第7運命「対決!!!ルーイン・コーズ」後編
グレンがメリッサとカイトロスとのバトルを終えた同時期、クライドラとプリッセルは、あの時ハルクムが倒した筈のグレイシスと戦っていた。
キンキンと凄まじい音を立てて、双方の剣がぶつかり、鳴り響いている。
「無駄だ……あんた……俺には勝てない……!!! 」
「それはやってみないと分からないぞ? 我が師……グレイシス! 師は覚えていないのですか? 戦う前に相手がどんな容姿でも油断してはならない、諦めず戦いを制せ! ……と師が言ったのですよ? 」
「貴様は何を言っているのだ、何時……何処で……貴様の師匠になった!!! 貴様のことは知らない……何故なら初対面の筈だ……」
「貴方は……いや、師はこの世界をどうするのですか? もし、ルーイン・コーズとして世界を滅ぼすなら、我が師であっても容赦はしません!! 」
「いいだろう……そこまでして死に急ぐなら……楽にしてやろう!!! 」
グレイシスは先制を取り、クライドラは斬られかけた、
「師……甘いですぞ! 」
クライドラは瞬間的にグレイシスの剣を止めた。
「やるな……クライドラ」
双方は距離を取った。
クライドラは、剣を上に掲げ振り上げた。剣は黒く光り、キィンと耳障りな音を立て消滅した。
「自滅か? ……馬鹿か、あんたは……どうなんだよ! おい!! 」
「良く見ろ……無意味で消滅したんじゃない、そして……馬鹿は師の方だ……こういう形の別れはしたくありませんでしたが……死んで下さい……」
「何だ……これは……ぐぁぁぁー」
無数の斬撃、グレイシスはそれを目にした瞬間『ファイナル・ストライク』によって無残にも切り刻まれ地面に突っ伏した。
「やっと思い出し……た。……クラ……イ……ドラ……我が……弟子……すまなかった……なぁ……」
「グレイシス師匠……!! 」
カツカツと足音が響き誰かが近づく。
「お前ら、そこで何をしている……」
「ほう……グレイシスを倒したか……あいつは俺の忠実なる部下だったのにな……まぁいい、エドリード様のご命令だ、アジトに侵入した……貴様らジョーカーを消せと……」
「誰だ!! 」
「俺の名か? レオン・バイストール・サンケイクス……この組織の幹部だ!! 」
「!! 」
「驚いたか? クライドラ王? 」
「そんなことはどうだっていい!! ルーイン・コーズを潰しにきた、覚悟しとけよ? 」
「まぁ……いいだろう。そっちも覚悟しておくんだな……」
「何っ!? 」
一瞬でレオンはクライドラの首筋に剣先を向けた。
「お前には俺の剣筋は見えない……死ね……」
キィィン……
「いや、心眼では見えているぞ? 」
「ほう……腕で剣を止めるとは……」
「でもな……それでは駄目なんだよ」
レオンの剣はくらいどらの腕をすり抜け、足で蹴飛ばした。
「素手で俺と戦ってどうする? 大人しく、死んでくれよ? ハハ」
「いや……死ぬのはお前だレオン!! 」
「!! ……グレン! 敵は? 」
「メリッサとカイトロスは倒した。残りは、レオンとエドリード……グレイシスは……倒したみたいだな……クライドラ!! 」
「何? お前……メリッサ、カイトロスを倒したか……クライドラは……グレイシスを倒し……残りは私とエドリード様……ルーイン・コーズは危機的状況だな。おい……」
「お前を倒す!! 出でよ紋章!! 」
グレンの両手に紋章が現れた。
「おいおい、何だそれは? ハッタリか?よしとけ、そんなんで何が出来る? 」
「そういうのは、技を見てから言いなよ」
双方物凄いスピードで近づき剣が交わる
「黄竜剣!! 」
「ブルクラッシュ・ファイナル!! 」
グレンは曲刀カムラークを天に掲げくるりと廻し縦に構えた。
レオンは剣を水平に構えた。
双方の剣は強く光りだした。
「レオン……覚悟しろ!! 」
「邪魔だ!! 失せろ!! 」
ドスゥゥゥン……
双方の技は凄まじく互い劣ることなく消滅した。
「……グレン・フィー・ニコリアル……か、してやられたわ……エドリード様は、大丈夫だろうか……フン……まあいいか……エドリード様は……」
レオンは瓦礫から足を引きずりながら這い出てテレポートでどこかに消えた。
「いてて……」
瓦礫からレオンが出て10分後……グレンが瓦礫から出てきた。
「レオンの奴、手加減していた……今の状態では勝てない……!! 」
グレンは地面を叩いた。すると、なにか本みたいなものと、紙切れが近くに落ちていた。
