フラッシュバック
彼女の咆哮によって、体のいたるところに入っていた力が抜け、僕はかくんっと床に倒れた。
僕はビビったのではなく、びっくりした。それは咆哮にではなく、彼女自身に対してだ。
彼女の姿が、僕の目に入った瞬間、僕の記憶と彼女の姿が一致した。
雰囲気はまるで違うが、確信できる。寝ている時は気が付かなかったが...
間違いなく、僕を事故に巻き込んだ、元凶の顔だった。
「なんでお前がここにいる」
僕の口から自然と言葉がこぼれる。
彼女は、床に転がっている僕の友人を甚振るのをやめ、僕の方を向いた。
「ああ、ごめんね。何の説明もなしに来てもらっちゃって、えーっとあたしが今地下にいたのは...」
「違う、そうじゃない、なんでお前が、この壁の中にいるのか聞いてるんだ」
彼女が口から飛び出しかけたのは僕の出した質問の答えではなかった。
「それは何の話?」
僕を見て、この質問でわからないだなんて...
「まさか僕を覚えてないのか」
「あー、どこかで会った?」
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現在僕らは、地下室で円になるようにして座っている。僕と彼女が、ただならぬ雰囲気を醸し出しているのを察したポカリが、とりあえず部屋に入ろうと間に入ってくれたのだ。
「そのあと何があったかは知らないけれど僕は気が付いたら壁の中にいた」
僕はここに来る前の事、つまりいつの間にかバスの中にいて、だれが何をして、どうなったかをだ。それを事細かに説明した。
彼女は、僕の話が終わるまで、全く口を開くことがなく、最後まで真剣に聞いてくれた。
僕は全部話した。次は彼女の番なのだが、もう何分も目をつむり黙っている。これは何も話さないという意思表示なのだろうか、それとも頭の中で情報を整理しているのだろうか、後者なら一言あってもいいだろ。
僕が声をかけようか迷っていると、彼女の瞼が開いた。




