ディスラー
ほどなくして、復活した不死身を頭蓋が割れた感触が襲っていた。
「おえっ気持ち悪...」
「よう、やっとお目覚めかそれにしても空から降ってくるなんて、どうしたらそうなるんだ?」
「...なんで避けたんだよ」
「?物飛んで来たら避けるだろ普通」
「人は受け止めろよ」
「お前はほとんどゾンビだろ」
「うるせえハゲ」
「あ?もう一度頭に真っ赤な花咲かせたいのか」
ゾンビと言われとっさに言い返したまではいいものの頭勝ち割るぞこら!と言われては、力で勝てない不死身には謝って許してもらう事しかできない。
プリンは気さくなおっさんだ。謝れば大抵のことは許してくれ、頼みごとをすれば一言目には≪俺に任せろ≫と言ってくれる。故に不死身は迷いなく頭を下げ謝る。
そうするとプリンも頭が冷えるのだ。
「ごめん悪かった!ハゲは言い過ぎた。よく考えたらスキンヘッドはヘアースタイルだった!」
「おう、分かってるじゃねぇか。俺こそゾンビは言い過ぎた。悪かったな」
仲直りしたところで一件落着...。
というわけにはいかない。
「落ち着いたところで、ここはどこだ?」
「ん、プリン街道だ。この道にはプリンがうまい店が並んでるんだ。まあそう呼んでるのは俺だけなんだけどな」
「いや、そうじゃ...「この店のプリンクソまずいんだぜww」「嘘だろあんな高いのに詐欺かよww」
どこからか聞こえてきたプリンをディスる声。
それが聞こえてきた瞬間喉に言葉が詰まりプリンの目から光が消える。
0.3秒
プリンが十数メートル離れた標的2人に近づき1人を半殺。具体的には殺さぬよう四肢に加減した拳を骨が折れる寸前まで打ち込み、締めにアッパーで意識を飛ばすまでの時間だった。完全に化け物だ。
もう一人は膝をつき目から水を垂れ流している。顔はくしゃくしゃに歪み、声も出ないようだ。プリンの顔はもう黒い雰囲気に包まれていて憤怒という事しかわからない。
数秒の沈黙その間プリンは残った一人の顔をじっと見ている。ただこのおっさんの傍でプリンをディスった彼らは、運が悪かったとしか言いようがない。
普通ならプリンをディスったところでこんな命の危険にさらされることなんてないのだ。
きっと今後彼らはプリンがトラウマになってしまう事だろう。
プリンが動いた。右手をゆっくりと動かしプリンディスり魔その2に迫る。その2はまるで感電しているかのように全身ブルブルしている。
プリンの手がその2の文字通り目の前に迫る。
「ごめんなさい!!」
その2は見事な土下座をした。
これにはおっさんの手も止まる。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
頭を地面にこすりつけボロボロ涙を流しながら土下座。
おっさんが口を開いた。
「...顔を上げろ」
その2は鼻水をズズッとすすり頭を持ち上げた。同時におっさんはゆっくりと上体を倒すと。
顔面に容赦のない蹴りを加えた。
その2の体は宙を舞い、ひと時の飛行を堪能するとドッシャッと落下する。
追撃は無い。
死んでしまったのではないだろうか、そう思わせる蹴りだった。
おっさんはその2が地面に落ちるのを見届けると大きくふぅーと息を吐いた。そうするとまるでその息として怒気が放出されているかのように、おっさんからみるみる黒い雰囲気が消えていく。
おっさんから完全に怒気が抜けきった。
「おいおいこれはやりすぎだろ」
声のする方を見るとKYが顔を引きつらせてディスり魔の二人を眺めていた。




