拳銃に形を変える。

「おお!今じゃぞ」

よろめきながら動く蜘蛛に狙いをつけ、引き金を引く

「グォオオオオオン!!!」

ただの銃では出ない獣の咆哮のような音を鳴らし、弾丸が相手の体を貫く。

「キシャアアァ!」

フロストスパイダーはもがき苦しむ声を発し、その体は黒い炎に包み込まれ燃え上がる。

「すごい炎じゃ…」

「キシャアアアァァ!!」

最後のあがきにと糸を撒き散らすがそれすらも燃え上がる黒炎が消してしまう。

ジタバタと暴れるたびにその黒炎はどんどん燃え上がり、体を燃やし尽くしあの大きな蜘蛛をただの燃えカスに変えてしまった。

「わしの炎よりもすごい炎じゃな、これが神の龍の炎か… お主が言うておった、『けんじゅう』と言うやつに変わったの?」

「みたいだな。でもこんな見た目とはな、それにとんでもない銃声だった」

「あれは龍の咆哮じゃ!そしてその武器で不死身の龍の使徒を殺せたんじゃ!誇れよお主!」

「レームの魔術がなければこんな簡単にいかなかった、助かった」

「うむ。わしも危なかった、お主がおらんとうまくいかんかったぞ。さて、あの糸の中身を見てみるとしようか」

「たぶん死体だろうな…」

「じゃろうな、餌を蓄えておったんだろう、うむこっちのは鹿じゃな」

転がる糸で包まれた物にナイフで切り裂く。

中からは皮鎧を来た干からびた人間、いや耳が長い…エルフの死体があった、認識のプレートタグを見てみるとその銀のプレートには女の名前が書かれていた。

「こっちのはエルフの女の死体だ、シルバーのプレート、名前はシルファ・モニカだそうだ」

「そうか、この辺りでそれなりに名の通った弓使いじゃった。そうか…奴がか…」

ほかのやつも切り開いてみると、このあたりに住む動物と人間の死体が詰まっていた。ここを通った奴を殺して保存してたんだろう。その死体は体に何度も噛み付かれた後があったり、腹を大きく切り裂かれていたりと残酷に殺されたことを物語っていた。

「銀や鋼鉄のプレートの者ばかりじゃ、腕に覚えがある者ならあの大蜘蛛程度苦戦することもないじゃろうが、何度も蘇られて疲弊したところで殺されたんじゃろうな」

蜘蛛の燃えかすを見てみると、なにか残骸が残っていた。

「これは…牙か?」

「みたいじゃな、それにとても不思議な力を感じるのぉ」

それを拾い上げてみると手のひらを痺れる感覚が襲う

「なんだ!」

驚いて手を離してしまう。

「どうしたんじゃ?」

「すごいな、触ると痺れるぞ」

「ん?…」

「本当じゃ!、これが此奴の力か!」

この牙に噛まれたりすれば一瞬で体が動けなくなるだろう。噛まれなくてよかった…

「お主、これを一度調べさせてくれんか?どんなものか知りたいんじゃ!」

「ああ、わかったら教えてくれ」


その後、そこにあったものすべてを荷馬車数台に乗せて雪山を降りる。

「おいあんた、噂の化け蜘蛛を倒すなんてな!それともあの爺さんが倒したのか?」

「まあ、一緒に戦ったことに違いはないぞ」

「そうかそうか!俺はグールを倒したあの時からやる男だと思ってたぜ!やっぱり俺は見間違えねえ男だよなぁ、速い馬なんて俺は見ただけで…」

ケビンは本当によく喋るやつだな…


ケビンの話を聞き流しながら街に戻り、ギルドに到着する。

「お主、あのプレートは持っておるな?」

「ああ。これを窓口に渡せばいいんだよな?」

「そうじゃ。こう言うことはこれからもあるかもしれん、親族に恨まれても気に病んだりするなよ」

そうだな…このプレートの持ち主にも家族がいるだろう、あの酷い姿を見れば誰かのせいにしたくなるのは当然か…

「大丈夫だ、俺も経験がある」

戦争の時、仲間が死んでその家族にひどい言われ方されたよな…

「そうか。まあもう二度とあの蜘蛛に殺される奴は出てこんじゃろう。それを祝うべきじゃ」

「ああ」

扉を開け中に入ると窓口に座る男がこちらを見て迎えに来る。

「依頼の達成を確認しています!、流石ですねレーム様」

「今回は此奴がやってくれたんじゃ!こいつは龍の使徒を殺す者、ドラゴンスレイヤーのアルヴィじゃ!」

「はぁ…?」

その男は怪しんだ顔で俺を見つめている。無名の俺が倒したなんて信じられないんだろう。

「その…俺はとどめを刺しただけだ。ほとんどレームが倒した」

「なにを言うておる!」

レームを見て首を横に振る。

「うーむ、仕方ないのぉ… じゃが此奴はやる男じゃ!わしが保証する!」

「そうでしたか…それでは依頼達成おめでとうございます、窓口で報酬をお受け取りください。レーム様とえーっとアルヴィ殿?こちらへどうぞ」

「お主の名はまだまだ売れとらんが、じゃがもっと依頼をこなしていけば方々から名指しの依頼が届くようになるぞ!」

「そうか…名前が知られれば探さなくても、むこうから知らせてくれるのか。それで使徒を倒してまわればウロボロスにもたどり着けるってわけだな?」

「うむ!やる気が出て来たじゃろ?お主は形は違えど勇者になれるぞ!」

「あのー?本当にそちらの方がとどめを刺されたんですか?」

「間違いないぞ!あの龍殺しの剣を持った奴と変わらぬ力を此奴はもっとる」

「そうですか…」

まだ信じれないといった様子だ

頭を掻きながら窓口に座り報酬の話を始める。

「今回の報酬ですが。ギルドが危険な魔物と認めたので、報酬が上がって金貨40枚になります」

「初めての値段だな…どのくらいすごいんだ?」

「当分は食うのには困らんぐらいじゃな」

「ほれ、わしとお主で半分じゃ」

「本当によろしいんですか?レーム様?」

「文句があるのか?」

「いえいえ、滅相もない。それではどうぞ」


「よし、わしは一度研究所にもどる。この牙も気になるからの、お主はどうする?」

「まだ時間も早いしな。なにか手伝えるか?」

「そうじゃな、まあわしと来い。学長もお主に会いたがっとるしな」

「わかった…え?学長が俺に?」

「そうじゃぞ?まあ来るんじゃ!」

学長…鱗のことか?…

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