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アイドルッ!  作者: 末吉
第二幕・第三話~初日夜から七日目までの出来事
53/205

3-3 初日終了

前回のタイトルが詐欺に近かったので修正



 連絡を待っている(はずの)学園長は、テレビを熱心に見ていた。そこには、つとむが夕飯の準備をしている姿が映っていた。

「ふむ……。一時はどうなることかと思ったが、何とか間に合ったわい。しかし……まさかログハウスがあったとはのぅ。誤算じゃったわい。昨年までは監視役の教師の監視をするために、いつものところに隠しカメラを設置しておったのじゃが、今年は何かと異例が多すぎたのぅ。監視役が生徒だったり、監視場所がログハウスだったり、後は……今年は事件が発生したことぐらいか」

 学園長は、監視役がサボっていないか監視するために、このようなことをやっている。しかし、今年はその役割のほかに別な役割も担っていた。

「さすがに全部とはいかぬが、ログハウスぐらいなら監視できる。これからはあやつのログハウスでの生活でも見てみるかのぅ」

 それは立派な犯罪なのだが、当の本人は気にしていない。

 ちなみに、つとむはそのカメラがあることを知っていた。だが、カメラを壊したりすることをしないで、そのまま残していた。要するに、撮られていることを知りながら、彼は一人で過ごしている時と同じように演技していた。演技というにはあまりにも自然で、気付いていないと言われた方がしっくりくるくらいだ。なので、これに学園長が騙されても仕方がないといえよう。

 では、どうして彼はこんなことができるのか。

 それは、彼の経験と体質、果ては思考によって導き出された結果だからである。

 彼は、経験上ではカメラで撮られる状況は無いのだが、誰かに監視されている状況ならある。

 そして、その時の彼の対処の仕方は、『いつも通りに振る舞う』ことだった。

 その時の事を思い出して、彼は昔より素で演技ができることを生かして、気付いていないふりをしているのである。

 ではなぜそんなことをしているのか?

 彼は単に、仮にカメラを壊したりすると弁償が面倒だから、とか言うだろう。それも彼の本心であるが、実際のところは『どうせこれを見てるのが爺さんだから、あとで文句を言えば問題ないだろう』と思っていたりする。要するに、わざわざ追求するのが馬鹿らしいから見逃している、という事である。

 そんな事とはつゆ知らず、学園長はテレビに集中していたが、ドアがノックされ、ふすまが開かれた。その音で学園長は振り返った。

「誰じゃ? …………みどりか。何か用か?」

 ふすまを開けた人物――みどり――に向かって学園長はこう言った。

 みどりは、ふすまを開けたらつとむがテレビに映っているのを見て驚いた。

「お話があって来たのですけど・・・・・それは一体なんですか?」

 どうしてつとむが映っているのか、とみどりが訊いたら、

「まぁ、監視をちゃんとやっているのかどうか見るためじゃ」

 差し障りない答えを学園長は言った。

 その言葉を聴いたみどりは納得していなかったみたいだが、深くは追及しなかった。そして、学園長が思い出したかのようにみどりに訊いてきた。

「そう言えば…話があって来たんじゃないのか?」

「あ、そうでした」

 学園長の言葉で思い出したようにみどりは訊いた。

「私を追っていた二人組はどうしたんですか?」

 そういえば、もともと追われていたのはこの子だったのぅ、と思いながら事の顛末を教えた。

 教えてもらったみどりは、

「そうだったんですか………ッ!!」

 と頭を抱えだした。

 それを見た学園長は落ち着いた様子でこう言った。

「大丈夫か?」

 みどりはそれに答えず、

「……二人組……追われて……滑って…イ、イヤァァ!!」

 と言って倒れてしまった。

 学園長は女将さんに連絡した。

「儂じゃ。…ああ。みどりが倒れてしまった。…恐らく、記憶喪失だったことを忘れていたのだろう。事件の顛末を知ったみどりは頭を抱えながら何かを思い出した様じゃ。……これかどうするじゃと? とりあえずは寝かせてから明日考えるとしようか」

 と言って電話を切り、それに合わせたかのように、SPの一人が部屋の中に入ってきて、みどりを抱えて部屋を出た。

 残された学園長は、ケイタイが鳴っていることに気付いた。

 ケイタイを開いてみると、メールでこう書いてあった。

『見た限り異常なし。朝から色々あったから、寝る。明日からは、昼夜逆転の生活になりそうで怖い。by八神』

 それを見た学園長は、

「みどりをつとむの所へ行かせるのも良いかもしれぬのぅ」

 と呟いていた。


 監視カメラには気づいていても、人の心には気づかない人は。

「明日からは、昼に寝て夕方に起きての生活に本当になりそうだな。しかもそれが後の生活全部。ヤバイな」

 寝る準備をしてから一人呟いていた。

 俺は、ジジイにメールという報告をしてから、シャワーを浴びて寝ようとしたが、布団が無かった。

 まさかここで寝袋が役に立つとは。そう思いながら俺は寝袋に入って寝た。

 ……大事なことを忘れてた気がしないでもなかったが。


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