ここはどこですか?〈3〉
「あれ?赤のジャックとクイーンが揃って女の子を拉致?世も末だね。正義のヒロインにでもなっちゃいますか♪[フレアショット]!!」
きゃああ!なにこれ。なんか言ったって思ったら、急に下から火が出てきた。
「な?!黒の2?クソっ!!」
「んじゃあ、この娘を助けるっていう急用ができたから、これでバイバイね〜。また会おうね♪」
「黒の2、怖気づいたのか?怖気づいて逃げるとはとんだ腰抜けだな。」
「赤のキングまで出てくるなんて、今日何があったのよ。まあいいわ。[魔導障壁展開]!!」
うわっ!!今度は下から壁が出てきた。これが、魔導障壁……なの?
「よっこらしょー。」
え?どこから入ってきたの?
「一体どこから入ってきたの?って顔してるね。自分で作った障壁なら、自由に通り抜けられるんだよ。びっくりした?」
というか、わからないことが多すぎて、もう嫌だ……。
「あ、ちょっと失礼。」
今度は何?私の手をどうするつもりなの?やめて何もしないで……。
カシャンッ。
え……?外れてる?なんで?あんなに硬かったのに。
「ねえ、早く逃げた方がいいよ。あの人たちむかつくけど、すっごく強いから、あなたなんて、捕まったら、すぐに殺されちゃう。」
「でも、私どこに逃げればいいのかさえ分かんなくて、そもそもここがどこだかもわかってないのよ。」
「ん。OK。ちょっと待ってて。」
ガサゴソ。
「お、あったあった。」
あれは何だろう。赤い水晶?それにしてもきれいだなあ。
カチカチカチッカチカチッピッ
「もしもし?オル?聞こえる?」
『聞こえてるぞ。またなんか変な事件に巻き込まれたのか?本当に救いようのないど阿呆だな。もう少しその変な能力を人のために役立てろよ馬鹿が。』
「んー、善処する?」
『おい……。』
「それよりさあ、オル、ガーデンに右も左も分かんないっていう感じの子が迷い込んじゃってるんだけど。助けるの手伝ってくれない?」
『またかよ……。』
「まあまあ、お礼は弾むから♪」
『……わあったよ。ったく……どうせだめって言っても、ゴリ押しで頼むんだろ。んで、内容は?』
「ガーデンにいる女の子を、安全に中立地帯まで送り届けること。ここの事を少しでも話してくれると、なおよし。」
『わあった。ここからガーデンまでは、準備も含めて30分くらいか。その間にそっちの準備も整えておけよ。』
「アイアイサー。よろしくね♪」
ピッ。
「ふう……。ねえ……あ!そうだ!名前は?」
「えと、ソフィ=ブルー。」
「よろしくね♪ソフィ。私はシャイン=ミフリマー、気軽にシャインって呼んでね。今知り合いにあなたの保護を頼んだからね。もう安心していいよ。」
パチンッ。
うわあ、障壁にアーチができた……。
「ここを真っ直ぐ行ってね。そうしたら、緑のシルクハットかぶってる男の人いるだろうから、その人に助けてもらってね。ここにいる馬鹿どもは、私が引き受けるから!」
「え……でも、そうしたら、シャインの方が危険だよ。あの人たち強いんでしょう?一緒に逃げよう?」
悪いけど、シャインは全然強そうに見えなかったんだもの……。
だって、子供っぽかったから。背も低いし、力も弱そう。そんな子に戦ってくれなんて頼めないよ。
「大丈夫だよ、ソフィ。こう見えても、私強いんだから。だから、ソフィは逃げることだけを考えてね。」
「でも……。」
「んじゃあ、二択にしよう。」
「二択?」
「そう、一緒に逃げて2人とも死ぬか、途中で離ればなれになって、2人とも生き残るか。」
「そんなの……。後者に決まってるでしょう?」
「よくできました。んじゃあ、ソフィがやらなければいけないこと言うよ?」
「うん、何すればいいの?」
「生き残る事。逃げることだけを考えて、逃げ切って、また私と再会する……どう?」
「うん、わかったわ。何もかも用意してくれて、本当にありがとう。絶対にまた会おうね。その時は、ゆっくりお話ししようね。」
心強いな……。友達ができるって。こんな気持ちになったの、久しぶりかもしれない。
そんなことを考えながら、私は、生きるために道を駆けた。
読んで頂き、ありがとうございました!