7話 衝撃の事実
「た、たあ!あれ?」
「てい!なんで!?」
「とお!きゃあっ!」
分かったことが一つ
彼女弱すぎる…
スライムを倒すどころか逆に弄ばれている
直線的な突進すらも避けれていない
振りが甘いし足の動きや体の動かし方は素人の俺から見ても下手の一言に尽きる
スライムがもう一度リュアに突進を仕掛けたので右手で受け止めそのまま破壊してやった
「はぁ…この程度も倒せないのか」
「ご、ごめん…」
「…悪い。ちょっと言い過ぎた。しかし戦えないとなるとどうする?何か他にできることはあるか?」
「うーん、採取は得意…かな」
…どうしよう
リュアが思いのほか使えない子だった
採取とか俺も鑑定使えるから得意 だ
本格的にリュアをどうにかしないといけない
「っ!?紘兎、あっちから何か来る!」
と、リュアは森の奥を指差した
しかし俺には鬱蒼と草木が生い茂っているようにしか見えない
俺はリュアの方を見るがリュアはなお森の方を警戒している
「…何が来るかわかるか?」
「ごめん…。そこまではわからない。でも何かが来てるのはわかる!もうすぐそこだよ!」
そこで森の方からガサガサと音がしてソレが姿を現した
ソレは狼だった
ただし、動物園にいるようなかっこよくも可愛らしさを持ったようなものではない
涎を口から垂らし、俺たちを食料としか見ていない俺よりも大きな獣
そんな奴が3匹も目の前に現れた
「「「ぐるるるぅ…」」」
「まず いな…」
何がまずいってリュアを庇いながら戦える自信がないってところだ
俺一人ならゴリ押せる
しかしリュアがいたら一気にきつくなる
町に帰そうにも腰が抜けたの地面にへたり込んじゃってるし、若干震えている
彼女は完全なる戦力外だ
…どうする
「…って、考えるまでもないよな。いいぜ、来いよ犬畜生ども。塵も残さず破壊してやるよ!」
「グオゥッ!」
俺の言っていることがわかったのか1匹が俺に襲い掛かってくる
噛みつきか…
…どうせ治せる
「グゥっ!…痛ってぇなこの野郎がっ!」
俺は左手を前に出しワザと噛まれる
牙が皮膚を突き抜け肉に深く突き刺さり血が滴る
痛みで固まりそうな体を無理やり動かし右手で狼の頭を鷲掴み魔 力を流す
右手の模様が光ると狼は光の粒子へと変わり、毛皮と石が地面に落ちる
刺さっていた牙が消えたせいで血が溢れだしてきた
すぐに左手で体に触れ魔力を流す
…患部を触る必要はないと
左手マジ便利
「さて、仲間がやられたがお前らは来ないのか?とんだチキンどもだな」
「「ガァウッ!」」
狼どもは同時に走り寄ってきた
1匹でダメなら2匹でってか?
上等だ、まとめて消し去ってやる
…今のすっげぇ悪役っぽかったな
狼たちは俺の右手を集中的に狙い始めた
どうやら仲間を倒したのが右手のせいだと分かったらしい
敵を討つと言わんばかりに右手を狙われた
牙は骨を貫き、動かす筋を断ち切られ、指を噛み千切られた
正直痛みで気を失いそうだ
だが、それは此方だけではない
「「ハ―…ハー…」」
右手が狼たちに掠るたびにその部分を破壊した
おかげでどちらも満身創痍だ
フフフ、こちらが手負いとみてよくぞここまで攻撃しに来てくれた
おかげで、あとは楽そうだ
俺は左手を自分の胸に当て魔力を流した
左手の模様が光り俺の傷を癒していく
食い千切られた指が生え、筋は繋がり、体中にあった傷全てが無くなった
先ほどのフラフラが嘘のようにすっきりしている
「さぁて、ちゃちゃっとやっちゃいますか」
俺は傷だらけの狼たちに近づく
威嚇をし、再度噛みついてくる狼たち
しかし、傷が響くのか最初のようなスピードはなくあっけなく右手によって破壊された
最後の1匹が光りの粒子になったのを確認してリュアのところに戻る
リュアはまだ へたり込んでいたが震えは止まったようだ
これなら町に帰れるな
「リュア、町に帰るぞ」
「ご、ごめん。力入んなくて立てない…」
「そうか。…これでどうだ?」
左手でリュアに触れ、魔力を流した
効くかはわからないけど一応回復をかけてみた
「…うん、大丈夫。行ける」
「よし、ならすぐに町に帰ろう。帰って少しゆっくりしよう」
町に戻った俺たちはギルドで魔石や素材を売った後昨日泊まった宿に帰った
今後どうするかを決めるために俺の部屋に集まり作戦会議をする
「…戦力が足りない」
「異議なし!」
戦力外が勢いよく賛同してくる
君はそこで反復横跳びでもしてなさい!
「どうするか…。誰か一緒に組んでくれるやつを探すか?…こんな見た目ガキと戦えない少女のいるパーティーに誰が来るんだっつぅ話だよな……」
金で雇うにしてもかなり高いだろうしいろいろとめんどくさいことになると思う
足元見られそうだし…
リュアが戦えるようになってくれるのが一番いいんだけど望み薄だしな…
「お金貯めて戦闘奴隷買う?見た目気にしなければ100000ゴルドくらいで買えると思うけど」
「…やっぱりいるのか、奴隷」
異世界だからいるかなとは思っていたけど本当にいるんだな
しかし安いのでも100000か
今俺たちの手持ちはさっきギルドで換金した分も含めて32000ゴルドだ
あと70000たりない
「そういや、リュアの職業聞いてなかったな。聞いてもいいか?」
「…お金がなくて職業就いてない」
もしかしてスライム倒せなかったのって?
職業補正がなかったから?
あは、あははははははははは
「あほかああああああああああ!」
「ごめーん!」
宿の一室から罵声と謝罪の声が街に響いた