グレンは、それに目をやると拾い手に取った。
「これは何だ? 紙切れと本? 」
紙切れは、伝説の武器そして特別武器の在り処が書いてあった
本には、何か書かれていた。
――伝説の武器は、我々の邪魔になる、だから自分の手によって、集める……今、曲刀カムラーク以外全て集まったエドリード様は気付いていない、私が何者か……フフ……
「何だこれは……!! 」
グレンは紙切れと本を鞄に仕舞った。
「レオンとは、また、戦いそうだな……」
グレンは言った。
「グレン……凄い闘いだったな……おい……」
「お兄様? 良いじゃないですか……もう。……グレンさん何か拾ってましたけど何ですの? 」
「大変だ……!! 」
「何が大変なんだ? 」
「エドリードは操られている! レオンが黒幕だったんだ」
「何? 信憑性は? 」
グレンは拾った本を渡した。
「……分かった。レオンは? 」
「どこかに消えたでも……」
「でも……何だ? 」
「レオンには伝説、特別武器を隠しているアジトがあるらしい、そこに乗り込もう」
「だが、そこは、ルーインド大陸だ!! 死ぬぞ!! 」
「グレンさんそれは、分かります、でも、今はエドリードを止めないと!! 」
「分かった……クライドラ、プリッセル行くぞ!! 」
「ハッ!! 隊長! 」
ルシール、ケニル、ウラルドは王室の間であろう場所に入った。
「お前ら、何しにきた……」
暗闇から何者かの声が聞こえる。
「お前こそ誰だ! 」
「俺か? エドリード・エクレイドだ、俺らの名前も知らずに相手しているのは癇に障るがいいだろう……」
双方の会話が済み静かになった。
シュシュン……
双方は剣を手に取った。
「ウオーーー!! 」
「――リャー」
ケニルとエドリードは双方、襲い掛かった。
「邪魔だ消えろ!! 」
キィィィィィン……
ギギギィ……
双方の剣は交わると思ったとき、
「残念じゃ……かすみ二段!! 」
ブシュ……ピタ……ピタ……
「ゴフ……貴様……」
「あんただって……人を傷つけてきたじゃろう? 降参するなら今じゃ! 」
「貴様! ……貴様如きに!! ……貴様如きに!!! 」
「ハアー、五月雨斬り」
キューン……ザシュザシュザシュ……
ケニルは無残に斬られた。
「……ケニルさん!! 」
「大丈夫じゃ……急所は避けておる……」
「ですが……」ウラルドがケニルに駆け寄りそう言った。
「ほう……完全に殺したつもりだったんだが、な……フン、死にそこないめ……ハハ、今……楽にしてやろうか? 」
「エドリード……貴様!! ケニルさんを……」
ザ……サササ……
「ほう……貴様やるな……」
「……」
一瞬のうちにウラルドはエドリードの前に、双方は剣を交えた。
「だがな……貴様らは邪魔だ、一人残らず殺す、それだけだ。大人しく死んでくれ……」
「!! ……お前、それ……今殺すモンに言うことか? はい、そうですかって引き下がれるわけないだろう」
ザシュ……
バタッ……
「五月蝿い……失せろ、ゴミが……」
ウラルドは一瞬で斬られ、地に突っ伏した。
「さあ……後は、お前だけだ。女!! 死ね!! 」
エドリードは剣を構え、言った。
***
「いや、それはないな……エドリード!!! 」
物陰から三人現れた。
「まだ、ゴミが残っていたか……ハーハハ、面白い……実に面白いぞ、貴様ら。皆、まとめて死ね!!! 」
ブゥゥゥン……
「これが、何か分かるか? 」
「!! 」
「教えてやろう、究極魔法だ。名を『-拷苦瞬焔球-バーニング・レクゥイエム-』、今から貴様らを葬る魔法だ……ハハハ……フーッハハハ」
「うるさい! 」
ゴォォォー……
グレンの周りにほとばしる、怪しい電撃……尋常では無いだろう……グレンの怒りが紋章の力と呼応しこの力を引き起こしたのだ。
「貴様……その力、お前だけは今、葬っておこうか……」
「エドリード……!! 」
グレンは、叫んだ。先の戦いで、力を使いすぎたのだ……グレンはそれを隠し平然を装う……だが、ばれているだろう、だが、戦いは続かないと、グレンは感じた……次がお互い最後の攻撃だからだ。この一撃で、誰かが倒れるからだ。
「もういい……うざったい、まとめて死ね!!! 」
グレンは技を発動出来なかった。
エドリードの究極魔法が単独で発動し襲い掛かる。
「グレン!! 」プリッセルは叫ぶ。
