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アイドルッ!  作者: 末吉
第三幕・第二話
95/205

2-4 光の番組紹介

前回削除する前って確かこのあたりが最後の投稿だった気がしますね。

「えぇっとですね、この番組名は『クイズ! 二人でドンッ!』。名前の通り、二人で参加するクイズ番組です」

「あ? だったら他の奴にすればよかったじゃねぇか。どうして俺なんだ?」

「番組の事を本当に知らないんですね。この番組、実は知力だけじゃないんです。体力も使うんです」

「まぁ二人組だからな。そうだろうと思った。だが俺の理由が分からない」

「ですから、体力も知力も一般人を上回るつとむさんと一緒に番組に出て、優勝しようと考えてです。それに、これに出てアピールすれば公認になれますし…………」

「は?」

「な、なんでもありません!! と、ともかく! これで分かりましたね!?」

「あ、ああ」

 なんだか勢いで言われたが、ともかく何故俺にこんな事を頼んできたのか理解はした。

 理解はしたが………………。

「俺じゃなくて甲斐でもいいんじゃね? あいつ多分暇だろ? それか、他の奴」

 やっぱり俺じゃなくても良いのでは、と思ってしまう。

「そんなことありません!! こんなことはつとむさんにしか頼めません!!」

 ふ~む。どうしても俺と一緒に出演したいようだ。

 俺の体質もあるから出たくないんだけどなぁと思いながら、ため息をついてこう言った。

「ハァ。……負けたよ。光の勝ちだ」

「え!? い、今名前で……」

「今週の土曜だな? どこで待ち合わせだ?」

「本当ですか!!? やったぁ――――――!!!」

 おい。名前で呼ばれたのと一緒に出演できるからってそんなに喜ぶな。そしていきなり弁当を勢いよく食べるな。

 それを見ていたら、俺の腹もグーとなりだした。

「お腹、なってますね」

「……」

 そんな目で見るな。俺だって腹が鳴るとは想定外だったんだから。

 しかし光は、クスクスと笑ってから、今更思い出したかのようにもう一つの弁当を俺に差し出してこう言った。

「良かったら、食べます?」

 一瞬迷ったが、何かもったいない気がしたので「ありがとう」と言って弁当箱を受け取り、なぜか箸が入っていた事に疑問に思いながら、食べ始めた。

 そんな俺を光はドキドキしながら見ていたようで、

「お、おいしい、ですか?」

 と訊いてきた。いや、まだ食べている途中だからな? 全部食べ終わっていないからな?

 しかし何か感想を言わないと駄目なんだろうなと思った俺は、半分くらい食べたところで感想を言う事にした。

「まぁ、美味い。ただ……」

「ただ、なんですか?」

 これは俺の主観だから言う必要はないんだけどなぁと思いながら、正直に言おうかどうか悩んでしまった。

 最終的に。

「いや、やっぱりなんでもない。こういう手作り弁当を食べるのは大分覚えがないから、なんだか新鮮だなぁと思っただけだ」

 本当は味付けに文句を言いたかったが、そこはあえて何も言わず懐かしさだけを伝えた。

 いや、言えるわけがないだろ? もっと塩少なくしろーとか、醤油の量が多いぞーとか。

 家庭の味まで首を突っ込むほど、俺は料理に詳しくなければ上手くもない(お袋やいつき、茜たちが知ったら間違いなく説教が来るだろうが)。

 そんな事を考えていたら、光が驚いていた。

 なぁ、俺の言う事にいちいち驚かないといけないのか? そんなんじゃ身が持たないぞ?

「本当ですか?」

「料理を教わったのは小学二年の頃だったか? 最初の方は失敗ばっかしまくって自分で処理して死にそうになったが、一年もすれば普通に出来るようになり、それから自分でお弁当の時は自分でつくらされたからなぁ。あ、でもたまにだぜ? 面倒だから作ってね~と言われた時ぐらいだ」

「それを今まで?」

「最近はバイト以外だと暇な時しか家で料理を作ってないぞ? 弁当作ったら中身が大変なことになりそうだから」

「そこまで大変なことになりますか?」

「自転車通学舐めるなよ。隣町だからと言って、俺の家から十キロくらいあるんだ。一時間で着くようにするんだぜ? 途中の信号とかでペースを変えながら」

「そういえば、あの時も自転車で帰っていましたね」

 と、そのままその時の回想に向かうところだったので、俺は話題を変えた。

「そういやお前ってくれな町に住んでいるのか?」

「はい。両親は実家にいますけど、姉がこの街で働いているので」

「お前の実家って何してるんだ?」

「農家ですよ。私も手伝ったりしました」

 なるほど。だからあんなに声がでかいのか。

 個人的な疑問が解決して満足していたら、今度は光が質問してきた。

「つとむさんのお父さんてどんな人ですか?」

「親父は…………」

 この時、俺は何て言おうか困った。

 事実を言えばいいのだが、その場合たかあき町の説明からしないといけない。更に言うと、俺は親父があの町に来る前の事を知らない。だから、俺が生きている間で見てきた親父について語らないといけない。

 身内ネタって結構きついんだなぁと思いながら考え、出した言葉が、

「お袋にベタ惚れの社会人」

 だった。本当は、最初に「俺よりも強い」「妹に甘い」「人を卒業した存在」などが付くのだが、こちらの方が何かと印象的には良いだろうと思い、これにした。

 案の定、光は羨ましそうに言った。

「いいですね。一度普通に会いたいです。つとむさんのお義母さんとお義父さんに」

 光。それは止めてくれ。まず間違いなく勘違いされ、茜が俺に説教をしてくる。というか、親父とお袋の愛称が少しちがかった気がするんだが……。気のせいか?

 そんな事をしていたらチャイムが鳴りそうな時間だったので、「マズイ! さっさと食べて授業いかないと!」と言ったら、光も慌て出し。

 その後ものの数十秒で弁当を食べた俺はその弁当を光に返し、そっから面倒だったので階段の隙間から飛び降りた。

 光が何やら言っていたが、気にせず二階の階段の手摺に掴まり、労せずそのまま二階へ到着。

 その時の光景を数人に見られた気がしたが、この際気にする必要が無いので、俺はそのままダッシュして自分のクラスへ戻った。


活動報告にてこれからの説明をしようかと思います。

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