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アイドルッ!  作者: 末吉
第三幕・第二話
98/205

2-7 申請書

四話のタイトルが存在しないことに気付いたので三話の一部を四話に変更して五話目はそのままの分量……


あ、六話目に入りました。

 次の日(五月二十六日、木曜日)。

 寝不足の状態で自転車を飛ばしたら道に迷い、学園に着いたのが何と遅刻確定三分前。

 そのまま自分の教室へ行き、いつもの席に座り、いつきが何か言ってきたが、寝た。寝不足で辛いんだ、これくらいさせろと思った。

 そして目を覚ましたら、放課後になっていたらしい。帰る準備したり、ワイワイ喋っている奴らが居たから。

 俺、どんだけ寝てたんだよ……と心の中で呟いて椅子から立ち上がって帰ろうと思ったが、目の前に光が居たのでその考えを改めることにした。

「何か用か?」

「つとむさん、行きますよ!」

「……ああ、そういやそうだったな」

 光の言葉で思い出した俺は、ふと何の気なしに周囲を見渡した。理由としては、いつきが居ないことを確認したかったからと、周囲の目が完全に俺達に向いているのか確認したかったからだ。

 その二つは見事に当たっており、いつきは居らず、周囲は完全に俺たちの事を見ていた。

 …………何かしらの誤解を生みそうだな、もう。

 誤解っていつ解けるのかなぁと思いながら、俺は光に引っ張られそうになりながらも自力で歩いて職員室についていった。


「そういや、二人一組なら男女関係ないんだろ? どうして同性じゃなかったんだ?」

 職員室まで歩いている間ふと疑問に思った俺は、何の気なしにそう訊いた。

 いや。別に今更取り下げようとしてるわけじゃないぞ? ただ、女子同士の方が気軽にできるんじゃないかと思っただけだ。

 対して、光は膨れっ面になりながら説明してくれた。

「あの番組は基本的に男女ペアでの出演が決まりなんですよ。じゃないとほら、色々とあるじゃないですか。差別とかそう言うの抜きに」

「ああ。体力やその他諸々か」

「ですから、女子は基本的に動きません」

「そうか。となると俺が……って、おい」

 さりげなく重要な事を言われた気がしたので俺は呼び止めたが、無視された。

 てことは、なにか? 俺は動きっぱなしになるのか?

 そう思ったが、良く考えてみれば本気を出す必要などこれっぽっちもないので体力をそんなに使わなくて済むじゃんと思った。

「ほら早くしてください!」

「ああ」

 光が催促してきたので、適当に返事をして歩き出した。

 その数秒後。

「待ってください! どうしてそんなに早いんですか!? 走ってるんですか!?」

「いや。ただ歩いているだけだが?」

 俺がいつの間にか追い抜いて、光が少し置いてかれていた。

 はて。普通に歩いただけなんだが……と考えたところで、思い出した。

 いつき曰く、俺の歩くスピードは普通の人が走るそれと一緒だと。

 そしたらどんなスピードで走っているんだよ、俺。なんて思ったが、要は普通に歩いているように見えて傍から見れば早歩きをしているように見えるようだ。実際、光やいつきも後を追うのに必死の様だったし。

 ようやく追いついた光は、俺の隣(しかも肩と肩が触れ合うくらい)に来てからこう言った。

「もう! 折角待ってあげたのに、どうして追い越しちゃうんですか!?」

 それに対して俺は、

「いや。本当にただ歩いていただけなんだが」

 と答えるしかなかった。

 まぁ普通なら何かしら言い訳を思いつくんだが、いかんせんこいつが肩にわざとぶつかって来た時の香水の匂いに心拍数が上昇したり、周囲の視線がなんだか嫉妬を纏っていたりするせいで、正直に答えるしかなかった。

 だってしょうがねぇだろ! こんな美少女より喧嘩や事件に遭遇するほうが高かったんだぜ!? たまにいたがそんな奴とは一回会ったきりだし! 

 なんて思ったが、どうしてただこれだけの事で焦っていたのかと、今になって気付いた。

 まぁそんなことはいいか。今はそれよりさっさと終わらせてバイトへ行かなくては。

 そう頭を切り替えて、俺はぴたりと寄り添う形になった光から半歩ずれ、そのまま職員室へ歩き出した。いつものペースで。

 当然、それについてこられるわけもなく。

「待ってください!」

 半歩ずらされて倒れそうになった挙句に先を行かれるものだから、光は慌てて後を追いかけてきた。



 さて職員室の前に着いた。

 実際来るのは二回目である。結構色々とやらかしたのに、職員室に呼ばれたことなど事故から退院して学校へ来た初日しかないことに、今更ながら驚いた。

 つうか、何気に人通り多いな。多くの奴らが話し合いながら見ているのが依頼管理報告書なのか。

 前来たのに全く確認していなかったんだなぁと思いながら、俺は電子掲示板近くにある受諾書置場で受諾書を一枚とって、その横にある机でサラサラと書いていった。

 そうやって書いていると、急にあたりがざわつき始めた。

 一体誰が来たのかなど考える気もなくささっと書いていると、後ろから声をかけられた。

「何さっさと書いているんですか、つとむさん! 一人で先へ行きすぎです!!」

 俺は、その言葉に返事をせず集中して書いていった。

 そんな姿を見た光は、どうも俺が書き終るまで待つようだ。後ろにピタリと気配が固定されているから。

 五分後。

 大体書き終えた俺は後ろを振り返り、目の前にいる光に「さっさと提出するぞ。急がないと時給の関係上給料が減る」と言って職員室へ入った。

「よう先公」

「いきなりな挨拶だな。何か用か?」

「これ」

「ん? お前が自らこれを提出するとは……。一体何があった?」

「別に」

「そうか。まぁ頑張れ」

 と、これが先公に依頼受諾書を渡した時の反応。

 まぁそれが普通だろうなぁと思いながら、俺は職員室から出て自転車置き場まで走った。


今更ですが、この作品の一幕は大体新人賞に応募できる文字数の十万文字程度を目指しています。

三幕目? 文字だけなら十一万超えましたけど?

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