**
「貴様らの力では、無理だ。塵カスにでもなれ。」
だが、それも虚しく魔法は途中で消滅した。
「あんたの力は、分かった……だがな、究極魔法は一つじゃない!! 分かるか? 」
そう、この世界に存在する究極魔法は、四つ存在する……攻撃魔法『拷苦瞬焔球-バーニング・レクゥイエム-』、防御魔法、封印魔法、回復魔法……つまり、グレンが使ったのは、防御魔法『完全魔法無効化-パーフェクティオ・マジック・キャンセリング・ディスペラー-』……全ての攻撃魔法に適用される、完全防御……絶対に破ることは出来無いが、魔力の消費が激しい分、多用は出来無い。そして、双方は攻撃の術を無くした。
「貴様、何のつもりだ? 」
「あんたが死ぬことは無い……」
「なんだと!! 」
「お前はレオンの人形じゃない!! 」
「!! グゥゥウ……アーーーーーー!! 」
「自分でやぶれ!! レオンの魔法を!! 」
「五月蝿い……五月蝿い五月蝿い五月蝿い!!! 」
エドリードは狂ったようにグレンに襲い掛かり剣を突き立てた。
「ぐはっ……」
グレンは吐血を吐いた。
「グレン!! 」
「大丈夫だ……ルシール、心配しなくていい……」
「貴様……何故だ、何故殺さない? なめているのか? 」
「エドリード、さっきも言った……お前は人形じゃない!! 目を覚ませ!!! 」
「アーーーーーーーーーーー……」
***
グレンとエドリードの激しい戦い……グレンはエドリードを呪いから救う為、攻撃を受けた。
エドリードは呪いを解くことは出来たが、その代償として、グレンは死んでしまったのだ。
「グレンが死んだだと?……どういうことだ!! エドリード!!! 」
「お兄様!! よしてください、この人だって……」
クライドラの怒り、プリッセルは必死に引き止めた。
「すまない……」
「エドリード、何とかならないんですか? 伝説の力は他に……」
「ルシール……」
「ある、回復魔法『生成る力-リヴァイヴァ-』だが、俺には無理だ。俺はその、担い手じゃない……担い手しか無理なのだ……!! 」
「じゃあ……グレンは……」
「死ぬ……もう蘇生は……」
ルシールは、エドリードの一言で膝を落とした。これが、現実……いつもそう……こうして命は消える。ルシールは、心に隙間が開いた感じを覚えた、クライドラもプリッセルも……
「そんなの……嫌!! 」
プリッセルは、現実を受け止めれなかった、何故か……諦められないのだ、グレンが死んでしまい蘇生は不可能と分かっていたのに……
「嫌ー!! グレン!! 」
プリッセルは必死だった。訳も分からず何かを口にする……
「この者に、再び命の灯火を蘇らせん……『生成る力-リヴァイヴァ-』!!! 」
ピィィィィィーン……
プリッセルは何かにつき動かされるように十字を刻みグレンに魔法を放った。
魔法を放ってからの途中、プリッセルは自分に宿る究極魔法に気付く、訳も分からない状態、そして……グレンを救いたい気持ちがこの魔法を目覚めさせた、と……なら決まっている。
――グレンを救おう……!!
「グレンさん!! 」
**
トックン……トックン……
「プリッセル!! グレンが!! 」
「蘇生した……のですか? お兄様」
「プリッセルどの……さっきのは? 」
「分かりません、ルシール」
すると、エドリードは口を開く。
「いや、間違いではない……あれは『生成る力-リヴァイヴァ-』だ」
分からずにやったとは言え、そんなものを通常は使えない……あるとすれば、究極魔法の担い手であることが条件だ。
「私は知りません、でも……何故」
「グレンみたいだな……」
「え?……お兄様? 」
「いや、な……グレンも必死だった時、気付いたら紋章を使っているし、なって……」
「ふふっ……お兄様……」
「う……何だ此処は……」
「グレン!! 」
「目を覚ましたか? 」
「クライドラ……プリッセル、ルシール……どうしたんだ皆、何で泣いてるんだ……」
「お前が死にそうだったからだ、分からんのか」
「エドリード……呪いは解けたんだな……」
「ああ、ピンピンしてるぞ……すまないグレン、お前には救われた」
「だって、放っとけなかった……トマークだってそうだ、俺らの先祖は力を合わせた、今がその時だ」
「グレン、俺は力を貸す、お前らと共に世界を救う!!! この命、恩人に使うのは当然だ」
グレンとエドリードは拳を重ねた。
「ああ、宜しくな……戦友!! 」