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正悪大戦  作者: 鶴田亀吉
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第三話 正義乙女と苦労人の遭遇戦 その一

菅原学園島・商業エリア

この「学園」は巨大な人工島を元に「学者」の増加に伴う拡張、「学力」研究の副産物による技術革新、更に「学者」による建築物への被害が理由の再開発の結果、この島は恐ろしく奇妙な形状となった。

アメーバのような形の沿岸部、無数に生え、時折消えては別のものが生まれるビル群。その奇妙さから日本神話に登場する異形の神の名から別名「蛭子神の島」と呼ばれている。

そんな変化の激しいこの島においても商業エリアの変化は異常だ。店舗のオープンや閉店によるエリア開発、「学生」同士のいざこざにより一日で地図が大きく変わることもおかしくない。「学園」の治安維持を担う「風紀委員会」には非常に厄介なエリアだ。


「いいか、平時でも不安定なのに、それが例の殺人事件でいつも以上に不安定になっているんだ。それを建物壊してさらに混沌にするような真似はするなよ。マジで。」

「もちろんです城森先輩!今日こそは!今日!こ、そ、は!建物に傷を付けずに任務を完了して見せます!」

「返事だけは立派なんだが・・・・」


商業エリアの賑やかな表通りとは違い、薄暗くて怪しい店が立ち並ぶ裏通りの入り口で、「風紀委員会」の先輩である城森剛しろもり ごうは特別パトロールを前に問題児への最後の指導をしていた。暖簾の腕押しになりそうな気配を感じながら、せめて始末書の枚数が少なくなることに一塁の望みを掛けつつ、任務へと意識を切り替える。

クラリスは城森の意識の変化に気づき、自身の装備の確認を始めた。

今回の特別パトロールの目的は連続殺人犯「焔男フレイム・マン」の確保。最初はかなり慎重に真夜中などの人の少ない時間や標的を一人に絞る等をしていたようだが、ここ最近では派手に犯行を行い、複数人を標的にしたり、犯行場所を以前より目立つ場所にしたりと行動がとても大胆になっている。

この状況を看過擦る訳にいかない「風紀委員会」は特別パトロールと称して巡回の回数を特に人気のある場所の調査を増やすことを決定した。行動が過激化している今なら確実に人気のある場所で犯行を行うと予想を立てたからだ。

二人は準備を終え、前方に広がる薄暗い路地に目を向ける。


「・・・・いくぞ。」

「はい!」


さぁ、お仕事開始だ。




































薄暗い路地の中は以外と人がいて、賑わっているというより居れる場所が無いからここに居るといった印象を受ける。表とは違う陰湿で怪しい雰囲気の漂う出店、淀んだ色の目をした人々、将来への希望や渇望といった力強い感情が渦巻く表と違うじっとりと纏わりつく空気の中を二人は進む。

普段、一般生徒、更には治安維持組織である「風紀委員会」のメンバーでさえ裏通りには足を踏み込まない。ここは所謂、「学者」専用のスラム街なのだ。

「学者」は一般の人々からすれば一種の特権階級と見なされ、憧れることも多くなった。しかし、「学者」が少人数かつ超常的な能力を持つ存在であることは変わらない、そのため社会に馴染めない「学者」は多く、そんな者たちの受け皿としてこの裏通りは存在する。比較的「学者」も多くて関連した事柄の対処に慣れたこの島は正に打って付けというわけだ。

この様に人気のある場所にも関わらず「風紀委員会」の介入の少ない場所である此処は、「焔男フレイム・マン」にとって正に打って付けの場所であろう。

城森は油断なく、辺りをさりげなく見渡し犯人を捜す。

一方、クラリスは


「・・・・おい、見過ぎだ。見過ぎ。」

「!」


辺りにいる人を関係なく凝視して犯人を捜すため、辺りの人がビクビクと怯えている。ただでさえ「風紀委員会」の、治安維持組織のメンバーが大小はあるが「悪」事の温床にやってきたのだ。その場にいる人は誰だって警戒する。そんな場において彼女の行動は犯人捜索としては0点だ。

ただ、彼らが怯えている理由は凝視されただけでは無い。彼女の目線に乗った「敵意」の方が彼らの怯えの助長している。


「・・・・お前「悪」党に恨みでもあるのか?」

「?別に有りませんが。」

「じゃあ、何であんな、敵意剝き出しな視線すんだよ?」


あの目は、あの黒墨のような明確で純粋な敵意は、並半端な復讐心では生まれない。そして、加入時に提出して貰った履歴書の中にも復讐心が産まれるような経歴は見受けられなかった。何が彼女をそうさせるのか?

城森は単純に興味を持って彼女に問いた。


「別に、普通です!」

「・・・普通だと?」

「「悪」を敵視するのは当たり前ではないですか!」


あっさりと、極当たり前のように返された言葉に城森は歪さと恐怖を感じた。

彼女の言葉は確かに「当たり前」だ。

人間は少なからず「悪」に対して嫌悪感といった感情をもつ。

だが、そういった「当たり前」によって滲み出る感情は本能的なもので、普段理性に則て生活する我々にはとても薄くしか出ない。

クラリスはそんな「当たり前」の感情で澱みの中のように真っ黒な感情があふれ出す。

「悪」に対しての復讐心や恐怖心等を得る機会など皆無なのにだ。

つまり、彼女は本能的に、一生物として「悪」を否定し、敵視している。





『ぎゃああああああああああ』


生物的に矛盾だらけな回答に城森は拒否感を覚えた。そんな拒否感が体を支配する前に、突然悲痛な絶叫が彼の耳に届いた。声に反応し支配しかけた体の中の拒否感は弾け飛び、再び意識は当初の目的に戻る。


「っ、どっからだ!」

「こっちです!」


すぐさま声の聞こえた方向に二人は走り出した。


(何なんだ?あの拒否感は?)


ふと浮かんだ小さな疑問は喧騒の内に掻き消えるのだった。







































「(・ω・)オヤ、コンニチワ。「フウキイインカイ」ノミナサン」


声の場所に行くと、猟奇的な現場が広がっていた。

焼け焦げた壁に寄り掛かる片腕の女、上半身が吹き飛んだ体。

焼け焦げた人肉の香りが漂う中で、ゆらゆらとまるで獲物を探す蛇のように動く炎剣を手に持ち、顔にはひょっとこの面を被り、笑っているような声でこちらへ振り返った。

 

「・・・・これは、お前が。」

「(●´ω`●)ハイ。」

「・・・・現行犯だ。「風紀委員会」としてお前を逮捕する。おい、クラリス。手伝え。」

「・・・・・・」

「?おい!どうし・・た・・!?」


返事の無いクラリスに少しばかりイラっとしながら振り向くとそこには。

一人の化けクラリスがいた。

瞳は一切の輝きを無くし、血のように赤黒いの敵意と怒気を振りまいてる。

明らかに冷静ではない。


「・・・・ぉ・前か?」

「(。´・ω・)?ハイ?」

「お前がやったのか!!!!!」

「!まてクラリ・・・」


静止も聞かずに、怒号と共にクラリスは指を突き出し。空中に文字を書く。

瞬く間に書かれたのは「仁」の文字。

書き終わると同時に手首のバンドから鉄線を引き抜き、彼女は頭上に鉄線を掲げ。


そして、降り下ろした。


「・・・・五常縛り・「仁」の型・「皆切りのみなぎりのつるぎ」!!!!!」


今、戦いを告げる法螺貝が鳴り響いた。















遅くなりました。

時間無い&筆が進まない。

次の投稿もできるだけ早くしますので応援よろしくお願いします。

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