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アイドルッ!  作者: 末吉
第一幕:第二話 面倒事ほど近づいてくる
9/204

2-2 菅さん

どうぞ

「やっぱり、お前か。本当によく巻き込まれるな、いろんなものに。呪われてんのか?」

「うっせぇよ、菅さん。あんたが呼ばれたんなら、俺がいるってことぐらいわかるだろ?」

「まぁな」

 タバコを吸いながら笑う菅さん。ちなみに犯人は、俺の背負い投げで気絶してパトカーに連行された時に気が付いた。よかったぜ。死んだのかと思った。

 さてと、菅さんについて説明しなきゃな。名前は菅本(すがもと)信吾(しんご)。職業は、この流れからわかるように、警察官。俺といつきが巻き込まれた事件で世話になって以来、俺が巻き込まれた事件の時には必ず来る。俺と菅さんは、その原因はいつきだとにらんでいる。

「しっかし、お前、凄いな」

 いきなり菅さんがこうつぶやいた。

「あ? 何がだよ?」

 当然俺は分からないのでそう返したら、

「なにがって、お前が捕まえたひったくり犯、指名手配されてたやつだぜ。なかなかシッポをださねぇから、どこに居るのか分からなかったんだぜ」

 と説明してくれた。ふ~ん、結構すごいやつだったんだな。と捕まったやつに対してちょっとだけ賞賛をしていたら、

「さてと、これからはいつも通りのやつだな。じゃ、行くぞ」

 菅さんが手招きしてきた。俺も慣れているので、

「自転車で行くから先に行っててくれ。あ、学校には遅刻するって言ってあるから」

いつもの文句を伝える。

「やっぱり慣れてんなぁ~」

「慣れる必要はないと思うんだが」

「まぁ、そうだがな」

 そんな言葉を交わして菅さんはパトカーで、俺は自転車で警察署に向かった。




 ところ変わって、学校では、

「八神―。……ん? 八神は欠席か?」

「あ、先生。八神君は自転車のタイヤがパンクしたとかで、学校に遅れるそうです」

「そういえば、あいつは隣町から来ているんだったな。分かった。え~と、次は、安井」

「はい!」

 そんな感じで点呼が進んでいた。



「学園長、おはようございます」

「おはよう、諸君」

「それにしても、少し遅かったようですが、何をしていらしたんですか?」

「ちょっとした練習をしていたんじゃ。まぁ、その練習で危うく死にそうになったがの」

「な、なんてことしていたんですか!! そんなことなさらないでください!!」

「いいではないか。それに、そのおかげで改善点が見つかったしのぅ。」

「……?」

「そういえば訊きたいことがあるんじゃが、八神つとむはこの学園にいたかのぅ?」

「ええ、いますよ。教師達からはだいぶ評判が悪いようですが」

「ほほう。なるほどのぅ。……才能とは意外と誰にも気付かれないものじゃな。」

「学園長、何か言いましたか?」

「なんでもないわい。……さて、今日も一日、頑張るかのぅ」

 そう言って、学園長と呼ばれた老人――鯨井(くじらい)朱雀(すざく)――はいつものように仕事を始めた。



「久し振りだなぁ~、ここに来るの」

 俺は警察署を見上げながらそうつぶやいた。ああ、シンド。自転車であそこから地元の警察署まで軽く二キロぐらい走ったぜ。と、息を整えていたら菅さんが、

「ほらっ、さっさと来いよ。調書つくれねぇだろ」

 言ってきた。分かってるよ、全く。そうつぶやきながら、俺は警察署の中に入った。

「これで、全部だな」

「ああ」

「登校中にひったくり犯が向かってきたので、返り討ちにした、と。いつもとかわんねぇなぁ、おい」

「別にいいだろ」

「・・・・・・・・いいぜ。もう終わったからな、さっさと学校に行けよ」

「分かってるよ」

 俺は席を立って帰ろうとしたんだが、そこに一人の刑事が来て、

「野郎、証拠は挙がっているのになかなか他の件を認めません」

 菅さんに耳打ちしたのが聞こえた。往生際が悪いなそいつ、と思いながら関係ないので帰ろうとしたら、

「そうか。……おい、つとむ。」

 菅さんが呼び止めた。俺はその後の言葉が予想でたので、

「断る」

「いいじゃねぇか、俺とお前の仲だろ?」

「ふざけんな!!それぐらい自分で口をわらせろ!!」

 そう反論したら、

「…やってくれたら、お前さんのせいで被った被害に、目をつむってやるぜ」

 なんて言ってきた。

 それに俺はものすごく心当たりがある。畜生、こんなところで使いやがって。

「てめぇ、そりゃぁ、脅しっていうんじゃねぇのか?」

「で、やるのか?やらないのか?」

「・・・いいぜ、やってやるよ。そのかわり、次からこんなこと俺にさせるんじゃねぇぞ」

「分かってるよ。じゃ、よろしくな」

 結果的に俺は了承し、菅さんは俺を取調室に入れた。菅さんに報告した刑事は、『なんで一般人にやらすんですか!?』と言っていたが、菅さんと俺は気にせずに入った。


「なんで一般人に手伝わせるんですか!?」

「ああ、お前はまだここに来て間もないから知らないんだな」

「何がですか?」

「あいつ――菅さんと一緒にいた少年は、事件解決にすごく貢献しているからな、この署じゃ結構な有名人なんだよ」

「そうなんですか?」

「ああ。それと、この町はヤクザや不良グループがほかの町より多いだろ?」

「そうですね。なんだか雰囲気としてはどこもかしこも一色触発、って感じがしますからね」

「でも、その割にはそいつらの犯罪件数が少ないだろ?」

「確かにそうですね。ですが、それと何が関係しているんですか?」

「まとめているのはあの少年だ。この町のヤクザや不良グループは、あの少年がいるからこの町では犯罪を起こさないんだ。いや、他の町でも起こせないかな?彼はそういう騒ぎに敏感のようだからね」

「・・・・・・・・・」

「という訳だ。この町が平和なのは、ひとえにあの少年の力があるからだろうな」

「す、凄いですね」

「ああ、全くだ」


では

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