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アイドルッ!  作者: 末吉
第三幕・第二話
96/205

2-5 白鷺さんの番組紹介

進行状況:十万文字を超えてもなお、五話目が終わらず。それ一話で三割使ってるんですぜ……

 午後の授業を寝て過ごし、放課後。

 俺はマスターに電話で遅刻することを伝え、急いで以前光を泣かした森の中へ。いつきに何か言われたが、無視。

 そして例によって看板が立っている所で中に入り、そのまま奥へ行った。

 なぁ爺さん。ここって意外と誰も使わないんじゃないか?

 そんな事を思いながらベンチしかない広い空間に来た俺は、手提げ鞄(よく学生がドラマとかで使うアレ)をベンチの脇に置き、空を眺めていた。

 あ~、光にバラエティの撮影に参加するとか言ったものの、気乗りしねー。どうせ白鷺も同じだから気乗りしねー。

 なんて思いながら空を眺めていたら、

「そんな風にしていると、なんだか哀愁漂う渋いオジサマみたいに見えますよ? 若いのですから、もうちょっとシャキッとしてください」

いきなりそんな注意をされた。声の主は判る。白鷺だ。

「話を聴くとなると、どうにも気乗りしなくてな。それに、お前も忙しいだろ?」

「そうですけど、今日の時間を作るために色々と押し付けてきたので、大丈夫ですよ?」

とか言いながら自然に隣に座る白鷺。

 一瞬翠みたく緊張するのかなぁと思ったが、あいつより男慣れしてそうだなぁと家庭の事情などを考慮して導き出し、普通にした。


 …実を言うと彼女は表情に出さないだけで凄い緊張していたりするのだが、まぁつとむがそんなことに気付くわけもない。


「なぁ」

「なんですか?」

一瞬スルーしてしまうかと思ったが、なんだか耳を疑いそうな事を言った気がしたので、念のために聴いた。

「どうやって忙しい中こんな時間を作ったんだ?」

すると美夏は俺に顔を向けてきたからこう言った。

「どうって、先ほども言った通り。色々と押し付けてきました♪」

おいそこ。「やっちゃいました。テヘッ♪」みたいな顔するな。色々押しつけられた人は大変だろうが。

 こうなりゃその人の為にさっさと用件を終わらすか。そう思った俺は、用件だけを聴く態勢に入った。

「で? おそらく俺と一緒に出演してほしいという話だろうが、念のために訊く。用件は?」

美夏はいつもの表情で答えた。


「来週の土曜日に一緒に出演してもらいます(・・・・・)


 ただし、その言葉にまた耳を疑ったが。

「おい、ちょっと待て。今『出演してもらいます』って言ったよな? 『ください』ではなく、『もらいます』って」

「はい。逃げ道を用意する気などなかったので、最初から申請しときました。ほら、ここに証拠の紙があります」

 と言って俺に紙を渡した。

 その紙はなんと、依頼受諾書だった。しかも、俺の名前と依頼内容、担任の先生と爺さんの名前の判子があった。

「いつの間にやったんだよ?」

「昨日です。遊園地の件で分かりましたけど、つとむ君は自分からこういう事をなさらないので。ですから、昨日申請させてもらいました。大急ぎで」

 ひょっとすると認定生は、立場的に色々と優遇されるのだろうか。

 となると、俺みたいな奴が一緒にいたら色々と変な事を言われるのではないか?

 なんて思えてしまったので、「ですから、お願いします」と言った美夏に、俺は首を振った。

 縦ではなく、横に。

 まさかそんな反応を示されるとは思わなかったのか、美夏は驚いた。

「ど、どうしてですか!?」

 そりゃ簡単だろうが。

「俺が一緒だとお前らの評判が下がるから」

 ただ事実のはずなんだが、

「そんな事ありません。つとむ君はそのままで大丈夫ですよ」

 笑顔でそんな事を言われた。何だろう、無性に不安になってきた。

 そろそろバイト行きたいなぁと思った俺は席を立とうとしたら、制服の裾を掴まれた。

「なんだよ。そろそろバイト行きたいんだが」

「どちらなのですか? 行くんですか? 行くんですか?」

「もういいよ、行くで。それしか選択肢ないし」

 投げやりにそう言ったんだが、「本当ですか!? ありがとうございます!!」と言われた。

 なんだろう、凄いドキドキする。きっとこの笑顔のせいだろう。そうに違いない。

 大体ドラマとかに出たくないんだがなぁと思いながら依頼書を確認したら、

『出演依頼番組:危機一髪! 無事に相方を助け出せ!!』

 ……………………………………。

「良く、こんな番組に出たいと思ったな」

「お願いしますね?」

 要は脅迫か。こんな番組に出るのだから、ちゃんと助けないと何かするぞという。

 ハァ。こりゃ意地でも助けないと駄目だろうな。だって、

「お願いします」

 キラキラとした眼で(俺の錯覚だろうが)俺の事を見ながらそう言ってるのだから。

「……分かったよ。ちゃんと助けてやる」

 そう言ったら、急に美夏の顔が真っ赤になった。あ? どうしたんだよ、一体?

 だが俺は急がないといけないと思ったので、「じゃぁな」と言って憩いの場から離れた。


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