00話 とある兵士の最後
西暦2086年12月4日 今、俺はとある作戦に参加し軍用車で移動中だ。
作戦の内容は、ここの砂漠地帯を超えた先にある、工場地帯の偵察の任務、いつも通りの任務。
この戦争の始まりは、エネルギー危機から始まった。その影響を受け、先進国は資源を確保し独占。そのせいでより危機は深刻なものとなった。危機を感じた国が、油田資源の豊富な国への武力介入を行い、そこから様々な問題が起き、世界を巻き込む大きな戦争となった。
禁断の兵器とされていた核兵器は、弱い国が先進国に効果的に攻撃をするために使われ、様々な主要都市を破壊し多くの生命、文明を奪っていった。
まあ、俺達が戦っている相手はそんな連中だ。今回の工場もろくなものを作ってないだろう。そこで何を作っているのかを調べて報告するのが俺達の仕事、その後どうするかは上の決める事だ。
「そろそろ着く。準備しろ」
分隊長がそう言い、分隊員達が支度を始める。
自分も左腕に装着している携帯式パーソナルコンピューター 『Hello 』を確認し、クレートに接続して武器を取り出す。狙撃銃と個人防衛火器を肩から掛け、予備弾倉をしまう。ガンベルトに個人的に持ち込んでいるリボルバーを右側に、正面には切り詰めた水平二連散弾銃、軍から支給された拳銃を左側にしまう。
「待て、あのヘリはなんだ?なぜ、こっちにくる!?俺たちを見つけたのか?」
急に騒がしくなった車内に驚き、窓から外を見る。
そこにはサーチライトを照らし、プロペラを鳴らして接近するヘリがいた。
「そこの車両、停車しろ!!」
空から、大きな声で話しかけられる。
「クソッ、今はいないって話だったじゃねえかよ!」
隊員の焦りが見えた。
「今すぐ停車し、所属をあかせ!!さもなくば攻撃するぞ!!」
脅威警告システムがけたたましい音を鳴らす。
「クソ…ついてないな…」
本当についてない、巡回のヘリがいる事は予想していた。だから巡回のいない時間を調べて狙って接近した。歩いて近づける距離まで来ていたのにこうなった、本当についていない。
どこかで情報が漏れたのかもな。あの時聞き耳を立てて、捕まってた子供か?まあ、今更言っても仕方ない。
「ここ終わりか…あっけないな」
最終勧告もなく、俺達の乗っていた車はミサイルによって破壊された。
乗っていた乗員は助かるわけがない。そう、死んだんだろう。