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『破壊』と『再生』(仮題)  作者: 七面鳥の丸焼き
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1話 旅立ち

あ~、なんだかすごい落ち着く…

暑くなく寒くなく、温かいのに適度に涼しい

気持ちよすぎて寝てしまいそう…


「あっくんが悪いんでしょ!」

「フィアちゃんのせいでもあるだろ!俺だけのせいにするな!」


この喧騒さえなければね…

…いや、ちょっと待て俺

喧騒以前に考えなきゃいけないことがあるぞ

ここどこだ?

辺りを見回すとそこはこの4年間で見慣れた部屋だった

俺猫カフェ目指してたはずだよな?


「あっくんのバカ!」

「フィアちゃんのバカ!」


そして君たち誰よ?

フィアちゃんと呼ばれていたのは天使のコスプレをしている人で見た目幼女

あの輪っかどうやって浮かせてるんだろ?

あっくんと呼ばれていた人は黒いスーツ姿で頭に山羊の曲がった角、腰からクネクネと尻尾を、背中から大きなコウモリの羽を生やしている俺よりちょっと歳行ったくらいのにいちゃん

髪が血のように赤く見た感じ悪魔っぽい?天使の対だし


「…ん?あ!あっくん、目が覚めたみたいだよ!」

「ん?おぉ!本当だな!いやー、目を覚まさないから死んだかと思った!」


さっきの喧嘩はどこへやら

てか勝手に殺すなし


「…2人は誰なんですか?どうして俺の部屋に?」

「私はフィアレス、見ての通り天使よ!」

「俺はアスガロウス、悪魔だ。どうして俺たちがお前の部屋にいるかって言うとここがお前の部屋のように見えてそうじゃないからだ」


ん、んん?

どういうことだ?

雑誌の配置、脱ぎ散らかした服の位置、今朝かたずけを忘れた朝飯の皿

そのどれもが記憶と一致している


「そりゃそうよ、だってこの部屋はあなたの記憶から作り出したんだもの」

「俺の記憶から?」

「あぁ、このほうが落ち着くだろ?パニック起こされてもかなわないし」


目が覚めたらさっきまでいた場所と違うところにいて目の前で天使と悪魔が喧嘩中?

何処にいてもパニックになると思うんだけど?

俺は2人の喧嘩のせいで逆にクールダウンできた


「じゃあここはどこなんだ?」

「ここは天界の私の家!」


「で、ここはどこなんだ?」

「あれ?聞こえなかった?ここは私の家よ!」

「それは聞こえた。え、なに、天界?俺死んだの?」

「死んだかと聞かれればそうだな」


ただ道歩いてただけで死んだの?俺

結構健康な生活してると思ったんだけどな…


「えっと…下界のものが天界に来てしまうと下界での存在自体が消えてしまうの…」

「そしてお前は俺たちが喧嘩で出してしまった神気にあてられてこっちに来てしまったんだ…」


天使と悪魔が申し訳なさそうにこちらを見ている

仲間にしますか?

はい

いいえ ←


現実逃避終了

え、じゃあ何か?

俺が死んだのってこの2人のせいなわけ?


「ごめんなさい!」

「すまん!」

「…帰ることは?」

「存在自体消えたというのは死んだのと変わりないの。あの世界では死んだ人は生き返らせてはいけないルールだから…」


帰れないと…

ま、未練なんて何もないけど


「んで?俺はどうしたらいいの?天国行き?それとも地獄行き?」

「…飲み込むの早くない?」

「だってできないんだろ?だったら受け入れるしかないさ」

「…俺はてっきりぶん殴られるかと思った」

「私も」

「え?殴っていいの?」


殴っていいなら殴るよ?

天使とか悪魔とか今の俺には関係ないよ?


「ダメ!やめて!あなたの右手で殴られたらいくら私達でも消えちゃう!」


は?俺そこまで強くないぞ?


「お前の手に模様が出てるだろ?右手のは悪魔の印、『破壊』の模様、左手は天使の印、『再生』の模様だ。俺らの神気に当てられて出てしまったんだな」

「…で?これが出てるから何?」

「簡単に言ってしまうと右手は何でも壊す力を、左手は何でも治す力を持ってるってこと。もちろん壊したい、治したいって思っていることと魔力が無いと発動しないけどな」


なるほど

確かに今俺はこの2人の事を消したいと思っている

魔力があれば可能ということか


「天界は魔力で満ちているので発動しちゃうの!だからやめてください!」

「…ふむ、じゃあ左で」


天使には渾身のチョップを、悪魔には渾身の左ストレートをぶち込んだ


「あ、頭があああああ!さっき神様に貰ったげんこつと同じところにするだなんて、あなた悪魔ですか!」

「うるせぇ!こちとら殺されてんだ!その程度で済んだだけありがたいと思え!」

「…その件に付いてもう少し話がある」


こ、こいつ俺の渾身の左ストレートを鳩尾に受けて平然としてやがる…

化け物か!?

…悪魔は化け物か


「んで?話って?」

「神様からあなたを特例で別の世界に行かせてあげろと。さすがに元の世界は無理だそうなので別の世界ということになりました。何かご希望の世界はありますか?」

「…じゃぁ、王道に剣と魔法のあるファンタジーな世界で。あ、勇者とかは嫌だから」

「わかりました。それでは私からこっちに呼んでしまったお詫びとして魔力を使えるようにして差し上げます。でないと向こうで大変ですからね」


天使の左手が俺の額に触れる

するとそこから暖かい何かが体中に廻っていき馴染むようにして消えていった

これが魔力か…

あ、今ならわかる

確かにこの部屋俺の部屋に見えるだけで俺の部屋じゃないわ

家具とか魔力で形作ってるだけだわ


「俺からは…そうだな、翻訳は神からの差し入れであるし…。…うっし、これをやる」


悪魔はポケットから懐中時計を渡してきた


「向こうは時計がまだ普及してない世界だからな。そしてそれはただの時計じゃない。俺とフィア、それと何かあった時用に神にも繋がるようになっている。困ったことがあったら蓋を開けて左手・・で魔力を流しな。俺かフィアが出るからよ」


右手は破壊だからちゃんと左手を指定してきた

でもこれ便利だわ


「そしてこれが神様からです。これは収納袋と言ってある程度の重さまでならどんな大きさの物でも入れる事ができるというものです。これは神様自作なので容量無限重量無制限です。中にいろいろと入っているので向こうで開けてみてください!マニュアルも入れておきましたがわからないことがあれば連絡ください!」


神様自作ってそれ俺個人が持ってていい物なのか?

中身は後で確認するとしてこれ取り出すときどうやるんだよ

あ、中に何が入ってるかなんかウィンドウが出てきた

こりゃまた便利なものを

神様ってすげぇな


「それでは…えっと、お名前なんでしたっけ?」


そう言えば天使と悪魔の名前を聞いて俺は名乗ってなかった


「俺は紘兎。…苗字は名乗りたくない」

「…わかりました。では紘兎さん、あなたをセリュシノンの世界へお送りします!頑張ってください!」

「すぐ戻ってくるんじゃねぇぞ!」


天使の輪が光り輝き俺は光に包まれる

セリュシノンか…どんな世界なんだろうな

俺を受け入れてくれる世界だといいな…

2人のように…

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