10話 目標
「至急ギルドマスターにお目通りを!シューダンジョンが、シューダンジョンが攻略されました!」
ギルドに入るや否や門番さんがそう受付のお姉さんに叫ぶ
受付のお姉さんはそれを聞くと大慌てで2階へ走って行った
周りもざわざわとしている
え、あのダンジョン、初心者ダンジョンなんですよね?
いや、確かに人が全くいませんでしたけど
中の罠とか初心者にはきついものばっかりでしたけど
すぐにドスドスと慌ただしい足音が近づいてくる
「シューダンジョンが攻略されただと!誰だ!誰が攻略したのだ!?」
「こちらのお二人です!カードも確認いたしましたので間違いございません!」
そういって門番さんは俺を持ち上げる
やめて恥ずかしい!
リュアは何が何だかわかっていないようでオロオロとしている
「そんな子供がか!?…ン?子供?お前さん、名前を紘兎とか言わないか?」
「そうですけど。とりあえず降ろしてください!」
門番さんにそう訴えるとようやく降ろしてもらえた
ふぅ、恥ずかしかった
「なるほど、お前さんが紘兎か。話は聞いとるよ。なんでも登録初日に馬鹿3人に絡まれて無傷で撃退した期待の新人だと」
無傷ではなかったけどね
にしても期待の新人とかやめてほしい
「もう一度ギルドカードを見せてもらえるかな?疑っているわけではないが確認しないといけないのでな」
「はい」
「…確かに攻略の証がある。悪いが詳しい話を奥でしたい。ついてきてくれ」
断る理由もないのでついていく
会議室のような部屋に通されギルドマスターのおっさんと向かい合うように座る
「さて、まずは自己紹介から行こう。わしはここ、総合ギルドブスト支部のギルドマスターでアルマンドという」
「紘兎です」
「リュアです」
「うむ。では最初に聞きたいのだが、なぜシューダンジョンに向かった?」
俺たちはここまでの経緯を話した
「リュアよ、そのダンジョンガイドを見せてもらってもいいか?」
「は、はい!これです!」
リュアは腰のポーチから丸めたダンジョンガイドを取出しアルマンドさんに渡した
アルマンドさんはダンジョンガイドをぱらぱらとめくり、はぁっとため息をついた
「お前さん、これはどこで手に入れた?」
「えっと、紘兎を待ってる間暇だったので散歩をしているときに露店で見つけて買いました」
「…はぁ、お前さんカモられたな。これは偽物だ。シューダンジョンは初心者ダンジョンではなくBランクダンジョンだ」
Bランクダンジョン?
詳しく聞いてみるとダンジョンにはランクがありそれが高いほど攻略が難しいらしい
そしてシューダンジョンは階層や出てくるモンスターは優しいが罠が鬼畜なためランクBに指定された所見殺しのダンジョンなのだそうだ
…門番さんが驚いていたのは俺らが急に現れたからではなくBランクダンジョンを攻略したからなんですね
「あそこの罠は見つけるのも難しいと聞いているのだがよく無事だったな」
「え?リュアが罠を全部見つけてくれてたので楽に進めていたんですが」
「うん、私の仕事だからね!」
…リュアってもしかして盗賊が天職?
これはいい拾い物したんじゃないか?
「そうか、紘兎だけじゃなくリュアも規格外なんだな。わかった、Bランクダンジョンをクリアしたわけだしお前さんたちのランクをCに上げてやる!」
「いいんですか?罠が鬼畜じゃなければランクが低いダンジョンなんですよね?」
「そうだ。だからほんとうならBなのだがCにさせてもらう」
なるほど、Bから落としてのCなのか
それならありがたく上げてもらっておこう
「ありがとうございます」
「礼を言われるほどのことはしとらん。おぬしらならすぐにBにもなろうよ。受付でギルドカードを渡せば上げるよう言っておく。帰りにでも済ませておきなさい」
「そうさせていただきます」
「それでは話は以上だ。おぬしらのこれからに期待するぞ」
その言葉を聞き会議室を出た
受付に戻りカードの更新と買い取りをしてもらう
「お待たせいたしました。買い取りはすべて合わせて47700ゴルドになります。オークの魔石、腰蓑が変異種のものだったので少し色を付けさせていただきました。変異種の武器は出る確率が低いのでこちらも高価買取ですね。そして、こちらがCランクのギルドカードです。これからも期待してますね!」
お、おぉ…
全財産が最初のころとほぼ同額にまで増えた
ダンジョンいいな
いい稼ぎ場だ
これはいろいろなところを回って一番稼げるダンジョンを探すってのもありだな
リュアが使えるっていうのもありがたいしな
「リュア、俺はいろんなところのダンジョンに行こうと思うんだけどどうだ?」
「私は紘兎についていくよー!まだ恩を返せてないからね!」
「俺も、いいか?」
頭上から声がかかり見上げると顔の右半分を包帯で巻いた大きなトカゲがこちらを見下ろしていた
「…あなたは?」
「俺、アーシア。魔法使い。俺も、お前たち、ついていきたい。駄目か?」
「…あちらの酒場でお話をしましょうか」
「子供、酒、ダメ。向かい、食堂。そこ、行く。奢る」
…まぁ、ゆっくりと話せるならどこでもいいんだけどな
そしてこの人は悪気があって言ったんじゃない、落ち着け俺
「それで、なぜ俺たちと一緒に行きたいのでしょうか?」
「お前たち、子供。保護者、必要」
なるほど、保護者か
いくら俺が22歳といっても見た目がこれだからな
見える保護者は確かにいてもいいかもしれない
「お前たち、二人とも、前衛。後衛、いたほうが、楽になる」
たしかに
俺は魔法使いとは名ばかりの前衛だからな
「俺、料理、できる」
「採用!」
「紘兎!?」
リュアよ、何を驚いている?
食は大事だぞ?
腹が減っては戦はできぬのだ!
そして何より、俺もリュアも料理が作れない!
これではこれからの旅で支障が出る
俺たちの不足を補ってくれて料理ができる、そして目に見える保護者
これはもう採用するしかない!
「い、いいのか?俺、怪我してる。足手まとい」
「あ、そこは別にどうでもいい」
俺の力で治せるし
あとで治してあげよう
「俺は紘兎、こっちはリュア。これからよろしくな、アーシア!」
「よろしく!」
「あぁ、よろしく」
俺はアーシアと握手をする
その際にアーシアのステータスを確認する
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名前:アーシア
年齢:20
職業:魔法使いlv:28
HP:4000/4000
MP:22500/22500
ATK:50
DEF:45
INT:310
MGR:125
AGL:55
スキル
魔法:火魔法 水魔法 風魔法 土魔法 光魔法 闇魔法
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…この人も規格外かもしれない