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アイドルッ!  作者: 末吉
第四話~八日目から十三日の出来事(及び風井翠の回想)~
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4-12 仲直り

 十二日目。

 昨夜のぎすぎすとした空気のまま、俺達は朝食を食べ、昼食を食べ、寝た。その時二人は離れていた。

 起きた時に挨拶も交わさず、俺達は夕食を食べ、監視しようとした。その時、外に人の気配がしたので、俺は構えを取りながらドアに近づき、ドアを開けた瞬間に気配のした方向へダッシュで向かい、向こうが驚いている間に攻撃しようとした。が、出来なかった。なぜなら、

「いきなり攻撃とは穏やかではないな。しかし、殺気もなしにこれほど鋭い攻撃が出来るとは。流石に驚いてしまった」

「なんだ、爺さんのSPか。気配の消し方が雑だから、殺人者でも来たのかと思った」

 爺さんのSPが両手をあげていたからだ。どうやら交戦の意思はないらしく、紙袋を両手に一つずつ持っていた。

 そうなると中身だが、俺はもう見当がついていた。なぜなら、爺さんのSPが持ってきているという事で、一つの事実しか思い浮かばないからだ。

 ちなみに、翠は俺の行動に呆気に取られていた。ま、無理もない。突然構えを取って、ドアを開けたと同時に姿が見えなくなったのだろうから。

 SPは俺に紙袋を渡してから、「中身の説明は?」と訊いてきたので、「どっちがどっちだ?」と訊いたら、「右が君。左は彼女だ。ルートの説明とかは、明日説明しに来る」と答えて、旅館に戻っていった。

 俺は紙袋を持ったままログハウスに戻った。翠はなおも呆然としたまま。

 ドアの近くで呆気に取られている翠に、「ほれ」と言って、左側の紙袋を渡した。

 翠は紙袋を慌てて受け取り、「あ、ありがとう」と言ってきた。

「どういたしまして」と答えて、俺は紙袋の中身を取り出した。そこから出てきたのは、何と小悪魔的なコスチュームだった。

「・・・・・・・・・・・」

「ぷっ」

 俺がどういう訳だか考えていたら、翠が吹き出した。

 これはどう考えてもサキュバスだよな? どうしてだ? 俺は確かに左手に持っていた紙袋を渡したはずなんだが・・・・・・・・・・・。

 どうしてだから分からず深く考えている俺を見て、ついに耐えられなかったのか、翠が笑い出した。

 翠が笑っている理由が分からなかったので、俺は素直に訊いてみた。

「どうして笑っているんだ?」

 翠は、これ以上ないほどの大笑いをしながら答えてくれた。

「だ、だって! つとむったら、こんな簡単なことに気付かないんだもん!! SPの人と自分での手の見方が逆だってだけなのに!! あははは!!!」

 そう言われて、俺は納得した。そして、それは大分初歩的なミスだな、こんなミスをしたのは久し振りだと思いながら、いつまで翠は笑っているのだろうか観察していた。

 十分後。翠は腹筋が割れんばかりに笑ったせいか、お腹を押さえて座っていた。

 俺は、持っていた紙袋(中身は戻した)を翠の方へ持って行き、それを置いてから、翠が笑ったせいで落ちた紙袋を拾った。

 本当に大丈夫なんだろうかと思いながら翠を見ていたら、急に立ち上がってこう言った。

「いや~、こんなに笑ったのは久し振りだよ。それに、つとむが失敗するなんて初めて見た」

 俺は呆れながら言った。

「俺は完璧な人間じゃないからな。失敗だってするさ。喧嘩だって、最初は負けっぱなしだったし、料理だって、最初はお袋に怒られたし」

「へぇ~、意外。最初から何でもできてたのかと思った」

「出来るわけねぇだろ。俺はただの目つきが悪い子供だったんだから。喧嘩に負けたのが悔しくて鍛えたり、上手くなりたいから料理の練習してたんだ。今の俺があるのは、努力と経験のおかげだ」

 翠は、本当に意外だという顔をしながら、ふと思い出したように言ってきた。

「そういえば、さっきまでの変な空気、なくなったね」

 そう言われて俺も気付いた。ぎすぎすとしていたのにもかかわらず、今では元に戻っていた。

「そうだな。俺としてもありがたい」

 だからそう言ったのだが、翠は俺の言ったことに反応した。

「“俺としても”? どうしてそんな言い方したの?」

「いや、翠も実際ありがたかっただろう? 変な空気が壊れて」

 俺がそう言うと、翠は頷いた。

「だから、ああいう言い回しにしたんだよ」

「へ~」

 俺の言葉に、翠は納得したみたいだ。

 さて、監視をしたいところだが衣装が届いているので、

「折角だから、着替えるか」

「えぇ!? い、いいよ! 本番の時にでも!」

 着替えようとしたら、翠が最終日に着るからお楽しみは取って置こうと言い出した。

 特に否定する気はないので、俺は素直に監視役に戻ることにした。

 ・・・・・・・・時々監視カメラの存在を忘れて素に戻っていたりしているが、このままで問題は無いはずだろう。

 たまに忘れる事実を思い出しながら、俺と翠は木に登って監視した。



『報告:十二日目

 イショウトドイタ。モトドオリニナッタ。

 監視結果:カエリタイ』



 十三日目。いつも通り。翠が最近俺の腕を自然に組むようになり、ほとんどを一緒に行動している。

 監視は、特に問題はなかった。SPが、ルートの説明と驚かす位置について説明してきた以外は、誰も訪ねてこなかった。


 そういや、いつき達はどういう生活しているんだ?


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